12月26日 厄介な頭痛No.4

発作性片側頭痛(片頭痛や群発頭痛との鑑別が困難であった症例)

 

20代女性。右眼窩部(右目の奥)の痛みがあり、目玉をえぐられるような激しい痛みの発作が出現し、今朝の症状が特に強かったため、片頭痛の治療目的で当クリニックを来院されました。

 

すでに、右目の流涙もあるため眼科を受診したところ、異常は見出されず、右鼻閉もあったため耳鼻咽喉科を紹介されましたが、やはり異常はないとの判断だったとのことです。

 

そこで、さらに脳神経外科を紹介され、頭部・眼窩・副鼻腔のMRI検査を行ないましたが、いずれにも異常はみつからず、おそらく片頭痛であろう、との疑い診断とともに片頭痛の治療薬を処方されたが、かえって症状が悪化したとのことです。

 

症状は半年前から出現し、発作の持続時間は5分程度、発作の頻度は毎日数回であることを確認しました。今期が初発ではなく、1年前にも同様の痛みが1カ月程続いたとのことでした。

 

一見して右の眼瞼下垂があり、観察すると右結膜の縮瞳と結膜充血を認めました。

 

眼瞼下垂、結膜充血と縮瞳は、自律神経の症状です。自律神経症状を伴う発作性の激しい頭痛ということで、一日数回の発作があることから考えて、まず想起されるのは群発頭痛です。

 

しかしながら、典型的な群発頭痛では、男性に多く、発作の持続も1時間ほどに及ぶのが普通です。これに対して、女性に多いのが発作性片側頭痛です。

 

発作性片側頭痛は、このように群発頭痛に似た臨床的特徴をもちますが、発作時間はより短く(2~30分)、発作頻度はより高く、女性に多い疾患です。発作はきわめて限定的に片側性であり、眼窩部を中心に生じます。

 

群発頭痛同様、診断は頭痛が以下の他覚的兆候や自覚的症状(流涙、結膜充血、鼻漏、鼻閉、前頭部または顔面の発汗、縮瞳、眼瞼下垂、眼瞼浮腫)の1つ以上を随伴する場合に確定されます。

 

7日から1年持続する発作が1か月以上にわたる緩解期を挟んで生じる場合に反復性発作性片側頭痛と診断され、慢性発作性片側頭痛は、1年間を超えて発作が繰り返され、緩解期がないもの、または緩解期があっても1か月未満の場合に診断されます。

 

この症例は、群発頭痛でも片頭痛でもなく、片側頭痛であると考えると説明が容易です。

 

しかも、今回は1年間を超えての再発例ですが、寛解期があるため、慢性発作性片側頭痛ではなく、反復性発作性片側頭痛ではないかと考えました。

 

 

上記の診断に基づき、インドメタシンの座薬を予防薬として処方したところ、それ以降の発作頻度は徐々に減少して、症状も軽微になり、3か月後には気にならなくなったとのことでした。