最新の臨床医学 5月26日(日)心療内科・統合診療科の実践

<今月の論点:リウマチ膠原病診療の盲点>

―心療内科指導医・専門医 兼 リウマチ専門医 の立場からー

 

④ NPSLEのマネジメントについて

 

NPSLEについてどのようなマネジメントが推奨されているのでしょうか。

 

急性期:

つまり活動性のNPSLE(身体症状のみならず神経精神症状が前面に出現しているSLE)であれば、強力な免疫抑制を要するのみならず、抗精神薬による対症療法も必要となってくることでしょう。その場合の薬剤選択は「症候群診断」に基づいて行うことが推奨されています。

 

しかし、NPSLEの急性期の精神症状(サイコーシス)は基本的にはストレス反応性ではないので、原因検索の上でストレッサーのみを追求してしまわないことが求められます。

 

 

慢性期:

膠原病患者は慢性疾患であるため様々な心理社会的な問題が生じやすく、これに起因したストレス関連性の精神症状(抑うつや不安)をしばしば伴います。この場合は、心身医学・心療内科学的なストレス・マネージメント、支持的精神療法なども必要になってきます。SLEの認知機能障害は軽症のものが多く、認知症に至っていないものが多いです。

 

NPSLEばかりでなく線維筋痛症の患者さんの多くも、同様の苦悩を背負っています。杉並国際クリニックがより積極的に貢献すべき統合医学的領域は、まさに、こうした現代医療のピットホールに重なる部分であると思われます。