1月30日 急性白血病をめぐって(No4)

―B細胞性急性リンパ芽球性白血病―

B細胞性急性リンパ芽球性白血病の特徴とその治療法

 

急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、小児と成人で発症し、白血病細胞の種類によりB細胞性(B-ALL)とT細胞性 (T-ALL)に分けられます。

ALLの治療は、これまでの治療法に加えて、抗体(特定の標的に結合するたんぱく質)を利用する治療法があります。

 

また2019年5月、再発または難治性でCD19陽性の、B細胞性急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するCAR-T細胞療法チサゲンレクルユーセル(商品名キムリア)が日本で承認されました。

 

CAR-T細胞(chimeric antigen receptor-T-cell)とは
キムリアを用いた CAR-T療法は、再発・難治性のB-ALL の患者さんに使えるようになりました。

キムリアは、患者さんの免疫細胞(T細胞)を取り出し、がん細胞に対して攻撃力を高めるように改変した製剤で、これを患者さんに投与してがん細胞を死滅させます。キムリア による治療は、カーティ(CAR-T)療法と呼ばれ、再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病の治療に使われます。

 

すべての白血病がキムリアの治療対象となるのではありません。

急性白血病であり、さらにリンパ芽球性であって、しかもB細胞性であるという前提条件が求められます。

また、CD19 抗原が陽性であることが確かめられてB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)と診断され、治療を受けるときに25歳以下であることの他に、以下のいずれかに該当する患者さんです。

 

● 初発の場合、標準的な化学療法を2回以上受けたものの、寛解が得られなかった

 

● 再発の場合、化学療法を1回以上受けたものの、寛解が得られなかった

 

● 同種造血幹細胞移植を受けることができない、または同種造血幹細胞移植後に再発した

 

 

池江璃花子選手の誕生日は2000年7月4日とのことですので、2020年1月30日現在で19歳のはずです。彼女は化学療法を受け、同種造血幹細胞移植後に寛解を維持して退院したとの限られた情報ではありますが、彼女が25歳までに仮に再発した場合には、キムリアによる治療選択の余地がでてくるかもしれません。

 

<明日につづく>