今月は、内部からでさえ、もはや絶滅危惧種と叫ばれつつある心療内科が如何に誤解されているか、混乱させられているか、という深刻問題点について考えてみたいと思います。すでに世間に広く広報されている具体的な声を題材にしました。
第2回:精神科医同志の混乱(あなた達は何様なのですか?)
President Woman
家族や同僚がおかしいと感じたら同業者が教える"おすすめできない精神科"
2018.10.16
この医師で大丈夫? 同業者が教える精神科医の選び方
いざ精神科にかかろうと思っても、どこに行けばいいかわからないという人も多いだろう。医師選びで失敗しないためには、どうすればよいのだろうか。
「おすすめはかかりつけ医に相談することですが、勤め先の産業医や役所の保健師など、地域の精神科医とネットワークを持っている専門家に評判を聞くのもよいでしょう」と丸山先生。インターネットの口コミを見るのは手軽だが、患者の主観に左右されるため、確実な情報は得にくいという。
Tomy先生は、「同業者の立場から、私がおすすめできないのはこんなクリニック」と、4つの特徴を紹介してくれた。
まず、複数の診療科の中に精神科や心療内科が含まれるところ。
「ドクターの経歴に『精神保健指定医』や『日本精神神経学会認定専門医』の資格がなければ、精神科も“ついでに”診ている可能性があります。精神科の薬に詳しくなく、依存性のある薬を安易に出してしまうドクターもいます」
2つめは、薬をむやみに出すか、まったく出さないドクター。
「精神科では、抗うつ薬、抗精神病薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬の5種類を組み合わせるのが基本ですが、同種の薬がいっぺんに複数出ていたら不自然。一方、『薬を使わずに治します』というドクターは、カウンセリングなどの精神療法が中心になりますが、時間がかかり、確実に効果が出るわけでもありません」
3つめは、カウンセリングと検査が多いドクター。「検査は保険がきくものが多いですが、結果レポートの作成は自費になることも。カウンセリングは保険適用外で、高額に設定しているクリニックもあります。患者さんの同意も得ずに押し付けてくるところは、お金もうけ優先かもしれません」
4つめは、一方的に自分の考えを話し、困っていることを訴えても取り合わないドクター。
診療時間もひとつの目安。初診は30分くらいかけるのが一般的だが、10分ほどで終了したり、再診は5分未満というドクターもいる。「患者さんの表情やしぐさを観察して、症状の変化を読み取るためには、再診でも15分は必要ではないでしょうか」と野田先生。「信頼関係が築けないと感じたら、転院してもいいと思います。ただし、薬を独断で中止すると症状が悪化することがあります。服薬を続けながら、新しいクリニックに行くようにしてください」
転院するには紹介状が必須、と思い込んでいる人もいるが、紹介状なしでも受け付けている病院はある。頼みにくいドクターなら、黙って病院を変えてしまおう。
<杉並国際クリニックの立場から>
精神科医同志の内輪話なので、心療内科医が嘴をはさむ問題ではないのでスルーしようとしましたが、このような心得違いの精神科医たちの無責任極まりない発言が、どれだけ多くの患者さんに迷惑を被らせるのかを考えると、無視はできないと考えました。批判の相手を特定しなければ許されるコメントだと考えているのだとすれば大きな過ちだと思います。
一部ではあると信じたいところですが、このようなメンタリティの精神科医が勝手な発言をしている以上、少数勢力でしかない心療内科の活躍の範囲は、ますます不当に脅かされかねないと懸念するしだいです。
まずTomyという仮名の自称精神科医のコメント
「同業者の立場から、私がおすすめできないのはこんなクリニック」
を検討してみましょう。
1) 複数の診療科の中に精神科や心療内科が含まれるところ。
⇒ 精神科医であるにもかかわらず、精神科を標榜せず心療内科のみを標榜しているクリニック、あるいは、多数例ですが、精神科もしくは神経科と心療内科を同時に標榜しているクリニックの方がお勧めできません。このようなクリニックの精神科医に限って、同僚の精神科医を中傷したり、真摯に診療に取り組んでいる専門外の心療内科医の正当な業務を妨害し、患者さんに無用な誤解を与えていることを、謙虚に反省していただきたいものです。
精神科もしくは心療内科の他に複数の診療科を標榜しているクリニックでは、複数の専門医が所属している場合もあります。また、非常に勤勉で患者思いであれば複数の専門医資格を取得して水準の高い総合診療を実践しているドクターも確かに存在します。こうした、比較的少数のモデルケースを無造作に切り捨てて決め込んでしまうドクターこそが民主主義を破壊し、医療の健全な発展を阻み崩壊を招いているということの自覚に欠けた人物なのだと思います。
2)薬をむやみに出すか、まったく出さないドクター。
⇒ <薬をむやみに出している>のかどうかは、どなたが判断すべきなのでしょうか。患者さん自身に判断させようというのでしょうか。このようなあいまいでいい加減なアドヴァイスをむやみにする精神科医がいるクリニックこそお勧めできません。(薬を)<まったく出さないドクター>をなぜ否定できるのでしょうか。
たとえば、発達障害やパーソナリティ障害にも必ず薬を出さなくてはいけないのでしょうか。常識を疑います。過度な一般化を平気で行う知的にも未熟な精神科医であるように思われます。
3)カウンセリングと検査が多いドクター。
⇒ <再診以降でひんぱんに検査を行ったり>とありますが、ひんぱんかどうかの判断はどなたが、どのようにするのでしょうか?
むしろ、必要な検査を行わずに不適切な診断を下されている患者さんの方が被害者です。杉並国際クリニックでは、カウンセリングの必要性を判断する材料として、あらかじめ質問紙法であるMMPI(ミネソタ多面人格目録)や臨床心理士とともにM.I.N.I(簡易構造化面接法)を実施して診断を確定していますが、こうした検査を軽視して実施しようとしない前医(精神科医)の診断見落としを多数検出しています。
診断あるいは症例の特殊性によっては、カウンセリングの必要性を根気強く説明する努力は怠ってはならないと思います。<保険適用外のカウンセリングを半強制的に組み込もうとする>などの表現は大きな誤解を与えかねません。<治療に必須でないなら断ろう。>この発言も、如何なものでしょうか。治療に必須かどうかを、患者さんが必ずしも容易に理解できるとは思えません。
4)一方的に自分の考えを話し、困っていることを訴えても取り合わないドクター。⇒一見もっとものようですが、<一方的に自分の考えを話し>ているのは、このTomy先生です。
クリニックの現場のドクターは名前も立場も明らかにしたうえで、責任を背負いながら話しているのとは大違いです。困っているのは患者さんばかりではなく、こうしたレベルの精神科医の同僚医師の他に心療内科医も同様です。このような発言を無責任に行う医師こそが、同僚医師が<困っていることを訴えても取り合わないドクター>ということにならないでしょうか?。
Tomy先生の、きわめつけの驚きアドヴァイスは、<頼みにくいドクターなら、黙って病院を変えてしまおう。>です。この方は、本当に精神科医なのでしょうか。この方の文脈からすれば、『精神保健指定医』や『日本精神神経学会認定専門医』の資格をお持ちのようですが、医師として信頼に足る人物とは思えません。