当クリニックは、新時代の要請にこたえることにとどまらず、その一歩先の未来を見据えたモデルクリニックを目指しています。

 

 

そして、この杉並国際クリニックのHPの新着情報は、当クリニックからの一方的なメッセージの発信ばかりであってはならないと考えています。

 

皆様の声をいただき、この<読者の声>を通して、私たち全員の共有財産にしていくことができればとても素晴らしい展開が期待できると思います。

 

 

そこで、杉並国際クリニックのHPの新着情報は、現在、当クリニックを継続受診されていない方にも開放させていただいております。

 

高円寺南診療所時代(平成元年7月~平成31年4月)の受診者の方で、全快して無事卒業された方はもちろん、遠方に転居されて受診されていない方、今後、当院の受診を検討されている方など、いずれの皆様も大切な存在です。

 

現代医療制度の問題、健康不安などについてのメッセージや、逆に、ご自分が励行している健康法や、生き甲斐論など、どのようなテーマでも歓迎します。

 

 

投稿先は、suikido@gmail.com です。

 

なるべく、多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 

収載については可能な限り反映させていただくつもりですが、公益性その他の観点から、当方で検討の後、1週間程で、掲載日程を通知させていただきます。

 

皆様の投稿をお待ちいたしております。

内科2

 

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

Q1-7 

糖尿病の病型分類(成因)と病態(病期)の関連はどのようなのですか?

 

【要点】

成因(発症基準)と病態(病期)は明確に区別しなければなりません。各疾患について、両方を併記する必要があります。

 

糖尿病は、その成因によらず、糖尿病が発病するまでの過程で、種々の病態を経て進展するものと考えられ、また治療に寄っても病態が変化する可能性があります。

 

糖尿病はインスリン作用不足の程度によって3段階を区別することは有用です。

① インスリン治療が不要なもの

②血糖コントロールのためにインスリン注射が必要なもの

③ケトーシス予防や生命維持のためにインスリン投与が必要なもの

 

インスリン依存状態とはインスリンを投与しないと、ケトーシスを来し、生命に危険が及ぶような状態をいいます。

 

ケトーシス予防や生命維持のためのインスリン投与は不要だが、血糖コントロールのためにインスリン注射が必要なものはインスリン非依存状態にあります。したがって、インスリン治療中の患者はインスリン依存状態にあるとは限りません。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病を理解するために、まず、糖尿病は一種類ではないということ、同じタイプの糖尿病であっても、病期といって病状の進み具合が異なれば、それに応じた対応が必要であることを弁えてください。

 

そこで、まず糖尿病を成因によって分類してみます。従来、糖尿病は基本的に1型、2型という用語で大きく分類されてきました。しかし、近年明らかになってきた遺伝子異常による糖尿病は「遺伝因子として遺伝子異常が同定された糖尿病」として、これらとは別の括りになります。ただし、一人の糖尿病患者さんの成因は必ずしも一つである場合ばかりではなく、現時点ではいずれにも分類できない「分類不能」の糖尿病もあります。

 

①1型糖尿病:主に自己免疫を基礎にした膵β細胞の破壊性病変のためにインスリンが欠乏することによって発症する糖尿病

 

ウイルス感染など何らかの誘因・環境因子が加わってHLAなどの遺伝因子に作用して起こります。他の自己免疫を合併することが多いです。

 

多くの症例では、発病初期に膵島細胞抗原に対する自己抗体(膵島関連抗体)が証明されます。

 

ただし、なかには「特発性」といって自己抗体が証明されないままインスリン依存状態に至る例があります。

 

その場合、清涼飲料水ケトーシスなどによって、一次的にインスリン依存状態に陥るもの、遺伝子異常など他の原因が特定されるものは特発性には含めません。

 

なお発症・進行の様式によって、劇症、急性、緩徐進行性に細分類されます。

 

 

② 2型糖尿病:インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝因子に、過食(特に高脂肪食)・運動不足などの生活習慣、およびその結果としての肥満が環境因子として加わりインスリン作用不足を生じて発症する糖尿病、インスリン非依存状態である糖尿病の大部分がこれに属します。

 

2型糖尿病も遺伝子との関連がありますが、大部分の症例では多因子遺伝が想定されています。単一の遺伝子によるものとは異なり、肥満が環境因子として加わることによって発病し易くなります。その理由の一つは、肥満になるとインスリン感受性が低下するからです。インスリン分泌では、特に糖負荷後の早期の分泌反応が低下します。

 

結果的にインスリン分泌低下とインスリン感受性低下の両者が発病にかかわっており、この両因子の関与の割合は症例によって異なります。

 

膵β細胞機能は、ある程度保たれており、生存のためにインスリン注射が必要になることはまれです。しかし、感染などが合併するとケトアシドーシスという病態を来すことがあります。この病態を招くメカニズムを説明します。

 

まず、糖尿病などでインスリンが不足すると、血液中のブドウ糖を代謝できなくなり、高血糖状態になります。 すると、体はその代わりに脂肪を分解してエネルギーをつくり出します。 このときに副産物としてつくり出されるケトン体が血液中に急に増える(高ケトン血症)ことで、血液が酸性になり(ケトアシドーシス)、体に異常が発生するというしくみです。

 

これを糖尿病ケトアシドーシスといいます。糖尿病ケトアシドーシスは、若い人で発症しやすいといわれています。 高血糖の症状と、悪心・嘔吐・腹痛などの消化器の症状、またグルコースが尿の中に大量に排泄されることで起こる浸透圧利尿により、体液や電解質が失われることで脱水状態になります。 脱水やアシドーシスになると、低血圧や頻脈がみられることがあります。

 

 

2011年1月4日。

 

正月三ヶ日が明けるのももどかしく、

 

やっとの思いで高円寺南診療所に辿り着いたのでした。

 

 

年末に<全身の具合が驚くほど悪くなって、ほとんど動けない、眠れない

 

という状態に陥っていました。

 

クリスマス辺りまではまだ何とか仕事をしたりしていたのが、

 

もう<床に転がって苦痛に耐えるしかできない>という有様。

 

 

その1ヶ月くらい前から体調がどんどん悪くなっていたのでした。

 

 

そこで、「まさか」とは思いながら、インターネットで調べまくり、

 

「自分は線維筋痛症にかかったんじゃないか」と心配していました。

 

もしそうだとしたら、「これから先の人生が台無しになるかもしれない」

 

という恐怖心を抱え込んでいました。

 

 

その「まさか」が、年明けになって「どうもそうらしい」に変わり始めました。

 

やりきれない思いの年越しになってしまいました。

 

 

どの医療機関の情報を見ても、あまり芳しい治療効果が期待できない感じでした。

 

とりわけ「大きな総合病院では、

 

ただの症状や一症例として扱われそうでかなわない」と思いました。

 

自然志向の統合的な医療を目指す≫という言葉に一縷の望みをかけて選んだところが、

 

お医者さんはたった一人だけの小さな高円寺南診療所だったというわけです。

「安くて便利、良心的というキャッチは、多くの皆様方にとっては魅力的なようですが、多くの消費者にとっては落とし穴であることが多く私は常に警戒しています。」

 

インフルエンザは、安くて便利を志向し、自己中心的な大衆が増加するほど流行する感染症と考えます。

 

なぜインフルエンザが流行するのかについての確かな情報は得られていません。多くは仮説の域を脱していないようです。そもそもインフルエンザは、どのようにして人から人へと感染していくのでしょうか。

 

 

Q3.マスクに予防効果はあるか?を再確認

マスクは、感染を防ぐために、ある程度の効果はあります。しかし、小さなウイルスを完全にブロックするわけではありません。

 

実際には、予防のために着けるマスクより、感染した人が着けるマスクの方が効果的。咳をする人がつけていれば、飛ぶ瞬間の粒は水分を含んで大きいため、マスクでブロックされやすいからです。

 

このような予防は、感染している本人が気をつけることから「咳エチケット」と呼ばれています。

 

また、マスクには以外と知られていない「隠れた効果」があります。

 

マスクをつけている人は、手で口や鼻を触れる機会が少なくなります。したがって、マスクによって、手を介した感染が起こりにくくなることも期待できるのです。

 

しかし、マスクを着用している時でも、その手は環境によって汚染されています。繰り返しますが、マスクをはずしてから、すぐに鼻や口に触れてしまえば、せっかくの隠れた効果も無駄になってしまいます。「マスクを取る時の手洗い」を忘れないようにしましょう。

 

 

 

Q4.うがいや加湿は効果的か?

「うがい」の効果は限定的です。今では積極的に推奨されていません。

 

その理由は、鼻や口の粘膜についたウイルスは、ごく短時間で感染してしまいます。日常的にできる「うがい」の回数は限られるため、どうしても効果は限定されてしまうのです。

 

私は「頻回に温かい飲料を摂取すること」を勧めています。

頻回に水やお茶を飲むということの効果を否定する専門家もいます。

飲むだけではウイルスの付着する部分を全てカバーすることは難しく、回数にも限界があるからです。

 

しかし、その場合でも脱水状態を緩和し、鼻・口腔内・気道の粘膜の乾燥を防ぐことは可能です。しかも、これらの場所の粘膜が乾燥すると、局所的な免疫が低下する可能性があるからです。

 

 

「加湿」の予防効果は期待できます。

しかし十分な信頼に足るデータや情報は得られていません。

 

それでも、理論上、「加湿」には2つの意味があります。

ひとつは、乾燥した環境の方がウイルスの感染性が高まるので、それを避ける目的です。

もうひとつは、鼻・口腔内・気道の粘膜の乾燥を防ぐ目的です。繰り返しますが、これらの場所の粘膜が乾燥すると、局所的な免疫が低下する可能性があるからです。

 

 

今回のまとめ:

「第二のバカの壁」は、「温故知新」という故事がありますが、むしろ「古きをたずねて新しきを知らない」バカの壁。

これは、逆に「新しいものに振り回されて、その限界や欠点を知らない」バカの壁ということにもつながります。この責任は、一般人ではなく医師にこそあります。

日本循環器病学会のHPには、有益情報が満載されていますので、それを紹介します。

 

最後に、杉並国際クリニックからのコメントを加えました。

 

 

心疾患など、慢性疾患を有する人たちは以前には病状の悪化を恐れるあまり、医師でさえも運動を禁止する傾向にありました。

 

それが、最近では運動によって患者の生活の質・人生の質(QOL)が改善することが明らかにされてきました。

 

現在では、むしろ許容範囲内であれば運動・スポーツへ参加することを勧めています。

 

心疾患患者の学校、職域、スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン(2008年改訂版)では、学校、職域、スポーツにおける心疾患の重症度に応じた運動許容条件を示しています。

 

 

Q4

心疾患における運動強度は、どのように決定するのですか?

ちなみに私は高血圧で降圧薬を服用しています。    

 

A

高血圧患者はリスクの層別化と、高リスク例に対する適切な運動許容条件が必須となります。身体活動のリスクに影響する因子として、年齢、冠動脈疾患の存在、血行動態と心筋酸素消費量に直接関連する運動強度などが挙げられます。

 

リスクの層別化には、高血圧の重症度、標準的臓器障害及び他の冠危険因子の有無を確認します。

 

リスクの層別化は、特に冠動脈疾患の有無の確認が最重要です。そのため、運動負荷試験(自転車エルゴメータなど)は可能な限り実施します。

 

 

高血圧患者の運動実施に際しては、以下のような配慮が必要です。

 

①β-遮断薬や利尿薬は、高温・多湿環境下における体温調節機能を阻害する可能性があるので、熱中症予防対策は重要です。

 

②α-遮断薬やカルシウム拮抗薬、血管拡張薬は、運動後低血圧を誘発することがあるのでクールダウンを必ず行うように指導します。

 

 

高血圧の重症度別運動強度

血圧120~139/80~89mmHgでは、生活習慣是正を行い、運動への参加は可とします。また血圧の高値が続く場合には、心エコー検査で左室肥大の有無を確認します。左室肥大が認められた場合には薬物療法を開始し、血圧の正常化が確認されるまでは参加する運動を制限します。

 

血圧140~159/90~99mmHgで、臓器障害を伴わない場合には、競技スポーツの参加は制限しません。ただし、約3か月ごとに血圧を確認します。

 

血圧160/100mmHg以上では、臓器障害を認めなくても、高度静的スポーツへの参加は、生活習慣修正及び薬物療法により血圧がコントロールされるまで禁止します。

 

他の心血管疾患を合併する場合には、疾患の種類と重症度により参加の可否を決定します。冠動脈疾患の合併例のような高リスク患者では、虚血性心電図変化や狭心症発作を誘発する心拍数よりも10bpm以上低くなる運動強度とします。

 

 

杉並国際クリニックからのコメント

ガイドラインでは、スポーツあるいは運動の強度をMETs表示で示しています。

 

成人の心筋症については、大規模な臨床試験はほとんどありません。そして、運動中の心事故・突然死の機序や危険因子については不明な点が多いです。この疾患は左心室の収縮機能は正常に保たれ、死因の過半数は突然死(特に40歳以下)が占めることが問題です。突然死はスポーツ、労作中やその直後に多く発生すると報告されています。

そこで、この疾患ではリスク評価で分類し、以下の危険因子がなければ軽度リスクと評価します。

軽度リスクの場合

軽度および中等度の作業・運動は許容されますが、強い運動や競技スポーツは禁忌です

 

中等度リスクの場合

軽い運動は許容されます。また中等度の運動は自覚的強度(Borg)13以下で危険な不整脈がなければ許容されます。

 

高度リスクの場合

自覚的強度(Borg)13以下で危険な不整脈や心不全が無ければ軽い運動は条件付き許容とします。

 

肥大型心筋症における突然死の危険因子とリスク分類

中等度リスク

50歳未満の早発性突然死の家族歴、原因不明な失神、

高度な左室壁肥厚(≧30mm)、運動中の血圧上昇反応不良、

非持続性心室頻拍

 

高度リスク

心停止(心室細動)の病歴、自然発症の持続性心室頻拍

 

 

 

 

内科2

 

日本消化器病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、「患者さんとご家族のためのガイド」が公開されていますので、ご参考になさってください。

 

規定により直ちに転載できませんので、「消化性潰瘍」の概要を紹介し、コメントを加えることにしました。

 

Q5ピロリ菌感染や除菌効果の診断は、どのようにすればよいのですか?

 

Q5-1ピロリ菌感染はどうすれば診断できるのでしょうか?

 

A

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染による「ピロリ感染胃炎」の診断には、

①内視鏡検査、②バリウム検査(エックス線造影検査)のいずれかを行います。

 

通常は①によりピロリ感染胃炎であることを診断し、その後、ピロリ菌感染の診断を行うのが一般的です。

 

ただし、杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)では、胃全体像を捉えることができ、しかも頻度の多い機能性上部消化管障害を評価し易い②バリウム検査(エックス線造影検査)で行っています。

 

 

ピロリ菌感染の診断には複数の方法があります。

 

①抗体検査、

②尿素呼気検査、

③便中抗原検査、

④ウレア―ゼ試験、

⑤培養検査、

⑥顕微鏡検査、

⑦血液中ペプシノゲン検査

 

 

これらのうち、非侵襲的検査法といって患者さんにとって負担が軽い方法は、

 

①抗体検査(尿または血液中のピロリ菌に対する抗体を測る検査)

②尿素呼気検査(ピロリ菌が持つウレア―ゼという酵素の働きを呼気で調べる検査)

③便中抗原検査、です。

 

 

これらに対して、侵襲的検査法として胃粘膜の組織を採取する内視鏡検査での診断法として、

 

④ウレア―ゼ試験(ウレア―ゼの働きを生検組織の入った試験液の変化で判断)

 

⑤培養検査

 

⑥顕微鏡検査

 

 

以上の他に、保険診療の適用外(保険が使えず、自費の検査)にも有用な検査法があります。

⑦血液中ペプシノゲン検査(蛋白質を分解する消化酵素であるペプシンの前駆物質を調べる)

 

 

除菌前の感染診断には、①抗体検査、④ウレア―ゼ試験、が便利です。

 

ただし、④ウレア―ゼ試験、は内視鏡による組織採取を行うため、採取する部位によっては正確な診断が得られない場合があります。

 

また、②尿素呼気検査、③便中抗原検査は、より正しく診断可能な検査ですが、検査方法が煩雑という実際上の難点があります。

 

 

そこで、杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)では、①抗体検査、採用していますが、年内に、②尿素呼気検査の導入を検討中です。

 

なお、胃潰瘍の治療中の患者さんに対しても感染診断検査は適用できますが、治療薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)には静菌作用があるため、PPI投与中止後2週間以上を空けて検査します。PPIは保険適応上、胃潰瘍は8週間、十二指腸潰瘍は6週間という制限があるため、投与終了後2週間以降も検査のタイミングとして活用できます。

 

 

Q5-2ピロリ菌の除菌がうまくいったことを診断するにはどうすればよいのですか?

 

A5-2ピロリ菌除菌後の評価を行う方法は3つあります。

①尿素呼気試験、

②便中抗原検査、

③血中抗体検査

 

これらのうち、①と②は除菌治療から4週以上(2~3か月が望ましいです)経ってから行います。

    

これらに対して、③は除菌治療から6ヵ月以上経ってから行いますが、除菌前のデータ数値と比較することで除菌が成功したかを判定します。

     

杉並国際クリニック(高円寺南診療所改め)では、ピロリ菌感染の診断に血中抗体検査を採用しているため、ピロリ菌除菌後の評価も血中抗体検査を行っています。

前回インフルエンザ迅速検査キットの問い合わせについて書きました。

 

今回は検査キットがどのくらい重要性があるのかを調べてみました。

 

 

キットの種類はどのくらいあるのでしょうか?

 

JACRI(一般社団法人 日本臨床検査薬協会)によると12社18種類あるようです。

 

 

どのくらいの割合で、インフルエンザを見つけてくれるのでしょうか?

 

上記のページに「陽性率」という数値が載っていました。

 

検体(鼻水等)ごとに%が示されていて、高いものだと90~95%、低いものだと60~80%となっています。

 

ここで疑問です「陽性率」とは?

こちらのページには注釈がありませんでした。

 

陽性率を調べていくと「感度」と「特異度」という言葉が出てきました。

 

感度:疾患罹患者中の検査陽性者の割合

特異度:疾患非罹患者中の検査陰性者の割合

 

と定義されています。

 

感度=陽性を見分けられるか

特異度=陰性の判断が正しいのか

 

となります。

 

陽性率は、感度のことだと考えられますが明記が無く、どのように調べたのか背景も不明でした。

 

検査キットを更に調べてみると、感度が高く80~90%という先生もいれば、60~70%程度という先生もおり、よく分からなくなってきました。

 

2012年3月6日付けの日経メディカルに検査キットの精度について発表された論文の記事がありました。

以下引用です。

 

インフルエンザの迅速診断検査の精度を検討した研究を対象としたメタ分析で、市販されている迅速診断検査全体の特異度は98.2%と高いが、感度は62.3%であることが分かった。著者であるカナダMontreal 大学のCaroline Chartrand氏らは、「陽性判定時に偽陽性が存在する可能性は低いが、陰性判定だった人々の中には偽陰性患者が混じっていることに注意しなければならない」と述べている。論文は、Ann Intern Med誌電子版に2012年2月27日に掲載された。

 

個々の比較で報告されていた感度は、4.4%から100%とばらつきが大きかった。感度に比べて特異度のばらつきは小さく、50.5%から100%の間で、85%以下の値を報告していたのは17件(10.7%)にとどまった。

 

データをプールして求めたサマリー感度は62.3%(95%信頼区間57.9-66.6%)で、サマリー特異度は98.2%(23.8-98.7%)。これらの値を基に計算した陽性尤度比は34.5(23.8-45.2)、陰性尤度比は0.38(0.34-0.43)になった。

 

感度は小児よりも成人の方が低かった。成人に迅速検査を行った場合の感度は53.9%(47.9-59.8%)、小児は66.6%(61.6-71.7%)(P<0.001)。特異度は、成人が98.6%(98.0-98.9%)、小児は98.2%(97.5-99.0%)で、有意差はみられなかった(P=0.135)。

 

また、A型インフルエンザに対する感度は64.6%(59.0-70.1%)だが、B型については52.2%(45.0-59.3%)と低い傾向が見られた。特異度はそれぞれ99.1%(98.7-99.4%)と99.8(99.7-99.9%)で同程度だった。

 

 

整理してみます。

①カナダMontreal 大学で研究され、2012年2月27日に学会誌に掲載された論文です。

 

②メタ分析論文です。

メタ分析論文とは、統計的手法を用いてランダム化比較試験(RCT)など複数の原著論文のデータを定量的に結合させる総説論文のことを意味します.メタとは分析の分析という意味で,個々の原著論文の分析をまとめてさらに分析することを表します.

 

③感度のばらつきは大きかったが、特異度のばらつきは少なかった。

 

④感度は62.3%、特異度は98.2%

 

⑤感度は小児より成人のほうが、統計的に有意に低かった。特異度は有意差はみられなかった。

 

⑤A型よりB型インフルエンザの感度は更に下がる。

 

 

検査を推奨する先生も実施する時間で感度が変わるとする別の記事も見つけました。

 

2018年11月20日 「夕刊フジ電子版」

 「発症からの時間と検査の陽性検出率は、一般的にキットでは発症から12時間未満が40%前後、13~24時間が50~90%、24時間以上では90%以上とされています。機器の場合には、発症から6時間経過していれば80%で、12時間超えれば90%以上の検出率です。検査のタイミングは発症後、早くて12時間以上、遅くても48時間以内に受けるのが適切です」

上記は検査を推奨している先生のお話です。

 

 

検査キットの法令上の扱いも調べてみました。

診療報酬上では、2009年9月18日付けの厚生労働省事務連絡で抗インフルエンザ薬の投与に当たって迅速検査の実施が必須ではないということを明記されています。

 

「必須ではない」という言葉が、いかにもお役所的な言い回しですね。

 

つまりは

「検査キットで検査をする必要無く、医師の判断のみで、抗インフルエンザ薬を出しても問題ない。」

ということです。

 

 

結論として

検査キットは思っているほどインフルエンザを見つけてくれない。(2012年の研究で62.3%ほど)

 

抗インフルエンザ薬の処方には、検査は必須ではない。

 

という結論になりました。

 

調べてみたら、

「検査キットは当院では精度が低く使用していません。」

と、自信を持って伝えていける結果が出ました。

 

大学病院の心療内科のHPを紹介します。

 

まずは、東北大学心療内科です。

 

<杉並国際クリニックの立場から>でコメントを加えることにしました。

 

東北大学付属病院のホームページから

 

心療内科のご案内

 

対象疾患と診療内容

消化器疾患 (その1)

消化器症状が持続するにもかかわらず、内視鏡、消化管造影、CTなど一般的な検査では異常が見つからないものを機能性消化管障害と呼びます。【過敏性腸症候群】や【機能性ディスペプシア】がその代表です。それだけでなく、機能性便秘、機能性下痢、中枢性腹痛症候群、機能性食道障害など、多くがストレス関連疾患の要素を持っています。慢性に経過するため、患者さんの生活の質(QOL)が著しく低下する病態です。機能性消化管障害を医療従事者側が比較的軽い病態と考えているのに対し、患者さん側が極めて重大に感じている”unmet medical needs”であることも判っています。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

消化器心身症診療(消化器疾患の心療内科診療)の国内のメッカである東北大学心療内科は、最初に消化器疾患の案内を掲載し、機能性消化管障害について詳しく説明しています。

 

機能性消化管障害とは、<消化器症状が持続するにもかかわらず、内視鏡、消化管造影、CTなど一般的な検査では異常が見つからないもの>という説明で十分だと思います。東北大学心療内科のように大学病院などの総合病院の心療内科の強みは、内視鏡、消化管造影、CTなど一般的な検査態勢が整っているため、除外診断(機能性消化管障害以外の、明らかな器質的疾患の有無を診断すること)が容易であるということです。

 

これに対して、高円寺南診療所30年の歴史で経験してきた典型例は『胃腸の具合が悪いので、大病院で精密検査を受けたのですが、異常が見つからず困っています』というパターンです。

 

除外診断は、心療内科の診療にあたっての大前提なので、このようなケースでは、初期から心身医学的アプローチを開始することができます。ただし、機能性消化管障害に関しては形ばかりでなく機能を評価しなければならないのですが、それが十分に検討されていないケースが多いことを知りました。そのため杉並国際クリニックでは、消化管造影検査をテレビ画像で観察することを、高円寺南診療所時代以上にしっかりと行っていく計画をたてています。

 

<機能性消化管障害を医療従事者側が比較的軽い病態と考えているのに対し、患者さん側が極めて重大に感じている”unmet medical needs”である>ということで、これが原因で患者さんが医療不信に陥ったり、ドクターショッピングを繰り返すようになったりするので現代医療に関する社会問題にまで発展しています。たしかに<慢性に経過するため、患者さんの生活の質(QOL)が著しく低下する病態>であるといえます。

 

杉並国際クリニックは、こうした不条理に悩む患者さんを温かく迎え入れ、一つ一つの診断および治療のステップを大切にする過程で、相互の確かな信頼関係を築き、真の意味での主治医機能を果たせるようになることを目指しております。

小倉百人一首を、皆で生き生きと歌って、異次元体験をしてみませんか!

 

聖楽院のレッスン生の皆様はもちろんのこと、水氣道会員の皆様をはじめ、そして杉並国際クリニックの会員の皆様

 

一首ごとに個性的な和歌を

 

コンコーネの美しいイタリアの旋律にのせて、古の歌人の魂を生き生きと歌ってみましょう。

 

 

世界で初めてのその試みが、CDとなって、今年リリースされます。

 

作歌 小倉百人一首収載歌人、

補作 飯嶋正広、作曲G.Concone

 

 

なお、今年の11月14日(木)には、杉並公会堂小ホール(198席)にて、杉並国際クリニック総合芸術祭の開催が決定しました。

 

新規参加者を募集しています。

 

 

 

コンコーネの調べで歌う小倉百人一首 収録企画

 

対象:コンコーネ50番 第1曲~第50曲

 

企画:飯嶋正広(聖楽院)

 

協力:及川音楽事務所

 

収録:相模湖文化交流センター

 

 

<歌唱分担一覧>

 

第1期収録(2019年5月12日予定)キャスト

 

メゾソプラノ:

望月友美(及川音楽事務所)

 

パリ国立地方高等音楽院を首席(プルミエプリ)で卒業後、

パリ市立17区ドビュッシー音楽院古楽アンサンブル科にて首席特別賞を受賞し卒業。

ドイツ・カールスルーエ国立音楽大学卒業。

ハルトムート・ヘル、白井光子両教授の同大学リートクラスにおいて歌曲解釈について研究し、最優秀の成績で卒業。国家演奏家資格取得。

 

第75回日本音楽コンクール声楽部門第1位併せて松下賞受賞。

トゥールーズ国際フランス歌曲コンクールにおいて日本人初のフランス歌曲大賞

オペラでは、『蝶々夫人』スズキ、『ジャンニ・スキッキ』ツィータ、

2014年に世界初演された二宮玲子作曲『MABOROSI-源氏物語』にて中将の君を演じ好評を得る。

二期会会員

 

 

カウンターテナー・バリトン:

本岩孝之(及川音楽事務所)

 

東京学芸大学教育学部D類音楽科卒業(バリトン及びテノール専攻)

東京藝術大学音楽学部声楽科卒業(テノール専攻)

東京藝術大学大学院修士課程古楽科バロック声楽専攻修了(カウンターテナー専攻)

 

バリトンとして、モーツァルト作曲《レクイエム》、ベートーヴェン作曲《第九》シューベルト作曲《ミサ曲第5番》のソリスト、モーツァルト作曲オペラ《フィガロの結婚》の伯爵役、林望作劇・二宮玲子作曲《MABOROSI~オペラ源氏物語~》光源氏役に出演。国民文化祭で皇太子殿下御前にてカウンターテナーで“君が代”を独唱。武州里神楽十世家元石山裕雅と「縄文の魂」を初演する等、クラシックの枠を越え、幅広い活動を展開している。バスの音域から、バリトン、テノール、カウンターテナーまで、4オクターヴにわたる驚異的な音域と幅広いレパートリーを、類い稀な美しい声で歌いこなす、唯一無二の声楽家。

 

 

テノール:

藤原拓実(聖楽院)

今春、東京藝術大学音楽学部声楽科卒業(テノール専攻)予定

今春、東京藝術大学大学院研究科オペラ専攻(修士課程)進学予定

2017年に聖楽院協力アーティスト(補)に就任以来、聖楽院コンサートで活躍中

2019年には聖楽院協力アーティストに就任予定。

 

 

伴奏ピアニスト:

向阪由美子(及川音楽事務所)

フェリス女学院大学音楽学部器楽学科(ピアノ)卒業。

ドイツ国立ブレーメン芸術大学演奏学科修了。

2006年第一回歌曲伴奏コンクール優勝。

これまで、フェリス女学院音楽学部副手、ブレーメン芸大在学中には同校声楽科の伴奏員、二期会オラトリオ講座ピアニストとして勤務。

 

 

伴奏ピアニスト:

吉田奈津子(聖楽院)

国立音楽大学卒業。ミラノ音楽院ピアノコース、ヴェルディ音楽院ピアノ科にて研鑽を積む。コンセール・ヴィヴァン新人オーディション合格。 クラシック音楽コンクール(トリノ)ピアノ部門第三位入賞。現在ソロ、声楽・器楽のアンサンブルピアニストとして活動。2015年に聖楽院協力アーティストに就任し、今回の企画の実現に至る過程で伴奏ピアニストとして最大の貢献を果たしている。

 

 

 

第2期収録(2019年6月9日予定)キャスト

ソプラノ:

竹下裕美(藤原歌劇団)

     

東京藝術大学音楽学部声楽科、同大学院修士課程オペラ科修了。

2012年度明治安田クオリティオブライフ文化財団の海外音楽研修生及び、2016年度文化庁新進芸術家海外派遣として、ウィーンに留学。

2017年ウィーン国立音楽大学オペラ科卒業。

2015年シェーンブルン宮殿歌劇場にて「ジャンニ・スキッキ」のネッラ役、2016年エストニアの劇場にてニューイヤーオペラコンサートにゲスト出演。

 

 

テノール:藤原拓実(紹介済) 

 

 

テノール:

飯嶋正広(聖楽院/及川音楽事務所) 

     

第39国際芸術連盟新人オーディション合格。

第3回東京国際声楽コンクール本選入賞。

第3回山手の丘音楽コンクール本選入選。

第22回日本クラシック音楽コンクール全国大会入選。

第26回及川音楽事務所新人オーディション特別賞。

 

声種は川上洋司よりリリック・テノールとされ、また、オーストリア宮廷歌手ガザリアン教授より、ハイ・バリトンとしての声質も評価される。

毎年3月にウィーン国立音楽大学にて、クラウディア・ヴィスカ教授らの個人集中レッスンを受けている。

声域は、バリトンからカウンターテナー(アルトからメゾソプラノ)に及ぶ。なお、本邦発祥の心身医学療法として自ら創設した水氣道の実践により、聖楽療法「四声唱法メソッド」の着想を得て、聖楽院を設立し、現在も発展を遂げつつある。

 

 

伴奏ピアニスト:

向阪由美子(紹介済)

 

 

伴奏ピアニスト:

黒木洋平(聖楽院)

 

東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。

2013年よりドイツ・フライブルグ音楽大学修士課程においてアンドレアス・インマー氏のもと研鑽を積む。

2015年同科の全ての卒業試験を最高点で終え、首席で卒業。その後、同大学のAdvanced Studies科に在籍。2017年同科の卒業試験においても最優秀の成績を収め首席で卒業。

第28回全九州高等学校音楽コンクールピアノ部門グランプリ。

第59回全日本学生音楽コンクール福岡大会第2位。

第6回東京芸術センター記念ピアノコンクール入賞。

第6回ロードス(ギリシャ)国際ピアノコンクール・ディプロマ。

第7回ロザリオ・マルキアノ国際ピアノコンクール(ウィーン)第3位。併せてウィーン古典楽派作品最優秀演奏賞ならびにアダム・ブランデンブルグ作品最優秀演奏賞を受賞。

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聖楽院<ボンジュール教室>開設のお知らせ

聖楽院のレッスンは、これまでは東高円寺の<音海教室>のみでしたが、

平日のレッスンが困難な皆様の要望に応えて新たに開設しました。

開催日・時間:

原則として第一日曜日11:00~12:00am(60分)

 

開場:

高円寺南<シャンソン&カラオケの店>ボンジュール

高円寺南4丁目7番4号(診療所を出て徒歩約2分)

 

 

初年度(2019)年間スケジュール

第1回:4月7日(日)

第2回:5月6日(月・祝)

第3回:6月2日(日)

第4回:7月7日(日)

第5回:8月4日(日)

第6回:9月1日(日)

第7回:10月6日(日)

第8回:11月10日(日)

第9回:12月10日(日)

<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液・精・神(5)>

 

 

<はじめに>

 

前回は「血」「津液」のお話をしました。

 

 

今回は*「五臓」と「血」(血液)の関係についてお話していきます。

 

 

(*「五臓」については後ほど詳しく触れていきます。西洋医学の肝臓、心臓、脾臓とご理解ください。)

 

 

その前に復習になりますが、「氣」と「血」の関わりについてお話します

 

・「氣」から「血」が作られます、これを「氣化作用」と言います。

 

 

・「氣」の流れに従い「血」も流れます、これを「推動作用」と言います。

 

 

・「氣」が「血」を体外に流さないように調節しています、これを「固摂作用」と言います。

 

 

<「血」と「心(しん)」「肝(かん)」「脾(ひ)」の関わりについて>

 

 

「五臓」とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」のことでしたよね。

 

 

「心」は 「血」との関わりが強い臓腑です。「心」の働きが「血」の循環に大きく関わっています。(推動作用)

 

 

「肝」は「血」を貯蔵する働きをしています。

 

 

「脾」は「血」を身体から出血させないようにしています。(固摂作用)

 

 

氣の働きだけでなく「五臓」の働きも「血」の働きに関与しているのがわかると思います。

 

 

「五臓」働きのについては後ほど詳しく触れていきますので、楽しみにしていて下さい。

 

 

<まとめ>

 

・「氣」から「血」が作られる(氣化作用)

 

 

・「氣」と「心」の働きによって「血」は身体を流れる(推動作用)

 

 

・「氣」と「脾」の働きによって「血」が体外に漏れない(固摂作用)

 

 

・「肝」は「血」を貯蔵する(「肝」には他にも働きがありますが、後日詳しくお話していきます)

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭