11月20日 脳心血管病予防のための脂質管理(管理目標を中心に)


3) 脂質異常症の管理目標値

 

「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」では、脂質管理目標値設定には、冠動脈疾患の絶対リスクによる層別化を用いています。

 

これは、LDLコレステロールの管理目標を軸としたフローチャートにしたがって、鑑別を進めていきます。

 

まず、二次予防(冠動脈疾患再発防止)と一次予防(冠動脈疾患発症予防)の鑑別を行ないます。これは、冠動脈疾患をすでに発症したことがあるかのみで判断します。

 

冠動脈疾患を経験していない一次予防群でも、糖尿病、慢性腎臓病、非心源性脳梗塞または末梢動脈疾患のいずれかを有している場合は「高リスク」とします。

 

また、これらのいずれにも該当しない場合には、「吹田スコアによる冠動脈疾患発症予測モデル」によって、絶対リスクとよばれる今後10年間における冠動脈疾患発症確率を求めます。

 

それに必要な入力データは、年齢、性別、血清HDLコレステロール、LDLコレステロール、血圧、および耐糖能異常、喫煙、早発性冠動脈疾患の家族歴の有無に関する情報です。

 

今回の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」では、10年間の冠動脈疾患発症率によって、低リスク(2%未満)、中リスク(2%以上9%未満)、高リスク(9%以上)に区分しました。ただし、このスコアは35歳以上75歳未満までの患者に対して適応できます。

 

このリスク区分にしたがい、区分ごとに設定された脂質管理目標が示されます。これらの管理目標値は、長期的にみた到達努力目標です。そこでは、目標値到達に向けて、LDLコレステロールでは、少なくとも20~30%の低下を当面の目標とします。

 

<明日に続く>