肝機能障害を認めたために問診方法に苦渋した50代男性(その3)
血液検査の結果は、AST、ALT、γ-GTPなど肝酵素値が400を超えた高値、IgM型HA抗体0.2、IgM型HBe抗体3.0、HCV抗体陰性でした。
2年前の検査でHBs抗原が陰性であったことを確認したため、急性肝炎、しかもB型急性肝炎と診断しました。
日本においてB型肝炎キャリアの多くは母児感染によるものです。そのためキャリアの家族内集積が起こりえるので、家族歴を確認したところ、母親を含む家族にB型肝炎患者は一人も見出せませんでした。
そして、成人のB型肝炎の主要な感染経路は性交渉なので、性生活について敢えて尋ねたところ、月に1回程度風俗店に通い、性交を避けて直接のオーラルセックスの提供だけを受けていたとのことでした。
性交を避ければ性病を免れることができると誤解していたことも判明しました。
患者さんは、「自分はエイズに罹ってしまったのでしょうか」と言って怯えだしたので、血液検査が必要であり、保健所では無料で実施してくれることもお伝えしました。
そして、B型肝炎は、1%程度で劇症化があり、致死率が高いことを慎重に伝え、念のため従来の病院へ入院精査をも想定して問いあわせました。
その後、幸いにHIV抗体検査は陰性でエイズ罹患はなく、発症後、約1カ月でB型肝炎ウイルス量が減少して治癒に向かったとのことでした。
<完>
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