最新の臨床医学 7月21日(日)心療内科・統合診療科の実践

抗不安薬の投与法


抗不安薬の投与法が問題になるのは、依存性が生じるためです。そのため抗不安薬は漫然と使用しないことが望ましいです。

そこで、抗不安薬は必要最小量をなるべく短期間使用するように工夫することが原則となります。

ただし、依存性の程度は、抗不安薬の種類によって異なります。依存性は、半減期の短い薬物でより認められます。

 

以上のことから、半減期の短い抗不安薬は、可能な限り他の薬剤に置き換えていく方法が工夫されています。

その一つは、できるだけ半減期の長いものに置き換えること、もう一つは、同様に抗不安・抗焦燥効果のあるSSRIに置き換えていく方法があります。

 

終日不安となる場合は、短時間作用性の抗不安薬を1日に複数回内服するのではなく、長時間作用性の抗不安薬の1日1回内服でコントロールできるように支援します。

 

発作を止める場合や行動療法で苦手な状況に晒されるときなどは短時間作用性の抗不安薬を頓用していただきますが、この頓用回数を減らしていけるような治療を工夫していくことが必要になります。

 

抗不安薬の減らすことが必要なのは、短時間作用性型のものを数種類服用していても耐性を生じてしまうからです。

そのため減薬が勧められますが、長時間作用型のものに置換するほかに、漸減を行ないます。

たとえば、2週間前に1/4量ずつ緩徐に漸減することが望ましいとされます。

ときに抗うつ薬や非定型抗精神病薬の抗不安作用を利用して投与し、減量することも一考に値します。

 

そもそも、心療内科とは心理療法や心身医学療法も治療手段として併用する内科なのです。

ですから、心療内科の実臨床診に際しては抗不安薬のみに頼らず、環境調整や生活指導に加えて、心理療法や心身医学療法を積極的に取り入れることによって、抗不安薬を減薬、中止することを得意としている専門領域であるといえるでしょう。