最新の臨床医学 2月7日(木)骨粗鬆症についてQ&A

りうまち

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

HPで確認することができます

 

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。

 

骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

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Q6

「骨粗鬆症にはビールが良い」というのは本当ですか

 

A

2002年7月19日から開催された「第56回日本栄養・食糧学会」(北海道大学)において、動物モデルを用いたビールの骨密度減少抑制作用に関する研究が報告されました。これによると、ビールに含まれるホップ成分に骨密度の減少を抑制する作用がある可能性を示し、ラットでの結果を人に換算したところ、ビールの適量摂取(体重60kgの成人で約100mLに相当)が、骨密度減少に効果的に働き、骨粗鬆症発症のリスクを低減する可能性が示されています。

 

アルコールは百薬の長と言われますが、適量を守り、週に1日は休肝日を設けて、健康維持に努めましょう。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

ビールが骨粗鬆症に良いとは直ちにはいえません。「骨粗鬆症にはビールが良い」というのは三重の拡大解釈であり、科学的見解とは程遠い、商業主義的キャッチに他なりません。

 

まず、第一に研究で用いられたのはビールではなくてホップ由来の苦味成分イソアルファ酸の還元体である、テトラヒドロイソアルファ酸です。第二に、骨粗鬆症とはいっても、対象はヒトの骨粗鬆症ではなく老年性骨粗しょう症モデルマウスです。第三に、骨粗鬆症の治療効果ではなく、あくまでも破骨細胞による骨吸収抑制です。

 

このキャッチの根拠は、サッポロビール(株)が、東京農業大学応用生物科学部栄養科学科と行ったかつての共同研究です。この研究によると、ホップ由来の苦味成分イソアルファ酸の還元体である、テトラヒドロイソアルファ酸(以下、THIAA)について、細胞実験および動物実験で骨粗しょう症予防効果を老年性骨粗しょう症モデルマウスで検証しました。その結果、THIAAの老年性骨粗しょう症予防効果が明らかになり、そのメカニズムは、破骨細胞による骨吸収の抑制に起因することが分かりました。

 

国際骨粗鬆症財団は、骨質を高め、骨折を防ぐために、次の6項目の生活スタイルを勧めています。多くは糖尿病の食事療法や運動療法と重なっています。糖尿病を改善するための生活スタイルは、骨粗鬆症の予防にも役立つことになります。

 

①過度のアルコール摂取に注意

適度な飲酒をしている人では、骨粗鬆症のリスクが低下するという報告もありますが、適量飲酒と自己判断している人の多くが過量飲酒者です。そして過度のアルコール摂取も骨粗鬆症のリスクを高めます。エタノール換算で1日に24g以上を摂取している人は、大腿骨近位部骨折のリスクが70%上昇します。 なお体重の少ないやせた女性ほど、アルコールの弊害を受けやすいので注意が必要です。 ホップが実験動物だけでなくヒトの骨粗鬆症予防に役立つとしても、過度のアルコール摂取となると、逆効果でさえあります。

 

 

 ②体重をコントロールする

肥満は骨粗鬆症の危険因子となるが、やせも骨粗鬆症の発症リスクを高めます。ダイエットをして体重が急激に減ると、骨粗鬆症のリスクが高まります。ダイエットで栄養が不足すると、必要なカルシウムの摂取量も減少するからです。 BMI(体格指数)が18.5以上25未満の標準体重を維持することが重要です。

 

ホップ自体にはカロリーはありませんが、ビールもアルコール飲料ですからカロリーは低くはありません。ノンアルコールビールにも麦芽を使用していますから飲み過ぎれば、ビール太りします。これに対してカロリーゼロのホップ飲料は肥満防止には有益かもしれません。もしビールを飲んで肥満になれば、ホップの効果が打ち消されてしまい、骨粗鬆症予防の目的を果たすことはできなくなることでしょう。

 

 

②バランスの良い食事

カルシウムと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品をとることが大切。ブロッコリーやホウレンソウ、納豆などに含まれるビタミンKにも、骨を作る働きを促す作用があります。 

 

 

③骨を強くする運動

骨を丈夫にするために、年齢を重ねるとともに運動がますます重要になります。ウォーキングなどの有酸素運動に筋力トレーニングを取り入れると、いっそう効果的です。

 

閉経を迎えた女性がウォーキングなどの運動をすると腰椎骨密度が上昇しますが、さらにジョギング、ダンス、ジャンプなどのより負荷の大きい運動をすると大腿骨近位部骨密度が上昇することが確かめられています。

 

水氣道は、ウォーキングより負荷の大きい水中運動です。しかもジョギング・ダンス・ジャンプなどのすべての要素を体系的に盛り込んでいるため、理論上、骨密度増加には理想的であり、参加者の個人データや集計データでも骨量増加が実証されています。

 

 

④たばこを吸わない

喫煙は骨粗鬆症のリスクを高め、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、大腿骨近位部骨折のリスクが2倍近く上昇することが明らかになっています。

 

 

⑥検査を定期的に受ける

40歳を過ぎたら、医師に骨の健康状態を評価してもらうことも必要です。

高円寺南診療所では、45歳以上を目安に骨量をチェックしてきましたが、

杉並国際クリニックでは、40歳以上を対象にする予定です。