2月5日 新型コロナウイルスについて(No3)

今回の新型肺炎の原因と疑われるコロナウイルスはどんなウイルスでしょうか?
 

コロナウイルスにはヒトや鳥類に感染するさまざまな種類のウイルスがあり、遺伝学的には4つのグループに分かれます。

ヒトに感染するすべてのコロナウイルスは呼吸器疾患の原因となります。
 

コロナウイルスは風邪の原因としては、ありふれたウイルスです。

 

冬や春の初めに毎年流行し、熱や咳など普通の風邪を起こすウイルスで、大人の風邪の15%はコロナウイルスが原因であるという報告もあります。

 

ですから、コロナウイルスが原因であることが判明すると、単なる通常のかぜ程度の認識や先入観をもってしまう専門家がいても不思議はない、と私は考えていました。

 

新型肺炎の原因ウイルスは未知の新種ウイルスでした。
 

 

NEJM 論文:コウモリのベータコロナウイルス類縁のsarbecovirus亜属ウイルス

 

Zhu N, Zhang D, Wang W, Li X, Yang B, Song J, et al. A Novel Coronavirus from Patients with Pneumonia in China, 2019. New England Journal of Medicine [Internet]. 2020 Jan 24 [cited 2020 Jan 26]
 

これまで人間に病気を起こすコロナウイルス(RNAウイルス)は6つが知られていました。そして昨年12月下旬に、中国武漢市で7番目の人間に感染を起こすコロナウイルスが発見されました。

 

動物由来の別のコロナウイルスが人間に感染する事例は、今後も出現するであろうと予測されています。
 

このNEJMの論文では、新しいウイルスの検出、同定のプロセスが報じられています。

昨年12月21日以降に武漢の海鮮市場と関連のある肺炎患者から、4つの下気道検体が採取されました。

対照コントロールとして、北京の病院に入院中の原因不明肺炎患者の7つの検体が採取されました。

検体から遺伝子配列の同定がなされ、またウイルス同定のための細胞培養が行われました。
 

武漢の49歳女性、61歳男性(後に死亡)、32歳男性の肺炎患者から、検体が採取されました。

ここでコロナウイルス共通のRNAが検出され、新種のコロナウイルスである2019-nCoVが同定されました。

ウイルスの全ての遺伝子配列から、コウモリから検出されるベータコロナウイルス類縁のsarbecovirus亜属に属するウイルスと判明しました。

 

今回の中国での原因不明の肺炎の原因について、WHOも新型コロナウイルスであると確認しました。

 

当初は、ヒトからヒトへの感染の可能性は乏しいとされ、しかも、患者数の急激な増加も報告されていませんが、こうした甘い予想はことごとく覆されながら現在も進行中です。今後の状況を冷静に判断して対処することが大切です。

 

<明日に続く>