最新の臨床医学 4月9日(火)内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

不整脈の治療法は、近年大きく変化しています。不整脈の種類によっては植込み式除細動器(ICD)や高周波カテーテルアブレーションなどの非薬物療法の有効性が薬物療法を上回ることが示されています。

 

そうして、不整脈の薬物療法は、自覚症状の軽減や非薬物療法を補完する役割が主となってきました。抗不整脈薬は不整脈そのものよりも基礎疾患や心不全、その他の合併症の有無が重要視されるようになり、それに応じた治療目標が立てられるようになってきました。

 

最近の不整脈関連の学会の動向では、心房細動の心拍数調節の基準や、カテーテルアブレーション治療が議論されています。そこで、心房細動について実際にお受けした質問について回答数することにしました。

 

 

Q2 

心房細動の患者さんはどれくらいいるのですか?

 

杉並国際クリニックからの回答

日本人の心房細動有病率は、総人口あたりで0.6%程度、高齢者で2~4%と報告されています。日本循環器学会疫学調査では、70歳代で2.1%(男性3.4%、女性1.1%)、80歳以上では3.2%(男性4.4%、女性2.2%)です。

 

しかし、症状を伴わない無症候性の心房細動が発見されにくいことに加えて、心房細動は初期には発作性であるため、発作のタイミングによって、発見されにくく、なかなか診断に至らない場合も多いということから、実数はこれよりはるかに大きいことが推測されます。

 

このように心房細動発症に影響を与える要因の一つとして、年齢が大きく関わってきます。超高齢社会を迎えたわが国では、心房細動の有病率は着実に上昇しています。

 

かつてはリウマチ性弁膜症(多くは僧房弁狭窄症)に伴う心房細動が多かったです。しかし、この病気が減少するにつれて、リウマチ性心房細動は減少しました。そのかわりに増えているのが、生活習慣病や加齢を背景とした非弁膜性心房細動です。

 

心房細動は、現在では高齢者に多くみられる不整脈疾患であり、日常診療でも遭遇することの多い、普通の病気であるといえます。