最新の臨床医学 4月17日(水)内科Ⅲ(糖尿病・内分泌・血液・神経)

糖尿病はもはや国民病です。

糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。

薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。

私は、糖尿病専門医ではありませんが、生活習慣指導、食事療法、運動療法、認知行動療法など集学的な診療体制を構築して、口頭のみではなく実際に体験していただく経験を積み重ねてきました。薬の処方ばかりに終始しているタイプの糖尿病専門医よりは、糖尿病の外来診療について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

日本糖尿病学会ホームページから

「糖尿病診療ガイドライン2016 糖尿病診断の指針 4 運動療法」

では、運動療法について、とても有益な5つのQ&Aが掲載されています。

 

これを抜粋して紹介したあとに【杉並国際クリニックの実地臨床からの視点】

でコメントを加えてみました。

 

 

Q4-3 

1型糖尿病患者に運動療法は有効か?

 

【要点】

運動の長期的な血糖コントロールへの効果に対する一定の見解は得られていません。しかし、心血管疾患のリスクファクターを低下させ、生活質QOLを改善させます。

(合意率95%)<推奨グレードB>

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

高円寺南診療所の30年間で、インスリン療法を導入した方は、たった数名のみで、極めて少数です。1型糖尿病の方と2型糖尿病が進行した方です。

初診時にすでに糖尿病が進行していた方の1人のみがインスリン療法を開始したあと透析クリニックで腎透析療法を受けています。その方も水氣道®を永年続けることによって、透析導入のタイミングを予想以上に遅らせることができました。

 

1型糖尿病の患者さんでも運動により血糖値は低下します。しかし、長期的な血糖コントロールへの運動の効果については一定の見解は得られていません。ただし、心血管疾患を生じるリスクが高いとされている1型糖尿病の患者さんも、運動に寄よりこれらのリスクを減少させると同時に、QOL〔生活の質、人生の質〕を高めるなど血糖コントロール以外の効果が期待されます。そのため運動の強度が中等度以下の運動療法が勧められます。

 

なお、合併症がなく、血糖コントロールが良好であれば、インスリン療法や捕食を調節することにより、いかなる運動も可能です。