最新の臨床医学 3月16日(土)漢方治療についてのQ&A

以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

 

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

 

 Q

家族(知人)と同じ症状(病気)なので貰って服用して良いですか?

 

A

「証(しょう)」(Q1を参照)の箇所で説明した様に、西洋医学の診断で同じ病名がついても、漢方医学的な診断が違う場合には使う薬も違います。自己判断で服用せずに必ず医師または薬局・薬店にご相談ください。

 

 

<杉並国際クリニックからのメッセージ>

「知人と同じ症状なので貰って服用」した経験のある方は結構いるようです。

 

一番問題なのは、自分に効果がある薬だからといって、他人に強く勧める方です。このような悪しき行為は、漢方薬に限らず、とくに睡眠薬などでもみられる現象です。幸い、このような理解のレベルの方は、杉並国際クリニックの診療レベルを知って積極的に選んで定期的に受診されている患者さんにはみられません。

 

なぜならば、同じ症状だからといって、同じ原因によるものとは限らないし、同じ病気であるかどうかの判断はできないはずだし、仮に同じ原因で同じ病気だったとしても、効果の現れ方や副作用の起こり方は、一人一人の体質やコンディションの違いによって異なることを学習されているからです。

 

漢方薬は副作用の無い安全な薬だという思い込みや、素人判断によって他人に害を及ぼしかねないことに対して鈍感な方も珍しくはない昨今です。杉並国際クリニックは、そうした誤りに対しても、懇切丁寧に訂正させていただき、皆様と同様に、皆様の周囲の人々にとって有益な結果が得られるよう支援させていただきたいと考えています。

 

一方で、中医学の伝統的な考え方の一つに、「母子同服」というものがあります。最近では、高齢者の認知症にも使われるようにもなった漢方薬で、古来より子どもの心身症に使う「抑肝散」は、昔から母子同服が望ましいと指示があります。心理学も発達していない時代に、漢方治療では母子関係の重要さに着目していたのです。

 

一番身近いいるお母さんなどの存在は、子どもに大きな影響を与えます。子どもの病気の原因がお母さんとの関係にあることも少なくありません。そのため、漢方療法では、診察時には子どもだけでなく、お母さんの様子も観察します。

 

子どもに質問しているのにお母さんが先取りして返事をする(過干渉)、子どもがいちいちお母さんの顔色を見ながら返事をする(過剰適応)、というような場合、お母さんの干渉が強すぎて子どもにストレスを与えていると考えられます。特にお母さんが精神的に不安定である場合は、子どもだけでなくお母さんにも気持ちを静める漢方薬を処方するようにします。これを「母子同服」といいます。

 

この場合も、医師による見立てによって処方された漢方薬を内服していただくのが原則であって、お母さんが自己判断で「母子同服」を行うことはとても危険ですので、厳に戒めてください。