12月19日 切除不能膵がんへの化学療法No4

二次化学療法:局所進行、遠隔転移で同一ステートメント

 

前述したように、局所進行例(ステージⅢ)および遠隔転移例(ステージⅣ)の両者に対し、一次療法不応後の二次化学療法の施行が推奨され、レジメンのステートメントも同一としています(表4)。

 

4.切除不能膵がんに対する二次化学療法

表4

 

(表1~4とも『膵癌診療ガイドライン 2019年版』を基に編集部作成)


 

GEM関連レジメン後のフルオロウラシル関連レジメンとして、フルオロウラシル+フォリン酸(FF療法)+ナノリポソーム型イリノテカン(MM-398)併用療法が含まれています。

 

その根拠となったのが、GEMベースの一次治療を受けた転移を有する膵がん患者を対象に行われたオープンラベル国際第Ⅲ相ランダム化比較試験の成績です。

 

同試験では、MM-398単独療法、FF療法、MM-398+FF併用療法の3群で有効性を比較しました。全生存期間(OS)中央値において、FF療法群の4.2カ月に対し、MM-398+FF併用療法群では6.1カ月と有意な延長が認められました〔ハザード比(HR)0.67、95%CI 0.49~0.92、P=0.012〕。
 

 

このような複雑な医学研究の議論を傍観していると、少しでも早く膵がんの発見ができないものかと考えてしまいます。

 

そこで、膵がんの危険因子を調べてみたのですが、膵がんの家族歴、慢性膵炎、糖尿病および肥満などがリストアップされます。

 

これらに該当する患者さんに対して、造影CT検査を実施することは現実的ではないにしても、腹部超音波検査を入念に行うことは有意義であると考えます。