インフルエンザ情報:ピーク早まる恐れ、患者数昨年の5倍ペース「産経新聞」

 

12月12日(木)

インフルエンザの推定患者数が、昨年の同時期に比べて、5倍となっています。

 

詳しくは下記リンクから。

 

産経新聞

 

 

11月15日(金)

NHKニュースより

インフルエンザが全国的な流行期に入ったと、国立感染症研究所が発表しました。

 

流行期に入るのは、例年より数週間から1か月ほど早く、

統計を取り始めて以降、2番目に早くなっていて、専門家は早めのワクチン接種などの対策を呼びかけています。

 

 

 

10月31日(木)

今年はどのようなインフルエンザ対策を講じればよいのでしょうか?

 

杉並国際クリニックでは、10月末日で、定期通院者の皆様の75%以上にインフルエンザワクチン接種を完了しました。11月1日以降は、定期通院者以外の皆様のうち、他で接種を受けていない未接種者を受付します。ただし、ワクチンの在庫は20人分なので、本年は11月9日以前に終了する可能性が高いです。早めにご連絡ください。

 

 

さて、人間に影響を及ぼすインフルエンザウイルスにはA型(亜型としてH1N1[ソ連型]、H1N1pdm、H3N2[香港型]など)とB型があります。

 

そのうちどちらが流行するかで流行時期は毎年異なります。ただし、通例では基本的には1月下旬~2月上旬にA型が、それに遅れてB型がピークを迎えます。

 

インフルエンザ疫学や薬剤耐性の現況についての報告が一定の手がかりになります。

 

 

1)今年のインフルエンザの流行時期は?

 

今季インフルエンザは沖縄県での発生を皮切りに早くも流行が始まりました。今年は例年より流行が早いです。ただし、流行のピークが年明けになるかどうかはわかりません。気温や気候による研究もたくさん実施されていますが、それらは明確な予測指標に至っていません。

 

 

2)今年流行するインフルエンザ型は?

 

流行の予測は困難です。

2008~09年は新型インフルエンザのH275Y変異株H1N1(ソ連型)が大流行したものの翌年には消失しました。それ以降はH1N1とH3N2が交互に、同様にA型とB型も交互に流行しました。

 

これまでの流行を参照にすると、今年は2010~11年、もしくは2012~13年のパターンではないかと推定する向きもあります。

 

そのパターンとは、B型が流行、A型はH1N1が多く発生する、というものです。

 

 

3)今年のインフルエンザの注意点は?

 

臨床現場における抗インフルエンザウイルス剤投与による成人での発熱や症状の改善やウイルスの残存率に関する調査が参考になるかもしれません。ウイルス残存率や耐性株の動向が重要な手がかりとなります。

 

昨年はバロキサビル(ゾフルーザ®)が発売されました。多くの医師がゾフルーザ®を処方し、その後、耐性株出現などの研究報告が世間を賑わせました。このことから、今年はバロキサビル(ゾフルーザ®)耐性株に対する治療薬選択への懸念が広がっています。

 

ゾフルーザ®の処方比率が高かった理由は、比較的容易に推定できます。その第一は、日本人の新しい物好きの傾向です。これは患者さんばかりでなく、医師も例外ではないようです。しかし、新しい薬に飛びつくことが賢明な行動であるとは限らず、むしろ慎重であるべきだと考えます。理由の第二は、便利と根拠の乏しいお得感に人々は騙されやすい、ということです。『1回の投与で治療が完了』という触れ込みの恐ろしさにはなかなか気づけないようです。その根拠は、1回の投与でインフルエンザ増殖を抑制できる実験結果からです。ただし、注意を要するべきなのは、インフルエンザ増殖抑制がただちに治癒を意味しないことです。インフルエンザ感染による復調には、最低でも5日以上は要すると私は考えます。

 

他院でゾフルーザ®の処方を受けて、休まずに仕事を続けた挙句に、持病の気管支炎増悪・喘息発作・肺炎併発で入院を余儀なくされたケースもありました。ゾフルーザ®の使用に当たっては、「本剤の必要性を慎重に検討」という警告がなされています。薬を内服した直後に治ったと早合点して体調を悪化させたり、周囲に迷惑をかけ、流行を蔓延させたりしてしまうことがないように、医師は患者を教育すべき立場にあります。薬は薬理学的効果だけで処方すべきでなく、患者さんの心理社会的な行動パターンをも考慮して処方すべきだと考えます。しかし、残念ながら、世間様は、そこまで考慮しないのが相場のようなので、私の懸念材料の一つになっております。

 

バロキサビルでは治験時と同様の成績;バロキサビル(ゾフルーザ®)とオセルタミビル(タミフル®)では前者のほうが早くウイルスが消失、が得られたと報告されています。

「治験成績が臨床現場と相違なかったことから、バロキサビルの治験時データは信頼できる」とするバロキサビル(ゾフルーザ®)を開発した塩野義製薬の研究者の発表がありますが、これはただちに、バロキサビルの優位性を意味するものではないと考えます。

 

 

②5種類のインフルエンザ治療薬での平均解熱時間に差がなかったとの報告があります。

 

「成人の場合、どの薬剤を選択するかは各医師の患者に適切と思われる薬剤の選択で良い」との見解が発表されています。その通りだと思います。

 

杉並国際クリニックでは、何よりもインフルエンザワクチン接種を含めた予防対策を徹底し、抗ウイルス剤の選択に際しては、いずれの型のインフルエンザにも有効なオセルタミビル(タミフル®)の5日間投与を基本戦略としています。5日間の内服の間、患者の皆様には出勤・登校を禁じ、自宅でしっかり養生していただくことが、確かな健康回復に繋がっているからです。内服という行為が自己養生の必要性を再認識させ、適切な休養をとるという健康行動を強化するという心理社会的効果は再評価されるべきではないか、と考えます。

 

③オセルタミビル(タミフル®)治療後の成人にて感受性低下ウイルスが分離された例でも重症化や周囲への蔓延はなかったとの報告があります。

「今後、バロキサビル耐性ウイルスが“治療前”にどれだけ広がるか、バロキサビルの治療にどれくらい影響があるのかは、注意深く見ていく必要がある」との見解があります。

 

バロキサビルは、ウイルス量を早く消失させることができるので、価値が見いだせるのではないかという意見がありますが、それはウイルス量を早く減らすことで重症化を防げるという仮説が正しいことが前提になるので、推定に過ぎないと考えます。

 

 

ただし、耐性に関しては、「小児ばかりでなく、高齢者でも変異ウイルスが一定の頻度で出ているので、高齢者に対しても今後注意を払っていく必要がある」との意見は、尊重したいと考えています。

 

 

④耐性株がどの程度伝播していくか?

臨床的影響に対しては不明点が多いです。したがって、インフルエンザウイルスが免疫機構を免れる新たな手段を手に入れる気配を見せるならば耐性株には十分注意が必要です。

受診が遅れた重症患者(鳥インフルエンザなどを含む)のウイルス量低下のためには、バロキサビルは有効かもしれませんが、残念ながら確かな根拠となるデータはありません。

 

 

10月26日(土)

インフルエンザワクチン緊急情報No2

今シーズンのインフルエンザワクチン接種の重要性と有用性の根拠について

 

1)日本でのインフルエンザ流行に大きな影響を与えることになる、南半球で圧倒的に流行している季節性インフルエンザは、

influenza A(H3)

をはじめ、

influenza A(H1N1)pdm09

および

influenza B

です。

 

In the Southern Hemisphere seasonal influenza viruses circulated widely, with influenza A(H3) predominating in many regions; however, influenza A(H1N1)pdm09 and influenza B viruses were predominant in some countries.

 

 

2)今年の9月の下旬から世界保健機関(WHO)が目下推奨しているワクチン成分は、A(H3N2) および B/Victoria系統です。

 

In late September, the World Health Organization (WHO) recommended components for the 2020 Southern Hemisphere influenza vaccine and included an update to the A(H3N2) and B/Victoria-lineage components.

 

 

3)現在、杉並国際クリニックで使用しているインフルエンザ・ワクチンの製造株は、1回のワクチン接種で、同時に4種のインフルエンザウイルス感染に対応できます。WHOの推奨するワクチン組成とほぼ一致していることを御確認ください。

 

A型株2種

  A型・ブリスベン/02/2018(H1N1pdm09

  A型・カンザス/14/2017(H3N2

 

B型株2種

  B型・プーケット/3073/2013(山形系統)

  B型・メリーランド/15/2016(ビクトリア系統

 

 

4)WHOはインフルエンザの蔓延と合併症を予防する最善の方法は、インフルエンザワクチンを毎年接種すること、流行期の前に早めに摂取することであるとしています。

 

Annual influenza vaccination is the best means for preventing influenza illness and its complications, and vaccination before influenza activity increases is optimal.

 

 

 

10月25日(金)

インフルエンザワクチン緊急情報No1.

 

『今シーズンは北半球でもインフルエンザの流行が早まると考えられ、直ちに予防接種を受けるべきである』とする警告を、米疾病対策センター(CDC)が発信しました。

 

CDCは、インフルエンザの流行時期は予測不可能として、流行に備え、生後6カ月以上の全ての人がワクチンを接種することを推奨しており、流行が始まる直前の10月が、ワクチン接種に最も適した時期としています。これは、杉並国際クリニックが従来から実施してきたワクチン接種計画に一致した見解です。

 

 

<流行の原因>

これは南半球での状況を鑑みた予測であり、CDC発行の「Morbidity and Mortality Weekly Report」10月11日号において発表しました。この半年の間に南半球でインフルエンザが大流行した主な原因は、流行の開始が早かったことと、症例の報告率が向上したことによるものであると説明しています。

 

 

<ワクチン接種の推奨>

執筆者であるCDCのScott Epperson氏は、インフルエンザウイルスは1年中存在しており、流行期にどの株が優勢となるかを正確に予測することは困難だが、どの株がワクチン含まれているかにかかわらず、「今シーズンのインフルエンザワクチンの接種は身を守るための要となるだろう」と述べています。

 

特に5歳未満の幼児、65歳以上の高齢者、妊娠中の女性のほか、糖尿病、心疾患、喘息等の慢性疾患がある人など、インフルエンザの合併症リスクが高い人にはワクチン接種が重要であることが指摘されています。

 

また、生後6カ月未満の乳児にワクチンを接種することはできないため、両親をはじめとする周囲の人がワクチンを接種して乳児への感染を防ぐ必要があります。「インフルエンザワクチンの接種により 得られるベネフィットの1つは、自分自身だけでなく、周りの人を守ることにもつながることだ」(Scott Epperson)

 


<ワクチン接種のメリット>

「米国では毎年数十万人がインフルエンザで入院し、数千人が合併症で死亡している。死亡率が高いのは高齢者と乳幼児だが、若者や中高年者が死亡することもある。ワクチンを接種していれば、入院の確率を大幅に低減することができるし、万一インフルエンザにかかったとしても、症状が軽く済む。また、インフルエンザにかかった際は、医師の診察を受けて抗ウイルス薬を処方してもらえば、回復までの時間が短くなる」(Scott Epperson)。

 


<誰にでもできる感染予防対策>

「例えば、インフルエンザの可能性がある人とは接触しないようにする、こまめに手を洗う、インフルエンザにかかっているとき、あるいは咳やくしゃみが出ているときは鼻と口を覆う。そのような簡単な対策でも、インフルエンザへの感染、あるいは感染拡大を防ぐのに役立つ」(Scott Epperson)。

 

 

Journal

MMWR. Morbidity and mortality weekly report. 2019 Oct 11;68(40);880-884. doi: 10.15585/mmwr.mm6840a3.

Author

Scott Epperson, C Todd Davis, Lynnette Brammer, Anwar Isa Abd Elal, Noreen Ajayi, John Barnes, Alicia P Budd, Erin Burns, Peter Daly, Vivien G Dugan, Alicia M Fry, Yunho Jang, Sara Jo Johnson, Krista Kniss, Rebecca Kondor, Lisa A Grohskopf, Larisa Gubareva, Angiezel Merced-Morales, Wendy Sessions, James Stevens, David E Wentworth, Xiyan Xu, Daniel Jernigan

 

 

 

東京都のインフルエンザ情報です(10月11日現在)

 

インフルエンザの流行はまだ収まっていないようです。

ワクチン接種を早めに済ませてください。

 

 

<毎日新聞の記事より>

厚生労働省は27日、九州や沖縄県を中心に10都県でインフルエンザの患者数が流行入りの目安を超えたと発表した。

沖縄県では警報レベルに達している。

例年は12月上旬に全国的に流行入りするが、今年は2カ月ほど早い可能性がある。

 

 

 

<東京都のHPより>

 

「都内でインフルエンザの流行開始」

 

都内のインフルエンザ定点医療機関からの第38週(9月16日から9月22日)の患者報告数が、流行開始の目安となる定点当たり1.0人を超えました。
インフルエンザは例年12月から3月にかけて流行しますが、今シーズンは早めの注意が必要です。

今後、本格的な流行が予想されるため、インフルエンザにかからない、感染を広げないための対策を一人ひとりが心がけてください。

 

 

今年はインフルエンザの流行が早まっているようです。

 

当院では、10月1日より予防接種を実施いたします。

 

予防接種の効果を十分に得るためには10日~2週間ほどかかります。

 

ワクチンの効果は5か月以上持続します。

 

早めの予防接種をお勧めいたします。