全身性強皮症
多臓器に線維化、血管内皮障害をきたし、肺では間質性肺炎と肺高血圧を合併することが多いです。
全身性強皮症の患者で呼吸困難が進行する場合、間質性肺炎の合併、肺高血圧症の合併、腎不全からの肺うっ血などが原因となります。
分類:びまん性皮膚硬化型、限局皮膚硬化型
前者は抗Scl-70抗体陽性、間質性肺炎の合併が多く、
後者は抗セントロメア抗体陽性、肺高血圧症の合併が多いです。
膠原病関連の肺高血圧症はニース分類でⅠ群の肺動脈性高血圧症に分類されました。
呼吸機能検査で核酸能の低下と肺高血圧症との関連が多数報告されています。それには、全身性強皮症の血管内皮障害が影響していると考えられています。
DLco/alveolar volume<60%で肺高血圧症を発症するリスクが高くなります。
肺高血圧症の正確な評価のためには右心カテーテル検査で、平均肺動脈圧が25㎜Hg以上であることを確認する必要があります。
肺高血圧症における運動耐用能の評価に6分間歩行試験が有用とされますが、歩行距離は必ずしも肺高血圧症の重症度を反映しない点に注意する必要があります。
また、肺動脈病変のみならず、肺静脈閉塞症など高率に肺静脈にも病変が及び、選択的肺血管拡張薬は、前毛細血管の肺動脈のみを拡張させるため、肺水腫を惹起させやすく、治療抵抗性を示し、予後不良の一因となります。
全身性強皮症に合併した肺高血圧症に対する治療法は確立していません。
しかし、Ⅰ群の肺動脈性肺高血圧症に準じてプロスタサイクリン、ホスホジエステラーゼ5阻害薬、エンドセリン受容体拮抗薬などを使用する場合が多いです。
ただし、一般的に治療抵抗性であり、予後は悪いです。
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