11月25日 SLE診療の実際

1) SLEの臨床
 
 

全身性エリテマトーデス(SLE)は、代表的な全身性自己免疫疾患です。

 

男女比は1:9程度で、10代後半から40代までの妊娠可能年齢の女性に好発します。

 

多彩な臨床症状を呈するため、内科全般をも超える臨床力がなければ対応できない疾患の一つです。

 

 

杉並国際クリニックの前身である高円寺南診療所の初期の時代には、「小児科」、「皮膚科」の他に「整形外科」をも標榜していた時期がありました。

 

アレルギーやリウマチなどの膠原病は、小児期から発症するものがある他、皮膚や関節に病変や症状が現れるものが多いため、貴重な経験ができました。その後、平成8年には、「アレルギー科」、「リウマチ科」、「心療内科」の標榜が可能となりました。

 

そのたため、「アレルギー専門医」、「リウマチ専門医」という高度に専門的な資格を取得しました。

 

そして、自分の専門性をさらに高めるとともに、近隣に、「小児科」、「皮膚科」、「整形外科」を標榜する医療機関が少しずつ増えてきたため、新規開業の先生方を応援する気持ちもあって、これらの標榜を一つずつ外していきました。

 

 

令和の時代の幕開けと共に杉並国際クリニックとして新体制に移行してからは、小児を新たに診療する機会は皆無となりました。

 

ただし、当時小児科として受診された方が、体質改善に成功し、現在では立派な成人となって、健康管理のために折々の受診をされている方は多数に上ります。そして、彼らのお子さんたちの相談に乗ることもしばしばです。

 

 

「皮膚科」標榜時には多数を占めていたアトピー性皮膚炎の患者さんたちも、いまではすっかり良くなり、水氣道などで元気に活躍しています。

 

特定のアレルギー疾患だけというのではなく、アレルギー体質者としてのケアの重要性にいち早く気づいていたため、わが国でも相当早い時期から、鼻炎に合併する喘息について着目し、学会発表しましたが、当時は完全に無視されていました。

 

水氣道を継続してきた患者さんたちは、アトピー性皮膚炎だけでなく、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎をはじめ全身に及ぶアレルギー体質が改善していったことは、実に喜ばしい限りです。

 

しかし、現在では、アトピー性皮膚炎をはじめ尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膠原病に伴う皮膚疾患での新規の相談はほとんど見られなくなりました。

 

また、アレルギ―専門医資格をもつ内科医としては、喘息の症例数は大きな変化がありませんでした。その代わり、他の病気で受診された方が気付いていなかった所見を発見し、喘息や膠原病などの早期診断・早期治療の機会が増えました。

 

慢性化した難治化したケースを診ることばかりでなく、こうした初期の段階で診断が可能であることも専門医の強みであることを実感するようになりました。

 

 

アレルギー・リウマチ専門医が担当する膠原病および類縁疾患の患者では、多彩な皮膚症状や関節症状が出現します。高円寺南診療所時代に「皮膚科」「整形外科」を標榜して臨床経験を積んでいたことが、専門医としての今日の基礎となったことは、図らずも幸運であったと思います。

 

<明日に続く>