最新の臨床医学 6月14日(金)アレルギー・感覚器系疾患

独法国立相模原病院・アレルギー科 

VS 杉並国際クリニック・アレルギー科(その1)

 

杉並国際クリニックのアレルギー科が行っているアレルギー専門外来診療の守備範囲を説明する目的で、我が国におけるアレルギー診療の最先端の医療センターである相模原病院との比較してみました。

 

情報源は、同病院のホームページです。

 

 

アレルギー科

成人アレルギー全体の診療

 

受診される方

水曜日(検査日)を除く、月曜日から金曜日までの8時30分~11時00分が受付時間となっております。

 

できるだけ、現在おかかりの医療施設の紹介状をご持参下さい。

 

国立病院機構相模原病院では、アレルギー疾患に関して耳鼻いんこう科、皮膚科、眼科と協力して診断、治療を行っております。

 

症状が鼻症状のみ(鼻炎・副鼻腔炎など)・眼症状のみ(結膜炎など)・皮膚のみ(じんま疹など)でしたら、まず耳鼻いんこう科、眼科、皮膚科を相談されることをお勧めいたします。

 

どの診療科にかかればよいかわからない場合は、アレルギー科へご相談下さい。

 

慢性じんま疹、接触性皮膚炎、金属アレルギーに関しては、アレルギー科ではなく、まずは皮膚科での対応となります。

 

特別なアレルギー疾患や難治性の病気でご相談をご希望される場合は、前もってアレルギー外来に受診日時をご確認下さい。なお病気の経過が長い方は今までの経過を書いたメモをご持参いただくとより密度の濃い相談がしやすくなります。その際、紹介状をご持参いただくことをお勧めいたします。

 

また、「経過中に使用した」もしくは「現在使用中」の薬のリストや薬手帳もご持参下さい。

 

紹介状をお持ちでない方や医師の指定がない紹介状をお持ちの方は、当日担当医のうち対応可能な医師が診察いたします。

 

また、医師指定であっても診療状況によって他の担当医が診察させていただくことがあります。

 

休診情報も当院ホームページで公開されておりますので、必ずご参照のうえ受診して下さい。

 

食物アレルギー外来は完全予約制となります。(必ず紹介状を持参して下さい)

 

診察ご希望の方は、アレルギー科外来までお問合わせ下さい。

 

当院では、アレルギー・呼吸器センターとして呼吸器内科とアレルギー科が一体となって共通の医師が診察を行っており、すべての医師がアレルギー疾患および呼吸器疾患の両方の領域の診療を行っております。

 

化学物質や環境の影響で多彩な症状が出てしまう疾患であるシックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さまの診療を行っていた環境医学センター・シックハウス外来は閉鎖いたしました。現在当院では診療を行っておりませんので他施設への受診をお願いいたします。

 

花粉やダニなどの吸入性アレルゲンによる症状がある場合には適応に応じて、アレルゲン免疫療法を行っておりますので希望される場合はご相談下さい。

 

 

 

 <杉並国際クリニックからの視点>

相模原病院では、成人アレルギー全体の診療ということで、アレルギー疾患に関して耳鼻いんこう科、皮膚科、眼科と協力して診断、治療を行っていることが紹介されています。

 

ただし、症状が鼻症状のみ眼症状のみ皮膚のみに限局したものでなく、複合的であってどの診療科にかかればよいかわからない場合は、アレルギー科へご相談下さい、とのことのようです。

 

杉並国際クリニックでは、患者さんにとって混乱しやすい、そうした制限は設けずに診療を受け付けております。

  

相模原病院の上記の説明は、一般の方には少しわかりにくいかもしれません。そして、アレルギー専門医の一人としての立場からしても若干の疑問が生じます。その理由は、自覚症状というのは診療においてもっとも重要な最初の情報ですが、たとえ病気が進んでいても関連する全身の症状に無自覚な場合が多いからです。

 

患者さんが訴えるアレルギ―の症状が鼻症状のみ、眼症状のみ、皮膚のみである場合で、一見軽症のように自己判断しているケースであっても、ほとんどの場合、複数の領域においてアレルギーの所見を見出されるからです。

また、相模原病院のアレルギー科の主たる対象疾患は「鼻、眼、皮膚以外」、すなわち、気管支喘息をはじめとする呼吸器症状や食物アレルギーなど消化器症状など、内科領域であることを示唆している可能性もあります。

 

「特別なアレルギー疾患や難治性の病気」というのも、具体的に例示していけばきりがないのでやむをえないところですが、主に、呼吸器や消化器などのアレルギーや全身性のアレルギー疾患や原因不明のアレルギー性疾患を指しているのではないかと思われます。

  

次に、注目していただきたいのは、『化学物質や環境の影響で多彩な症状が出てしまう疾患であるシックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さまの診療を行っていた環境医学センター・シックハウス外来は閉鎖いたしました。現在当院では診療を行っておりませんので他施設への受診をお願いいたします。』という記述です。

 

そして、《よくある質問》のコーナーの末尾に以下のような記述がありました。

 

シックハウス(化学物質過敏症)に関するよくある質問

10年以上にわたり環境医学センタ-およびシックハウス外来の利用をいただきました。診療の特殊性もあり、平成28年3月末を持ちまして閉鎖させていただきました。ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解とご了承の程よろしくお願いいたします。

 

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 いろいろな背景があろうかとは思われますが、シックハウス症候群や化学物質過敏症の診療を行っていた『環境医学センター・シックハウス外来は閉鎖』というアナウンスは注目すべき情報です。

 

すくなくとも、施設閉鎖前まで10年以上も診療を行っていたのであれば、『他施設をご紹介いたします。』という案内があってしかるべきかと思われます。ところが、『他施設への受診をお願いいたします。』とはどのようなことでしょうか。

 

国立病院としては非常に無責任であると思います。なぜ、閉鎖に至ったのかという背景を知りたいものですが、「診療の特殊性もあり」という表現が多くを物語っています。これはあくまでも推測にすぎませんが、「受診される患者様の人格傾向の特殊性もあり」ということの婉曲的な表現ではないかと考えます。

 

同様の事例が線維筋痛症でもあります。かつて、聖マリアンナ医科大学では、線維筋痛症の外来がありましたが、ほどなく閉鎖されました。

 

以下の聖マリアンナ医科大学のホームページを引用します。

 

メディカルサポートセンター難病相談

☎ 044-977-8111(代表)

E-mail:ims.soudan●marianna-u.ac.jp

スパムメール対策のため、お手数ですが●を@に変換の上でご利用下さい。

(メール対応受付は、土日祝日を除き常時行っております)

 

※線維筋痛症に関しては、神経精神科の受診のみの対応とさせていただいております。

(ご相談は専門医転出のため、お受けできなくなりました)

 

 

このように、聖マリアンナ医科大学での線維筋痛症外来閉鎖の理由としては専門医転出、対応先としては神経精神科の受診、と案内されているだけ親切ともいえるでしょう。

 

ただし、実際のところ、線維筋痛症は多くの場合、難病ではありません。なぜ、線維筋痛症の例を挙げたかというと、線維筋痛症だけではなく、シックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さんにもメンタルケアが必要なケースが多いからです。

 

一時期、相模原方面や立川方面から、シックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さんが多数来院されましたが、慢性疲労症候群や線維筋痛症との合併例のみならず、うつ病や双極性障害などを伴うケースが相当数に上りました。

 

しかし、残念ながら、彼らの多くは、メンタルケアを受けることに対して拒否的であり、頑なな姿勢を崩さない方が少なくありませんでした。ありとあらゆるアプローチを提案しても、ことごとく拒否するようなタイプの方、医療不信に陥っていたり、攻撃的な言動をとりがちだったり、など、診療継続困難な方も散見されました。

 

「身体過敏性は、すなわち精神過敏性、また逆も真なり」なのです。

しかし、根気強くお付き合いさせていただくことを通して、そうした気づきが自然に得られて、徐々に快方に向かった方も少なくありませんでした。

 

アレルギー専門医であり心身医学の専門医であることが、少なからず、こうした患者さんの診療に役立っていることは、紛れもない事実です。しかし、私のようなバックグランドをもつ医師の活躍を国立相模原病院や聖マリアンナ医科大学等のような大規模医療機関に期待することはとても難しいのが日本の先端医療の嘆かわしい現実なのだと思います。