糖尿病は認知症の促進因子です。

―糖尿病性認知症に注意!-

 

 

第116回日本内科学会講演会は2019年4月26日(金)から28日(日)の3日間、名古屋で開催されました。未曽有の大型連休の前でもあるため、初日の26日(金)は出席せず、高円寺南診療所としての最終診療日としました。

 

しかし、4月26日(金)は、聞き逃したくない貴重な演題が目白押しでした。そこで、学会レジュメをもとに重要なトピックを紹介します。

 

 

シンポジウム1.

生活習慣・生活習慣病と認知症・アルツハイマー病

特に、糖尿病性認知症について

 

高齢化に伴い、認知症や軽度認知障害の人の数が急増しています。認知症には有効な治療手立てが確立していません。認知症の原因の約6割はアルツハイマー病で、その他にも血管性認知症やレヴィ―小体型認知症があります。

アルツハイマー病は脳組織の変性性疾患であるため、生活習慣病との関連は乏しいと考えられがちでした。しかし、近年、運動不足や不適切な食事といった不健康な生活習慣および糖尿病や高血圧等の生活習慣病が、血管性認知症ばかりでなく、アルツハイマー病のリスクであることが報告されるようになってきました。

糖尿病と認知症発症の関係を調べた疫学調査では、糖尿病群は正常群と比べ、認知症、特にアルツハイマー病の発症リスクが有意に高いことが判明しました。さらに、生活習慣との関連では、中年期から老年期の持続喫煙および老年期の短時間・長時間睡眠は、アルツハイマー病および血管性認知症発症の有意な危険因子でした。

 

血管性病変やアルツハイマー病態よりも糖代謝異常が深く関与している認知症の病型として、糖尿病性認知症が注目されるようになってきました。これは血糖コントロールの不良例が多く、進行は緩やかですが近時記憶障害よりも注意・遂行機能障害がみられるのが特徴であるため発見されづらいことが問題になると考えられます。

 

上述の疫学調査の結果によると、定期的な運動習慣があり、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、淡色野菜、海藻類ならびに牛乳・乳製品の摂取量が多く、米の摂取量が少ないという食事パターンの人では、認知症(アルツハイマー病、血管性認知症のそれぞれ)の発症リスクは有意に低いものでした。

 

そのため杉並国際クリニックとしては、本格的な認知症以前の段階である軽度認知障害の早期発見、可能であればその予防のための一層の対応が急務であると考えています。

 

将来の認知症発症を予防するためには、高血圧および糖尿病の予防と適切な管理に加え、禁煙、適切な睡眠、和食+野菜+牛乳・乳製品を中心とした食習慣ならびに定期的な運動を心がけることが大切になります。

 

 

高円寺南診療所30年の臨床経験による診療指針の正しさが次々と証明されてきていることは大きな励みです。禁煙指導、生活習慣指導、水氣道、トータルフィットネス・チェック、メディカル・チェック(区検診など)の総合的・抜本的な活動推進は、ますます重要性を増していると考えます。

Q7

心房細動に対してカテーテルを使った治療法があることを知りました。どのような患者さんが選択できる治療法なのですか?

 

A

不整脈の治療法は、近年大きく変化しています。不整脈の種類によっては植込み式除細動器(ICD)や高周波カテーテルアブレーションなどの非薬物療法の有効性が薬物療法を上回ることが示されています。

そうして、不整脈の薬物療法は、自覚症状の軽減や非薬物療法を補完する役割が主となってきました。抗不整脈薬は不整脈そのものよりも基礎疾患や心不全、その他の合併症の有無が重要視されるようになり、それに応じた治療目標が立てられるようになってきました。

 

最近の不整脈関連の学会の動向では、心房細動の心拍数調節の基準や、カテーテルアブレーション治療が議論されています。そこで、心房細動について実際にお受けした質問について回答数することにしました。

 

 

杉並国際クリニックからの回答

症候性発作性・持続性心房細動はアブレーション治療の適応です。この場合、抗不整脈薬の使用は問いません。また、徐脈頻脈症候群、左心室収縮不全を伴う慢性心不全に合併した心房細動も適応になります。ただし、無症候性長期持続性心房細動は積極的適応とはなりません。

 

平成の30年間と共に歩み続けてきた高円寺南診療所の総括と、積み残してきた課題、そして令和とともに始める杉並国際クリニックの新たな役割と使命

 

3回シリーズ(3/3)

 

Ⅲ 令和とともに始める新しい「杉並国際クリニック」の役割と社会的使命

 

 

1.少子超高齢化対策の立ち遅れに対する取り組み

 

寝たきりや認知症、長期の入院や要介護に至らないようにサポートします。

 

そして、超高齢者になっても自立した生活を維持できるようにサポートします。

 

さらに、超高齢者になっても社会参加ができるような準備をお手伝いします。

 

実際に高齢者を支えている現役世代の皆様が、仕事を継続しながらスムーズに受診できるように可能な限りのサポートをします。

 

心身の不調がある人でも就職できるよう、結婚ができるよう、仕事や家事や育児が両立できるよう、生きがいと希望をもって生活できるようトータルな健康管理の視点からサポートします。

 

杉並国際クリニックは、自らを助ける意思のある皆様を、優先的に支援いたします。

 

 

 

2.大規模災害の原因追及の不徹底という現実に対しての取り組み

 

身体面で体質改善や体調管理、さらには体力(行動体力のみならず防衛体力)向上のお手伝いをします。

 

精神面で気質向上や気分調整、さらには気力(集中力のみならず創造的生産力)向上のためのカウンセリングやアドバイスをします。

 

引きこもりや孤立を防ぎ、信頼できる安定的なコミュニティに参加し、自助・互助・協働といった団体における防災行動能力を楽しく養成できる日常の機会を提供します。

 

杉並国際クリニックは、隣人のための支援や奉仕を志す皆様を、優先的に支援します。

 

 

 

3国際化への対応の遅れに対しての取り組み

 

杉並国際クリニックは、新時代対応型クリニックとして、杉並区のモデルにとどまらず、先進国首都型のモデルクリニックを目指します。

 

「患者中心の医療」モデルの先を見越した「脱患者医療」モデルを提唱し、受動的・消極的な<患者>意識から能動的・積極的な<健康会員>意識への脱皮を図り、さらには「健康創成共同体」モデルに向けて互恵的・創造的な<健康創成共同体>意識への昇華を目指せるように支援します。

 

クリニックの運営方針や事業展開は、当クリニックの基本的診療価値観を共有する「健康会員」資格をもつ皆様から選任した健康事業評議員(任期1年、定数4)をはじめ、主だった患者会の皆様と協議の上、誠実かつ堅実に実行していきます。

 

従来の「診察券」に加えて、「健康会員証」さらには「健康創成クラブ会員資格認定証」を順次発行して、合理的な受診者区分を行うことにより、差別ではなく目的別の効率的な個別化医療サービスを提供します。

 

海外出張や渡航のための医療が必要な皆様の安全と健康管理のサポートをします。

 

英語等の外国語による外国人診療に対して積極的に展開していきます。

 

日本を愛し、自らとご家族の将来を日本に託して毎日を送っていきたいと願う外国からの隣人の皆様の安全と安心を医療面からサポートしていきます。

 

国際的水準の医療の実現のため、今後も海外での医療研修を継続し、かつ、成果を国際社会に発信していきます。

 

杉並国際クリニックは、外国人の方に対しても親切で敬愛の心で接することができる皆様を、優先的に支援いたします。

 

平成から令和に元号が変わりNogucchiの懺悔録から回顧録にタイトルを変更いたしました。

 

ただタイトルを変えただけではありません。

 

 

私は嘘、ごまかし、保身を繰り返しています。

何故そのようなことを繰り返してしまうのか?

深く振り返り反省する機会を与えていただいたにも関わらず、表面的なことに終始していました。

 

懺悔になっていなかったことを反省して、同じことを繰り返さない為に自分を振り返っていこうと思います。

 

新しく元号も、高円寺南診療所も杉並国際クリニックとして生まれ変わりました。

 

私も今までの自分から生まれ変わりますので、よろしくお願いいたします。

 

 

 

新しい時代である令和を生きていくためには、平成時代の失敗を反省して、そこから新たな教訓を得ることが求められます。

 

平成時代の失敗の根源を一言でいえばどうなるか、と問われれば、<国民の当事者意識の欠如>というのが私の結論です。それは、一般論ではありますが、国民の多くが、政府や行政そして高度専門家に対して熱心に批判する一方で、それに釣り合うほど勤勉な自助努力を行ってこられなかったものと判断せざるを得ないからです。もとより、このような極端に単純化した私見に対しての御批判が小さくないことは固より覚悟の上です。

 

それでは、<国民の当事者意識の欠如>とは何かといえば、それは民間のリーダーシップ意識の欠如もしくはリーダーシップに対する常識的な先入観による根本的な考え方の誤りに基づくものであろうかと思います。私は水氣道を創始し、今年で20年を迎えようとしていますが、この間、水氣道を通してリーダーシップとは何かを体験的に学び続けることができました。

 

世間一般の常識を単純に受け入れて過ごすことは、心理的な抵抗も少なく安楽ではあります。しかし、平成時代までの常識が実は非常識であったことに気が付いた人も少数ながら存在しているようです。そのような一人に辛子種ほどの正義感があるならば、無作為のまま安穏に過ごしてはいられなくなるのではないでしょうか。

 

私は「令和」という元号を意図的に「礼和」と置き換えることによって、「平成」の時代には非常識とされたであろう10項目を新しい時代の常識を提言し「礼和の新常識」と名付けてコメントを加えてみました。それにて「令和」の時代の平和と繁栄を祈りたいと考えています。

 

なお御自分がこれまで信じてきた常識と異なる考え方によって不愉快な気分とさせてしまう惧がございますが、それは私の不徳の致すところです。どうぞご容赦くださいますように。

 

 

礼和の新常識1:

良い組織の決め手はチームワークよりもリーダーシップである

 

社会は、チームスピリットの上に築かれているわけではありません。

優れたリーダーに恵まれないチームの責任の所在はあいまいです。

責任の所在があいまいなチームは、災害に対して無力なばかりか、機動性に欠けるため有害な存在にすらなりかねません。ですから、優れたリーダーとは結果責任を自ら負うことができる人物ということになります。

 

優れたリーダーは、説明責任(アカウンタビリティー)を果たすことによって自らの信頼を獲得するにとどまらず、チーム全員がアカウンタビリティーを感じることができる組織文化を作ることが求められます。

 

このようなわけで機動性あるチームワークは優れたリーダーによって育まれます。

 

 

礼和の新常識2:

チームでの真の合意形成は一定の事前成果を出してから始まる

 

一定の事前成果を出すためには具体的準備行動が必要です。

 

詳細な合意形成は不要であり、数人のキーパーソンを押さえ、彼らの支持を得ればよいのです。そうすることでアイディアを早めに目標に変えていく作業が進捗していきます。そうして設定した目標の達成のためにメンバーを集めます。

 

これは決して楽な道のりではありませんが、情熱と粘り強さが結果を生み、合意形成を促し、成功への道を切り開くことになります。

 

 

礼和の新常識3:

メンバーには、ビジョンの共有ができてから意思決定に参加させる

 

そもそも共有すべきビジョンなしに良いアイディアは浮かびません。

 

良いアイディアがない職員の集合は烏合の衆に過ぎません。烏合の衆のままでいたのでは、いつまでたってもまともな意思決定ができません。

 

ですから肝心のビジョンの共有のためには、リーダー自らが適宜ビッグ・アイディアを生み出し続けていかなければなりません。そのためには発想段階からテストまでアイディアを鍛えるステップがります。

 

まず、1つのアイディアの失敗を恐れないことです。つぎに、そのアイディアがうまくいくかどうかを見極める覚悟をすることです。それが済んだら、プランに期限を設定し、進捗状況をこまめに確認します。最低でもこのような準備をしなければ、職員がプランの全体像を正しく理解することはできません。

 

 

礼和の新常識4: 

真に効果的なリーダーシップは “柔軟な”スキルではなく“厳格な”スキルを基礎として発揮される

 

その理由は“厳格な”スキルから柔軟な発想が生まれるのであって、“柔らかな”スキルからは固定観念の束縛から逃れることができないからです。

 

創造的な問題解決のためには、固定観念にとらわれない思考が求めら れます。それは自分自身の立場や自分の属性というボックスの外側で考えることができる習慣によって育まれます。そして事業の成果を上げるためには、最初から高い水準を設定することが求められます。ただし、目標の設定水準は、最初から明確に公表する必要はありません。そして求める結果から逆算して成功プランを立案することが効率的です。

 

成果の指標を抽出し、それに基づいた評価スコアを向上させるための惜しみない工夫と弛まざる努力が影響力を発揮させます。そのためには、まず厳格なリーダーシップを保つためのルール作りが必要です。リーダーとしてチームをリードするということは自らがルールに従い、模範を示すことを意味します。そして新しいルールをひとたび職員に指示をしたらフォローが必要であります。それが実行チームのやる気を保ち、方向づけをすることになります。メンバーもリーダーをメンター(助言者)として学ぶ必要があります。

 

 

礼和の新常識5:

多くの職員は職場における責任や義務を伴う権限ではなく、自由や権利、自己実現さらには自己超越(思い込みによる自分自身の可能性の壁を突破する)に向けての保障を求めている

 

「リスクを負って苦労するくらいだったら、貧乏なままでも良いので責任から逃れ、これまで通り気楽に過ごしたい」と思う人がこのまま増えていくと、日本の平和と繁栄の土台は確実に危うくなり、より大きなリスクに晒されることになるでしょう。新しいことに踏み込みたくない職員からの思いがけない反論や意見に出くわしたら、それはアイディアを職員に説得する大きなチャンスです。失敗や反主流的アイディアからの学びは、さらに優れたリーダーになり、あるいは新しいリーダーを育成するための種子です。

 

 

礼和の新常識6:

組織としての健全な発展こそが職員の個人的な幸福につながる

 

人を幸福にするのも不幸にするのも人間関係の良し悪しによって大きく 決定づけられます。人間関係に着目して、「人々に好意を抱かせ、思い通りに動かす」とか「印象を良くして、好感度を上げる方法」とかの類の書物は多数で回っていますが、たしかに良好な人間関係は、時間とエネルギーを効率的に使うことを容易にします。それによって生産性の高い組織を構築することによって、個々人の満足度が向上します。

 

そして、良好な人間関係構築の鍵は、礼儀(良いマナー)です。良いマナーは同じ道を歩む人々の歩みスムーズにしてくれます。

 

その良いマナーの基本は相手に対する敬意に基づく慈愛に満ちた行 動にあります。人間はミスをする動物です。しかし、防げるはずのミスは少しでも減らしていけるように勤勉に心がけることこそが良いマナーです。

 

誤りに気づいたら、あいまいにせず明確にすること、他者に迷惑をかけたら、率直に誠実に謝罪することが大切です。その際に、注意すべきことは、ふだんから利便性へ過剰に依存している人の謝罪の仕方は、ときとして先方には不敬と映り、相手の不信感を募らせかねないということです。新しいものや方法が常により良いとは限らないということは肝に銘じておくべきでしょう。むしろ、守るべき伝統は知恵の宝庫である、と考えておいたほうが良いこともあります。

 

令にはじまり令におわるのではなく、礼にはじまり礼に終わるのが水氣道の「礼和」の作法です。

 

 

礼和の新常識7:

人々により良く働いてもらうために“感情的知性(世間の常識)”ではなく“理性的感性(アイディア)”を考慮する

 

組織を発展させる力の源泉はビッグ・アイディアです。そのビッグ・アイディ アにはリーダー育成プランニングのプロセスが重要です。リーダーには意思決定のための理性に裏付けられた直感力が不可欠です。恐怖感や功名心などに支配されて理性を失ったときの直感は間違いをもたらすからです。理性に裏付けられた直感を養わない限り、抜きん出たリーダーを育成することはできません。個々の失敗を恐れず、「習うより慣れろ」式の生身の練習の積み重ねがどうしても必要です。

 

 

礼和の新常識8:

細かいことまで管理するくらいでなければ、職員の生産性を向上させることもやる気を生み出すことすらもできない

 

アイディアの成否は、潜在的な問題の解決を手助けするなど、適切なフォローにかかっているので、日頃からフォローのレベルを上げる工夫と努力をする習慣を獲得する必要があります。 ただし、リーダーは、任せることによって自らの強さを維持することができ、またリーダーを育成することができるので、委任したほうがいい仕事か委任してはいけない仕事かを的確に判断できなくてはならなりません。

 

 

礼和の新常識9:

勤勉な職員には、有形で限定的な報酬よりも無形で無限の可能性を保証し支援しなくてはならない。 

 

人は、人から学ぶことだけでなく、人に教えるにことによって大きく成長するので、メンターと学習者の対番関係を最大限に利用することが肝要だからです。

 

経営とは教育であり、教育とは慈愛です。教育は最高の投資にならなくてはなりません。教育や訓練の結果、より良い働きをしていただけるように努めるのが真のリーダーです。

 

そのためには、価値に見合った代価を支払い、あるいは受け取ることを弁えるべきです。それができなければ、その人は優れたメンターにはな  れないし、仮に後年メンターの一員になれたとしても、その努力と実績に見合った報酬が得られる根拠を見失うことになるからです。

 

指導者や助言者から貴重なことを学ぼうとする際に、あるいは教育や訓練を施そうとする際に、労力や時間や金銭を出し惜しみして、奉仕や投資ができないようでは長期間に及ぶ段階的な人間的成長は期待できません。

 

 

礼和の新常識10: 良いリーダーは、ときには職員を降格させたり、解雇したりして本人の成長を長い目で見守る勇気と愛情をもたなければならない。

互いに心理的な負担の少ない適切な解雇の判断基準とプロセスがあるようです。リーダーのみならず組織の能力の限界をきちんと見据えることも大切です。決断の遅れがかえって先方に対する礼を失することにもなり、双方の不利益になり、組織の発展を損なってしまうことも避けられなくなってしまうことがあるからです。

 

令和元年5月5日    水氣道創始者、日本水氣道協会理事長 飯嶋正広

 

平成の30年間と共に歩み続けてきた高円寺南診療所の総括と、積み残してきた課題、そして令和とともに始める杉並国際クリニックの新たな役割と使命

3回シリーズ(2/3)

 

 

Ⅱ 平成時代30年間の未解決な先送り課題

それでは、未解決なままの国家的、しかも日常的な国民的課題とは何でしょうか。

 

私は、以下の3点を挙げるべきだと考えています。

1、少子超高齢化対策の立ち遅れ

2、大規模災害の原因追及の不徹底

3、国際化への対応の遅れ

 

以下、それぞれについて述べてみます。

 

 

1、少子超高齢化対策の立ち遅れ

平成の初年度には、すでに高齢者の医療費の更なる増大を予想できていたはずなのにもかかわらず、日本は予防医学を国策として取り入れてきませんでした。

 

厚生労働省の推計によると、年金を含む社会保障給付費総額(自己負担は除く)は、2025年に150兆円に迫る見通しで、社会保障制度を維持していくには給付と負担のバランスの見直しが喫緊の課題となっています!

 

日本では、医療や年金・介護などの財源となる「社会保障制度」は基本的に賦課方式を採用しています。これは、いま人口が減少している現役の若い人たちが一生懸命に払い込んだお金を、現在の肥大化した高齢者の医療に支給する仕組みです。そのため、少子超高齢化による人口構造の変化に伴い、この制度を維持できる社会保障費の確保が難しくなり、次代を担う若い人たちの負担が募るばかりです。

 

高円寺南診療所の反省点は、平成元年の開設以来、受診者の平均年齢が比較的若かったため、超高齢化社会を視野に入れた具体的な長期的事業計画を立てることなく30年を経過してしまったことです。往診を含む在宅医療や介護支援などの事業を展開することができる資金を調達することは叶いませんでした。

 

 

2、大規模災害の原因追及の不徹底

大規模災害には自然災害も人災も含まれますが、原因を徹底的に追求せず、抜本的な対策もなされずに問題を先送りしている間に、災害が再発したとしたら、それは自然災害であったとしても人災としての意味合いが大きくなります。

 

主だった企業の経営破綻も人災の要素が大きいです。日本人は、都合の悪い現象にはカタカナにして、当事者としての責任の関与から逃れようとする傾向があるので反省が進みません。

たとえば、バブル経済、リーマン・ショックなどのキーワードだけが独り歩きして反省と共に分析や考察が進んでいないのも大問題だと思います。

 

医療にとって身近な問題の例としては、禁煙やインフルエンザの予防接種などのトピックスです。これらは東京などの人口稠密な大都市で生活をする上では、私たち一人一人の生活者が意識を高めて実践できる必須のマナーであると考えます。

 

3、国際化への対応の遅れ

医療界もグローバルな視点を要する領域であり、かつ未来を見据えた視点からの改革にむかって、大胆に舵を切るべきでした。それが先延ばしされてしまったため国民の生活に直結する日本の医療の危機管理は致命的に立ち遅れてしまいました。

 

たとえば「健康保険証」の文字は、まったくもって欺瞞であり、「健康保険証」をもって有名病院に行けば健康になれるような錯覚を国民に与えてしまいました。私たちの手もとにある「健康保険証」はせいぜい「疾病保険証」にすぎません。

なぜなら、健康な人や、健康の維持増進や予防のためには「健康保険証」はまったく使えないシステムだからです。

 

その結果、残念ながら、未解決な重要な国家的課題を先延ばしにしたまま令和の時代を迎えるに至ってしまいました。

 

このように高円寺南診療所30年の歴史を振り返ってみても、大きな反省材料を見出すことができます。

 

反省点1)

「医療費・社会保障費の確保が危機的状況に」

」超高齢化社会が進むにつれて、これらの問題はさらに顕在化し、その結果、個人に責任が向けられることは必然です。それらを積極的に活用し、保険診療で足りない部分は、自ら補っていく必要があります。未だ多くの国民の危機感が希薄であることこそが大問題なのです。

 

反省点2)

「医療保険でカバーされない予防と治療」

予防医学という考え方については、日本の医療制度・医療提供者・患者の全てにおいて世界と遅れをとっています。これからは病院に行く前段階や、介護予防のための医療サービスが発展させざるを得なくなってくるものと考えられます。

保険医療に頼れないアメリカ医学会は「食」「ストレス」「運動」「環境」にフォーカスを当てた「ライフスタイル医学 」を推進しており、患者さんだけでなく医療者の教育にも力が入れられています。

 

保険が効かないのは「予防」に限った話ではありません。たとえば、国内に200万人以上と推定されている慢性の難治性(といわれている)線維筋痛症の患者さんは、根治できる可能性が高いのにもかかわらず、健康保険医療至上主義(保険外の医療に対する根拠のない疑念や偏見)のために長く苦しんでいる方が少なくありません。

 

保健医療システムの弊害の一つが、健康増進に対する自主的な投資努力を阻む結果を招いていることがあるのは確かです。

 

「自立」して「健康」に「長く」生きることを目的とすると、予防意識をあげる必要があります。しかし、これらの問題点から、今後は好むと好まぬに関わらず国民全員が「予防」を意識しなくてはいけない時代に入ってきています。

 

反省点3)

「世界一の寝たきり大国」

健康長寿は予防の賜物であり、病気になってからでは手遅れです。また、介護状態に至るまでの様々な予防サービスが各居住エリアに存在し、まさに「アクティブシニア」でいるための水氣道®や聖楽院などの画期的なサービスを創設し、充実させていく必要があります。

 

日本の医療制度や病院を過信した「病院に定期的に通っているから安心」という考えは捨てて、「自分の命は自分で守る」という意識を徹底し、自ら健康を守る対策を講じるべきでしょう。

 

公的医療保険や介護保険制度は早晩崩壊するので、病院で入院したり、要介護状態になって長引いたりすると、非常に高額な医療費や介護費用がかかる時代になりつつあります。そのため、予防意識を徹底し、可能な限り入院加療や要介護状態を未然に防ぐ、健康維持増進活動への積極的参加が望まれます。

 

今後は日本も、個人の責任が問われる時代となります。つまり、「自分の命は自分で守る」ことを皆が自認し、自分の健康を見つめ直すことを余儀なくされるのです。

平成の30年間と共に歩み続けてきた高円寺南診療所の総括と、積み残してきた課題、そして令和と共に始める杉並国際クリニックの新たな役割と使命

3回シリーズ(1/3)

 

 

I 高円寺南診療所30年間の総括

 

皆様は平成の30年間をどのような時代であったと評価しますか?

 

私は、平成の30年間は空白の時代、さらにいえば失敗の時代だったと考えています。

 

その理由は「痛みを伴う構造改革」を行う絶好の時代を生かせなかったからです。

 

平成の初年度には、すでに新しい時代の重要課題が明確になっていたはずです。

 

それらの解決に向けての対策を誠実に着手していれば、現今のような事態には至らないで済んだのではないかと考えています。

 

しかし、それを避けてきたのは政府や経済界のリーダーたちでした。彼らの多くは昭和の成功モデルのまま遵守しようとして失敗を続けてきました。

 

失敗の原因を作ったのは、彼らばかりではありません。日本は世界に冠たる医療制度を持っているという思い込みから抜け出すことができなかった厚生労働省や日本医師会にも大きな責任があります。

 

たしかに日本での医療へのアクセスは世界で最も高水準であることは事実であり、これが今日の日本の長寿社会を可能にした大きな原動力の一つではありました。また自分で自由に病院や医師を選ぶことができる「フリーアクセス」が保証され、専門分業化が進んだ大病院志向が強いことも特徴です。

 

そして心身のトータルな健康管理を得意とする公的な「かかりつけ医」制度がないため、介護予防を含む予防医学や健康増進サポートがほとんど機能していません。

 

しかし、体力も気力も衰え、遠方の複数の大病院のはしご受診ができなくなった高齢者が行きつく先は近所の診療所です。そうした診療の仕事の多くが、重複する薬剤の整理と要介護申請業務に割かれるだけ、というようなことが増えてきています。

 

大病院の受診継続のみでは体力・気力の維持向上には役に立たないばかりか介護予防の目的も果たせません。その理由は、日本の医療保険制度のもとでは、提供される医療サービスは「診断」と「治療」にほぼ限定されていて、予防医学へは、医療費全体のほんの数%程度しか使われているにすぎないからです。

 

今後、医療費が増加していくことを考えると、ますます予防医学や維持期の公的医療サービス拡大は期待できなくなるでしょう。

 

零細な一医療機関に過ぎない高円寺南診療所でさえ反省点が浮き彫りになりました。

それは国家的な課題を解決すべきなのはあくまで行政であって一医療機関や一国民ではないという勝手な思い込みや責任逃れがあったということです。今になって気づいたことは、国家的課題と日常診療指針とはつねに密接不可分である、ということす。

<線維筋痛症 JFIQの経過報告>

 (図1)

スクリーンショット 2019-05-03 時刻 12.50.38 

JFIQは線維筋痛症の経過観察に欠かせない指標です。

 

 

最高点が100点で、20点未満が正常値になります。

 

 

 (図1)は左側が初期時の点数、右側が現在の点数でその2点を結んだものです。

 

 

 図2)

 スクリーンショット 2019-05-03 時刻 12.49.29

(図2)は線維筋痛症の治療効果の割合を表したものです。

 

 

 50以上点数が下がると「著効」です。

 

 

 20以上50未満点数が下がると「改善」です。

 

 

 20未満の点数の低下は「無効」の判定となります。

 

 

<今回の考察>

 

 

正規性の検定で初期値、現在値共に正規性がありました。

 

 

その後、関連2群の検定と推定を行いました。

 

 

1)統計的にみて、JFIQスコアが有意に改善したことが証明されました。P(危険率)=0.001%でした(図1)

 

 

pが0.05以下であれば統計学的優位である。

 

 

pが0.01以下であれば統計学的に極めて優位である。

 

 

2)JFIQスコアの判定基準として、20点以上改善されると治療が有効、50点以上改善されると著効となります。

 

 

  今回、 17名の平均で    31.9点改善していたため、全体として鍼治療は   有効であったと言えます。

 

 

個別でみると、著効4名(32.5%)、有効7名(41.2%)、無効6(35.3%)でした。(図2)

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

班長・副班長・地区リーダーおよび特定掲示板モニター募集中

 

決行日:

令和元年5月15日(水)もしくは16日(金)

 

「でんごんくん」へのポスター掲示の許可期間は、貼布した日から起算して2週間以内とされています。そこで、今後も最低2週間ごとのポスターの貼替えが必要です。

 

そこで、皆様に提案がございます。第1回ポスター・ラリーに参加してくださった皆様の負担が加重とならないよう、無理なく楽しく続けていくことができるよう、班長・副班長および地区リーダー等のサポーターを募集していきたいと思います。

 

また、未貼布の掲示板の空き情報を事務局に提供してくださる特定掲示板モニターも大歓迎です!

 

 

第1班 (和田、梅里、堀ノ内、松ノ木、大宮、方南地区14か所)

 

班長 飯嶋正広(暫定正七段:水氣道創始者)

   先遣隊長 中野礼子(6級:初等訓練生)

   堀ノ内地区リーダー高橋千晴(2級:中等修錬生)

   松ノ木地区リーダー飯石三三男(級外:体験生)

貼付できなかった場所:1か所(蚕糸の森公園)<理由>貼付スペースなし

方南地区リーダー募集中!

大宮地区リーダー募集中!

<追記>

蚕糸の森公園は5月3日に中野礼子さんがスペースを見つけ貼付しました。

ありがとうございました!

 

第2班(高円寺南地区5か所) 

班長 中川良子(正弐段下:中等支援員)

 

貼付できなかった場所:1か所(馬橋会議室前)<理由>貼付スペースなし

 

 

第3班(高円寺北地区3か所)

班長 林亮博(従弐段上:中等支援員)

 

 

第4班 (阿佐ヶ谷北、本天沼、天沼、下井草、清水地区19か所)

班長 奥村順子(4級:高等訓練生)

 

貼付できなかった場所:2か所(ゆうゆう阿佐ヶ谷館、阿佐ヶ谷かりん公園

<理由>貼付スペースなし

 

 

第5班 (上井草、井草地区8か所)

班長 細谷健太(2級:中等修錬生)

 

 

第6班 (今川、桃井、上荻、西荻北、善福寺地区18か所)

班長 野口将成(3級:初等修錬生

貼付できなかった場所:1か所(桃井原っぱ公園)<理由>貼付スペースなし

各地区リーダー(計5名)募集中!

 

 

第7班 (西荻南、宮前、高井戸西、上高井戸、松庵、久我山地区20か所)

班長 加藤博文(1級:高等修錬生)

各地区リーダー(計6名)募集中!

 

 

第8班 (成田東、成田西、浜田山、高井戸東16か所)

班長 金澤克彦(従弐段下:中等支援員)

各地区リーダー(計4名)募集中!

 

 

第9班 (荻窪、南荻窪地区9か所)

班長 飯嶋園子、副班長 飯嶋志保(7級:特別体験生)

貼付できなかった場所:1か所(荻窪公園)<理由>工事中にて掲示板撤去

 

 

第10班 (阿佐ヶ谷南地区3か所)

指導班長 木村英一(4級:高等訓練生)

班長 小池享子(6級:初等訓練生)

 

 

第11班 (下高井戸、永福、和泉地区13か所)

班長 田辺幸子(4級:高等訓練生)

各地区リーダー(計3名)募集中!

 

 

令和元年5月4日

日本水氣道協会 理事長 飯嶋正広

 

高円寺南診療所は杉並区高円寺南3丁目46番5号に立地しています。

 

<高円寺南>という地名を冠する医療機関を引き継いだ医師として、開院以来30年間、常に意識せざるを得なかったことがあります。

 

それは、地域への医療貢献でした。

 

24時間医療、往診、在宅医療、介護などすべての柱を確立することが達成できれば、地域医療として立派な責任を果たすことは可能だと思い、地域密着型のプライマリケアの確立に心がけていた時期がありました。

 

プライマリケアとは患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスです。

 

しかし、開院以来<高円寺南>診療所の受診者の圧倒的多数が現役世代でした。初期の受診者のほとんどは、家族や地域とのつながりも乏しい単身生活者で、かつ局所的症状に対しての応急的対応を望まれる方が多かったためです。

 

特に、午前中の受診者は開院初期には長期にわたり一桁台で夕方以降の時間帯に受診者が集中する状況でした。無料の禁煙指導なども努力すればするほど患者を遠ざける結果を招きました。その限られた夕刻以降の混雑時間帯に限って複合的で長期化した持病についての窮状を長々と訴える方が多数来院されるようになり、そのため待ち時間に耐えられない多くの患者さんを失いました。このようにして経営状態は一挙に暗転していきました。

 

もっとも、こうした経験がなければアレルギー専門医、リウマチ専門医、漢方専門医ばかりでなく心療内科専門医・指導医の資格取得し、より高度な医療水準の達成は果たせなかったと思われます。

 

このようにプライマリケアの実践のためには教科書的なひな形はなく、優れた指導者も皆無に等しいことを知りました。そして置かれた現場ごとに医師が自ら手探りで展開し、現場に必要な知識や技能は、そのつど貪欲に習得していかなければならないものであるという現実に直面しました。そこで自分なりの新たな方向性を模索する必要に迫られ、今日のシステムを展開していくことにしました。

 

そのお蔭で現実の困難から逃げず、避けず、誤魔化さず、ピンチの状況にあって、チャンスを生み出す技を学び続けるという姿勢を確立することができたことは感謝すべきことです。

 

最近の診療所の傾向としては、超高齢社会を反映してか高齢者さらには後期高齢者に達した皆様も徐々に比率を増しています。しかし、それでもほとんどの皆様が生涯現役を望み、私を生涯の主治医として選んでくださっています。

 

診療圏については、地元高円寺という貴重な方はごく少数で、23区内よりも都下をはじめ、千葉、埼玉、神奈川など近県から長期間定期通院されている方が多いことが特徴です。

 

 

生涯現役を目指したいという多くの患者の皆様の願いと私自身の健康維持の必要性が独自の「生涯エクササイズ」着想を得ました。そうして平成12年(2000水氣道が誕生しました。

 

水氣道の活動会員は現在何とか70余名を維持している状況です。発足以来20年近くを経過しているにもかかわらず会員が100名にも達していない理由は、水氣道の真価を伝えることが難しいからだと思います。

 

水氣道は、身体のコンディションを向上させるだけでなく、精神を涵養し、さらに芸術や学問的活動のための潜在的能力を引き出す効能を持っています。それは、多忙でストレスフルな毎日を送っている向上心に満ち溢れた方には特に有効です。

 

杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)や水氣道会員に御縁があるすべての皆様に水氣道をお勧めしたい理由がここにあります。

 

 

さて、現状としては、国際化を背景としてか外国籍の方の受診が顕著に増えて参りました。特にアジア圏からの皆様は知識層が多く、待合室でもお名前を伺うまでは余り目立ちません。また欧米圏の出身の方の増加も同様に顕著です。

 

こうした傾向とともに英語での診療の必要性は急激に増加しています。私がデザインする「生涯エクササイズ」とは体一つで実践できる全人的習慣をベースとしているのが特徴なので、水氣道の他、外国語学習、歌唱を併行しています。

 

水氣道によって人体を楽器(人生を楽しむ器、他者を幸福にできる器)化することで歌うことの素晴らしさを再発見し、特にクラシックの声楽は、イタリア語、ドイツ語、フランス語その他の外国語の歌詞を伴います。これが、平成27年(2015)発足の聖楽院の活動を生み、外国語診療を促進する契機となりました。

 

高円寺南診療所は、水氣道、聖楽院の誕生とともに当初のからの使命追及を終え、新たなる時代に向けての体制を整え、杉並国際クリニックが誕生します。院長である私自身が水氣道と聖楽院活動を継続発展させることによって生涯現役を確かなものとしていきたいと思います。

 

地域限定の母国語である日本語による従来のプライマリケア思想の呪縛から解放され、多言語による医療・保健・文化を統合するグローバルな創造的活動によって広く国際社会に向けて、皆様とともに楽しく有意義な貢献への第一歩を踏み出していきたいと思います。