最新の臨床医学 7月17日(水)内科Ⅲ(糖尿病・内分泌・血液・神経)

脂質異常症とは?その3

 

―脂質異常症のリスク区分と脂質管理目標についてー

脂質異常症の中には、原発性の脂質異常症の他に、続発性(二次性)高脂血症が含まれています。具体的な疾患としては、ネフローゼ症候群、閉塞性肝・胆道疾患などの他、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、先端肥大症などの内分泌疾患です。

これらの続発性(二次性)高脂血症の場合は、原疾患の治療を優先させます。しかし、改善が認められず高脂血症が長期化する場合は薬物療法を考慮しなくてはなりません。

 

原発性の脂質異常症の管理においては、まず生活習慣の管理を行い、血清脂質の推移を観察した後、薬剤の使用を検討することになります。

ただし、脂質異常症のすべてが生活習慣病ではなく、家族性高脂血症といって遺伝性の脂質異常症があるので注意が必要です。とくにヘテロ型家族性高脂血症は日常診療でしばしば遭遇します。

いずれの場合でも薬剤選択の基本は「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017」に準じて行います。

 

下に示すリスクカテゴリーの分類に応じて脂質管理目標値を目指します。特にLDL-Cのデータを参考にすることが重要です。LDL-Cの低下のためにはスタチンを用いますが、二次予防あるいは低下させるべきLDL-C量の落差が30㎎/dL以上の場合は強力なスタチンが必要になることが多いです。


高TG血症単独ないし500㎎/dLを超える重度高TG血症の場合には、急性膵炎予防のためフィブラートを積極的に検討します。
高LDL-Cと高TGが併存する場合には、まずスタチンを優先し、non-HDL-Cを指標にフォローします。それでもTGがコントロール困難な場合は、フィブラートを注意深く、慎重に併用します。
いずれの治療も目標は動脈硬化症の予防であるため、筋障害(筋痛、筋力低下)、肝障害、血清クレアチニン・カイネ‐ス上昇などの副作用に注意します。
 

脂質3

 

杉並国際クリニックでは、水氣道の実践を通して、脂質管理に対する非薬物療法に力を注いでいます。

水氣道の実践は関連薬剤の処方数や量を減らすことに役立っています。

また水氣道会員を中心に、季節ごと(3か月に1回)に行なっているフィットネスチェックによる健康指標モニタリングにより、早期に病気を発見したり、万が一の薬剤の副作用なども的確に早期に発見したりして、より安全かつ有効な治療計画作成を可能としています。