2月10日 非アルコール性脂肪性肝疾患(その1)

保険適応を認められた治療薬のない急増中の病気!

 

健康保険証があれば万能であると思い込んでいる方が、あまりにも多く心配です。保険が使えるかどうか以前に、そもそも治療薬が開発されていない大衆病が増えています。

 

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH) が我が国で急増しています。この病気は、肥満をはじめとするメタボリックシンドロームの患者や生活習慣病人口の増加を背景にした肝臓病です。

 

最近では、成人検診者の約30%に脂肪肝がみられますが、脂肪肝はこの病気の入り口です。

 

杉並国際クリニックでは、肥満度とメタボリックシンドロームの診断および管理基準(杉並国際クリニック版)を作成し、日常診療において有効に活用しています。

 

 

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)で問題なのは肝癌が発生する割合が増加することです。

 

それではNAFLDとは何かということになりますが、これは画像診断あるいは肝組織診断で脂肪肝を認め、アルコール性肝障害等の他の疾患を除外した病態です。

 

日常診療で肝組織診断を行うことは実際的ではないので、その場合に役立つのが超音波検査です。超音波検査で、まず脂肪肝を診断することは難しくはありません。

 

 

非アルコール性というのは、アルコールを全く摂取しないということではなく、一定量以下の飲酒量であるということを意味します。

 

飲酒量の基準としては、アルコール性肝障害を発症しない限度のエタノール量です。

これには男女差があり、男性30g/日、女性20g/日未満です。

エタノール20gはお酒の1単位として換算されます。

この1単位を各種アルコール飲料に換算すると、ビールは中びん1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)、焼酎0.6合(110ml)が目安となります。

 

もし日本酒を2合飲んでいて、肝障害を起こしていたら、男女を問わず非アルコール性ではなく、アルコール性ということになります。

 

それならば、自分はアルコール性肝障害の方が心配だ、という方も少なくないはずです。

むしろ、自分はお酒を飲まないから肝臓は大丈夫と思い込んで油断している肥満タイプの方が問題になることがあります。

 

<明日に続く>