最新の臨床医学 7月26日(金)アレルギー・呼吸器・感染症

喘息の話(1)ぜんそく、とは?

 

気管支喘息は「気道の慢性炎症を本体とし、臨床症状として変動性を持った軌道狭窄や咳で特徴づけられる疾患」と定義されています。成人では6~10%と報告されていて頻度の高い疾患です。

 

診断は、臨床症状、アトピー素因、血液検査、肺機能検査、画像検査などを用いて総合的に行います。ただし、喘息と同様の症状を来しうる疾患には、喉頭炎、声帯機能不全、気管支結核、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、うっ血性心不全、気胸など多数の疾患があるため、他の疾患との鑑別は特に重要です。

 

喘息の発症と関連のある危険因子としては、個体因子としては遺伝子(ADAM33遺伝子:第20染色体上)、アトピー素因、気道過敏性、性別(成人では女性)、出生時低体重や肥満があります。また、環境因子としてはアレルゲン、呼吸器感染症(乳幼児期におけるRSウイルス、ライノウイルス、細菌感染など)、喫煙、食物、鼻炎(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など)などが知られています。

 

喘息発作の誘発因子としては、呼吸器感染症、気象、アルコール、ストレス、月経などがあります。

喘息の治療目標は、症状や増悪がなく、薬剤の副作用がなく、呼吸機能を正常に維持することで日常生活に支障をきたさない状態を継続することです。

そのために原因となるアレルゲンからの回避、吸入手技の指導、アドヒアランスの管理が重要です。

喘息による死亡者数は減少傾向が続き毎年2000人以下ですが、約90%が65歳以上の高齢者です。喘息死に至る発作の原因としては、感冒と下気道感染を合わせた気道感染が最も多く、過労やストレスがそれに続きます。死亡前1年間の喘息重症度は重症例が約40%を占めるが、近年では中等症の割合が高くなる傾向があります。また、喘息の病型では非アトピー型が多いことが知られています。

 

薬剤治療については、次回、解説する予定です。