最新の臨床医学 4月12日(金)アレルギーの病気についてQ&A

今回は、診療中に受けたご質問

Q-実際と

 

それに対してご説明させていただいた回答

A-実際

を掲載することにしました。

 

 

Q-実際   

Aさん。30歳代後半、女性。私は子供の頃からのアトピー体質で、たびたび蕁麻疹の発作も出るのでずっと皮膚科にお世話になっていました。最近、花粉症もひどくなってきたので耳鼻科にも通い始めました。

 

その上、「マル高」なのにどうしても子供が欲しくて遠方の不妊症外来に車を運転して通院しています。それまで使用している私の抗アレルギー剤は妊婦や授乳婦に禁忌であることを、産科の先生から指摘されたので、皮膚科と耳鼻科の相談したところ、アレルギー専門医の先生で処方してもらうようにいわれました。

 

現在は、お陰様でアトピーも落ち着き、蕁麻疹も出なくなり、花粉症も良くなってきたのですが、お薬をやめないと妊娠してはいけないでしょうか。

 

 

 A-実際 

妊娠を諦める必要はありません。皮膚科の先生が処方されていたフェキシフェナジン(アレグラ®)は、自動車運転の注意記載のない安全性の高い抗アレルギー薬です。授乳婦への使用が推奨されています。

 

また、耳鼻科の先生が処方されていたセチリジン(ジルテック®)は、妊婦と授乳婦の両方に推奨されています。皮膚科の先生も耳鼻科の先生もAさんのために、比較的安全な薬を選んでくださっていたのではないでしょうか。

 

妊婦と授乳婦の両方に推奨されている抗アレルギー薬は、セチリジン(ジルテック®)の他には、レボセチリジン(ザイザル®)、ロラタジン(クラリチン®)に限られます。この3者の中で、自動車運転の注意記載のないのは、ロラタジン(クラリチン®)のみです。

 

それから、Aさんは初診時の尿検査で高度な蛋白尿が認められ、また、病歴にネフローゼ症候群の既往がありました。Aさんの腎障害の程度は、高度ではありませんが、セチリジン(ジルテック®)、レボセチリジン(ザイザル®)は、高度の腎障害には禁忌とされていますので、避けておいた方が良いでしょう。

 

 このように情報を整理していくと、Aさんに最も適した抗アレルギー薬はロラタジン(クラリチン®)ということになるでしょう。この薬であれば、安心して自動車を運転して通院できますし、腎障害を悪化させることなく、妊娠の準備ができます。出産の後、授乳することも心配せずにすむということになります。