第4週:内分泌・代謝病・神経病 10月22日(火)10月22日 脳心血管病予防のための血糖管理(管理目標を中心に)

2)耐糖能異常と糖尿病のスクリーニング

 

糖尿病の診断は、日本糖尿病学会の診断基準に基づいて行います。

受診時には高血糖等の代謝異常による症状(口渇、多飲、多尿、体重減少ならびに易疲労感)、家族歴、生活歴ならびに肥満歴等について問診します。

 

まずは、採血検査を実施して血糖値を測定することが肝要です。受診時は空腹時でない場合がほとんどであるため、必ずしも空腹状態にこだわらずに検査の実施を優先します。

 

ついで耐糖能異常の有無を発見することが大切です。そのための必須の検査は糖負荷試験(OGTT)です。この検査は、空腹時の血糖測定からはじめます。この一連の検査を積極的に実施すべきなのは、脳心血管病のリスクを高める食後高血糖やインスリン抵抗性を詳しく評価することができる検査だからです。

 

糖負荷試験(OGTT)を行なうことが望ましいのは、肥満、高血圧ならびに脂質異常症等、他の脳心血管病リスク因子を有する方や糖尿病の家族歴が濃厚な方等です。つまり、将来糖尿病を発症するリスクが高い方は良い適応となります。

 

糖尿病の診断にあたっては、まず空腹時、随時、OGTT実施時の血糖値あるいはHbA1c値に基づいて行います。そのデータから糖代謝状態を「糖尿病型」、「境界型」、「正常型」の3種類に分類します。

 

糖尿病の診断のためには、慢性的な高血糖状態を証明することが必要です。そのため、原則として、別の日に行った検査でも「糖尿病型」であることを再確認する必要があります。ただし、糖尿病型を示す患者で、典型的な糖尿病症状(口渇、多飲、多尿ならびに体重減少等)が認められる場合は、初回検査の身で糖尿病と診断することができます。また血糖値とHbA1c値を同時に測定し、ともに糖尿病型であることが確認できれば、初回検査のみで糖尿病と診断できます。

 

 <明日に続く>