最新の臨床医学 5月21日(火)内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

第2・第3の狭心症とは何か?

 

第116回日本内科学会講演会は2019年4月26日(金)から28日(日)の3日間、名古屋で開催されました。未曽有の大型連休の前でもあるため、初日の26日(金)は出席せず、高円寺南診療所としての最終診療日としました。

 

しかし、4月26日(金)は、聞き逃したくない貴重な演題が目白押しでした。そこで、学会レジュメをもとに循環器の重要なトピックを紹介します。

 

 

教育講演4.冠攣縮性狭心症と微小血管狭心症

 

 一口に狭心症といっても、いろいろなタイプがあります。近年、安定狭心症の患者さんの中で非閉塞性冠動脈疾患を有する方が増加しているとのことです。これらの狭心症は、明らかな冠動脈硬化症などの形態異常は認めないが、機能異常を伴うものがあります。それらには、冠攣縮性狭心症や微小血管狭心症が関与している可能性が高いとされます。

 

冠攣縮性狭心症の分子機構は、血管平滑筋収縮の分子スイッチの役割を果たすRho-kinaseの活性化が主な原因であり、その成因として、冠動脈の炎症性変化(特に冠動脈外膜)が重要であるようです。

 

また、微小血管狭心症にもRho-kinaseの活性化が重要な関与をしていて微小冠動脈の攣縮や拡張不全を引き起こし、また冠攣縮性狭心症との併存例があることも明らかになってきました。

 

これらの非閉塞性狭心症が目立つようになってきた背景には、閉塞性冠動脈疾患については冠動脈インターベンション(PCI)やステントの技術が改良され成熟期してきたことも無関係ではなさそうです。しかし、それにもかかわらず、PCIを行った後も約4割の患者において胸部症状が消失しないPCI後の狭心症の問題が残っています。こうしたPCI後の狭心症にも、冠攣縮性狭心症や微小血管狭心症など第2・第3の狭心症が併存している可能性が考えられています。