慢性呼吸不全についてNo5 12月6日(金)  

慢性呼吸不全患者で病態がさらに進行すると高二酸化炭素血症を伴うことが多くなります。

 

慢性呼吸不全患者のうち、低酸素血症に加えて慢性的に二酸化炭素の蓄積を伴ったⅡ型呼吸不全には、継続的な補助換気(人工呼吸療法)が必要となる場合があります。

 

非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)は、気管切開することなくマスクを介して換気を行う治療法で、1998年に在宅における健康保険が適用になりました。患者さんにやさしい人工呼吸療法として、NPPV療法は注目されています。

 

 

その適応としては、COPDの急性増悪、心原性肺水腫、免疫不全患者における呼吸不全に関しては、最も推奨されています。日本において在宅NPPVを施行患者で最も多いのはCOPDで26%です。肺結核後遺症は23%、神経筋疾患が18%、睡眠時無呼吸症候群は14%です。

 

 

在宅NPPVの装用開始は、日中の30分間程度から徐々に始めていきます。
特に夜間のREM睡眠期に高二酸化炭素血症の高度上昇が認められることが多く、そのため夜間使用が基本になります。

 

以下は、拘束性胸郭疾患におけるNPPVの適応基準です。

 

1.自・他覚症状として、起床時の頭痛、昼間の眠気、疲労感、不眠、昼間のイライラ感、正確変化、知能の低下、夜間頻尿、労作時呼吸困難、および体重増加・経静脈の怒張・下肢の浮腫などの肺性心の徴候のいずれかがある場合以下の①、②の両方あるいは、どちらか一方を満たせば長期NPPVの適応になります。


① 昼間覚醒時低換気(動脈血中二酸化炭素濃度:PaCO₂≧45㎜Hg)

 

② 夜間睡眠時低換気(室内気吸入下の睡眠でSpO₂<90%が5分以上継続するか、あるいは全体の10%以上を占める。

 

 

2.上記の自・他覚症状のない場合でも、
著しい昼間覚醒時低換気(PaCO₂≧60㎜Hg)があれば、長期NPPVの適応となる。

 

 

3.高二酸化炭素血症を伴う呼吸器系増悪入院を繰り返す場合には、
長期NPPVの適応となる。

 

 

なお集中治療室への入院の適応は、以下の通りです。

 

初期治療に反応しない重症例
不安定な精神状態
生命を脅かす重症例
酸素投与やNPPVに反応しない
動脈血中酸素濃度(PaO₂)<40Torr
pH<7.25
侵襲的陽圧換気例
カテコラミンなどが必要な例