12月17日 切除不能膵がんへの化学療法No2

局所進行の一次化療法:4レジメン提案
 
 

膵がんの予後として、2012年の日本膵臓学会の全国集計による国際対がん連合(UICC)ステージ別の生存期間が報告されています。
 

生存期間中央値はそれぞれ、

ステージⅠa, Ib:100~120カ月

ステージⅡa,Ⅱb:15~24カ月

ステージⅢ(局所進行切除不能):9.3カ月

ステージⅣ(遠隔転移):5.3カ月
 

 

また、5年生存率はそれぞれ、

ステージⅠa, Ib:60~68%

ステージⅡa,Ⅱb:13.3~30.2%

ステージⅢ(局所進行切除不能):4.7%

ステージⅣ(遠隔転移):2.7%
 

 

切除不能膵がんの予後が極めて不良であることがわかります。

膵がんの診断を受け、切除不能とされた段階で、平均余命は1年にも満たないという事実は、とてもショッキングなはずです。

 

今回、局所進行切除不能膵がんに対する一次化学療法として、GEM単独療法、S-1単独療法、FOLFIRINOX療法、GEM+nab-PTX併用療法(表2)の4レジメンが"提案"されました。

GEM+エルロチニブ併用療法が推奨から除外されました。

 

その理由は、海外で行われた局所進行膵がんに対する第Ⅲ相試験LA-07の結果、GEM単独療法よりむしろ成績が劣っていたためです。

 


表2.切除不能局所進行膵がんに対する一次化学療法

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このCQに対する"明日への提言"では、「PSなどの全身状態が良好であれば、FOLFIRINOX療法やGEM(ゲムシタビン)+nab-PTX(ナブパクリタキセル)併用(GnP)療法が優先的に選択されているのが現状」と記載しており、今後は「どのような患者にどの治療を選択すべきかを明らかにしていく必要がある」とされた。
 

現在、この提言に呼応する形で、局所進行膵がん患者を対象にmodified FOLFIRINOX療法とGEM+nab-PTX併用療法の有効性および安全性を検討する第Ⅱ相ランダム化比較試験JCOG1407が進行中です。

この試験の研究代表者は「将来的には化学放射線療法も加え、より有望な治療法の検討を行っていきたい」と述べています。


つまり、現在の医学水準では、切除不能膵がんに対しての治療は決して満足のいく結果が得られていないということになります。