(鍼灸)東洋医学の話をしよう3ー臓腑(3) ー 心

<はじめに>

前回は「」の働きを解説しました。

 

 

体内の氣の運動を調節する働きのことを「疏泄(そせつ)」と言い、血液の貯蔵の働きのことを「蔵血」いいました。

 

 

また、「肝」には「怒」の感情、「筋」「目」に関係が深いことをお伝えしました。

 

 

今回は「心」の働きを見ていきましょう。

 

 

(氣についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

 

<西洋医学での心臓の働き>

 

 

心臓は体全体に血液を送り出すためのポンプの役割を行います。

 

 

1分間に約60~80回、1日に10万回以上休むことなく拍動を繰り返して血液を全身に送り出します。

 

 

 

<東洋医学での心の働き>

 

 

東洋医学でも「心」は血液を体全体に送り出す役割を担うと考えています。

 

 

「肝」がどの組織にどれくらいの量の血液を送るか決めるのに対し、「心」は血液を循環させる働きを担います。

 

 

また、「心」は「精神活動の源」であり、「汗」、「舌」と関係があると言われています。

 

 

古代の人が「心」が「精神活動の源」と考えたのは、不安があると心臓の拍動が亢進し、リラックスしていると心臓の拍動がゆっくりになることから、精神状態を心臓の拍動で感じていたのだと思います。

 

 

「心」が「汗」と関係があると考えたのは、緊張すると心臓がドキドキし手に汗をかくことから、そのように考えたのかと思います。

 

 

また、「汗」が大量に出ると血液の粘稠性が高まり血液を巡らせるためにより心臓に負荷がかかることを先人たちは知っていたのかもしれません。

 

 

「心」が「舌」と関係があると考えたのは「舌」には血管が集中しているので、「舌」の色によって、血液循環がうまく働いているかがわかると考えたようです。

 

 

実際、手足が冷える人は、舌が紫っぽい色になることがあります。

 

 

現在のように身体状況を把握できる機器がない時代に、五感だけでこれだけのことを把握してきた古代の人の素晴らしさを感じずにはいられません。

 

 

<まとめ>

 

「心」は血液を体全体に送り出す役割を担う

 

 

・「心」は「精神活動の源」

 

 

「汗」、「舌」と関係が深い

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭