最新の臨床 2月8日(金)アレルギーの病気についてQ&A

アレルギー

 

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に杉並国際クリニックからのメッセージを加えています。

 

薬物アレルギー③

 

Q5 

薬物アレルギ-を診断するためには、どんな検査がありますか?

 

A

原因薬物を特定する検査として、血液検査、皮膚テスト、再投与試験があります。このなかで、最も確実な診断方法は再投与試験ですが、再投与により症状が再びあらわれ、重い症状が誘発される恐れがありますので、その必要性と安全性を十分考慮して行います。そのため、再投与試験の前に、より安全な検査を行うことが一般的です。

 

例えば、アナフィラキシーを発症した患者さんでは、即時型アレルギーをみる皮膚テスト(プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テスト)を、遅延型アレルギーではパッチテストといったように、症状に合わせて検査を選びます。また、遅延型アレルギーの血液検査に、リンパ球刺激試験(DLST)がありますが、検査の信頼性は低く、それだけで診断できないことがあります。

 

再投与試験以外の検査は、薬剤によって陽性率が異なり、陰性であっても原因薬剤を否定できない点に注意が必要です。したがって、専門医のもとで、総合的に判断されることが重要です。

 

 

杉並国際クリニックからのメッセ―ジ

回答では、種々の専門的な検査方法を紹介していますが、検査法については、すべてのアレルギー反応に適用できる確実な方法はないことに留意してください。結局のところ、複数の薬剤から絞り込む際には、過去の報告が重要であり、適切な検査は、あくまでも参考にして原因薬を確定させることになります。

 

薬物アレルギーの診断に至るためには、まず、症状が薬物で引き起こされている可能性を疑うことが重要です。たとえば、注射薬を投与している最中か直後にアナフィラキシーを発症する場合の判断は容易です。

 

しかし、時間が経過してから発症する場合には患者さんの協力が不可欠です。患者さんとの真の信頼関係が築かれていないと、アレルギー専門医であってもこの可能性を疑うことすらできないことがあるからです。

 

臨床の現場で一番困るのは、患者さんが遠慮して症状の申告をためらい、自己判断で経過観察をすることです。しばしば、「様子をみていました」とおっしゃるのですが、「様子をみてみましょう」とか「様子をみてください」という言葉は医師から発せられるべき言葉であって、決して患者さんから発せられてはならない言葉です。

 

経過観察は、専門家の視点から行われるべきで、素人の患者さんが行うべきものではありません。後になって「自己責任で」とまでおっしゃる方までもいらっしゃるのですが、その後のサポートをするのは医師なのですから、ご一考願いたいところです。

 

さて、患者さんが症状を的確に伝えてくださったと仮定しましょう。

 

難しいのは、他の医療機関でも薬を処方されている場合です。薬物の相互作用という問題もあります。

 

その場合の薬物アレルギーの診断のためには、症状発現までの時間経過、発症以降の症状の変化、とりわけ、薬物と症状との間に妥当な時間的関係があるかを確認する問診が特に重要です。

 

以下の3点は、FDA方式の原因薬検索のアルゴリズムにも含まれている重要なポイントです。それを紹介しておきましょう。

 

①薬物投与と症状発現との時間的関係 

いつ頃に、どのような症状に対して何という薬物(複数であれば、そのすべて)を何日間使ったときに、どのような時間経過で、どのような症状が出現したのか?

 

②薬物投与中止後の症状改善

薬物はいつ中止したのか?

症状は、どのような経過で治ったのか?

 

③ 薬物再投与が行われた場合の症状再発

その後、同じ薬剤を使ったことがある場合には、同じ症状が誘発されたのか?

その時間経過はどうであったか?