号外:新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症に対する緊急提言(No.2)

【日本感染症学会・日本環境感染学会から】

 

新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症は、現時点ではまだパンデミックではなくエピデミックとされています。

 

現在は湖北省からの渡航者の入国を拒否しています。しかし、それ以前に多数の入国者がいたことから、既に日本国内に2019-nCoVが入り込み、市中において散発的な流行が発生し、また感染者の症例数の増加に伴い重症例が増えるであろうことをあらかじめ想定して備えておく必要があります。

 

しかし、世界保健機関(WHO)のSylvie Briand氏は「根拠のない情報が大量に拡散するインフォデミックが起きている」と指摘しています。また、国の機関である国立国際医療研究センターも政策的な配慮を加えた見通しを立てている可能性が否定できません。

 

こうした状況では2019-nCovというウイルス感染症をより冷静に客観的に捉えられるはずの専門家の提言が重要になります。そこで、日本感染症学会と日本環境感染学会が2月3日に公表した「一般診療として患者を診られる方々へ」を紹介します。

 

日本感染症学会と日本環境感染学会は、一般診療として診察に当たる医療従事者における対策の在り方について提言していますので、その概要を列記します。

  • 2019-nCoVの感染性は、基本再生産数推定1.5〜2.5
  • 感染性・病原性はインフルエンザ相当か、やや強い程度と推察
  • 患者家族、担当する看護師/医師における感染例の報告は今のところない
  • 基礎疾患のある人や高齢者における肺炎合併、重症化に要注意
  • 他の入院患者などへの伝播の可能性を可能な限り低減させる。

 

医療従事者の安全を守るなどの観点から、飛沫などの発生が予想される診察時に

 

N95マスクの使用を考慮するなどの方策は否定しない

  • 日本国内で分離された2019-nCovは、中国での初期ウイルスと99.9%の相同性が保持されており、遺伝子変異は起きていない。

現時点では過度に心配する必要はない

  • 中国以外での感染報告例のほとんどは、中国(多くが武漢市)からの旅行者
  • 輸入国における二次感染例/重症例の報告はほとんどない.
  • 武漢市に死亡者が集中している理由は明らかではない.

しかし、医療機関への受診の遅れ高齢者や免疫不全者における感染例の増加二次性の細菌性肺炎の合併などが考えられる

 

  •  現時点での死亡率は約2%とされている。

しかし、多数の検査未実施患者の存在を考えると、今後さらに低下する可能性がある

  • 高齢者における感染例の集積があり、小児における重症例が少ない
  • 日本の長期療養型施設における高齢者はさまざまな基礎疾患を有し、

インフルエンザやノロウイルス、メタニューモウイルスに対する感受性が高い

  • 高齢者施設で流行しないよう、細心の注意を払って対応する必要がある
  • 発熱に加えて呼吸器症状が見られた患者は、

速やかに隔離対応を行う必要がある

  • コロナウイルスは、2019-nCoVを含めて主に飛沫感染により伝播する
  • 外来での対応は通常のインフルエンザ疑い患者への対応に準じて、

感染対策の基本は標準予防策飛沫予防策・接触予防策の徹底

特別な治療法はない

  • 治療は脱水に対する補液、解熱剤の使用などの対症療法が中心
  • 抗HIV薬(ロピナビル・リトナビル配合剤)や抗インフルエンザ薬

(ファビピラビル)が有効との意見もあるが、まだ医学的には証明されていない

  • ステロイドなどの使用に関する知見も不十分
  • 国内での2019-nCoVの分離、培養が成功

このことから、将来的なイムノクロマト法による迅速診断法の確立、SARSやMARSを含めたnCoV感染症に対する特異的な治療法の開発が期待される

 

 

杉並国際クリニックの見解:安心できる情報は少なく、不安な情報がほとんどです。

新型コロナウイルスに感染した可能性のある初診患者の受付を制限すること以上に、現在当クリニックに通院中の皆様の安全と健康を確保するための確かな方法は見出せない、ということが判明しました。

 

当クリニックでは、当面の間、国等の機関の勧告より一層慎重な対応を検討することになりそうです。