診察室から:2月5日 インフルエンザは「バカの壁?」1/4

「安くて便利、良心的というキャッチは、多くの皆様方にとっては魅力的なようですが、多くの消費者にとっては落とし穴であることが多く私は常に警戒しています。」

 

 

インフルエンザは、安くて便利を志向しがちな大衆が増加するほど流行する感染症です。

 

今年は昨年以上にインフルエンザが流行しています。すでに感染してしまったという人も、決して安心してはいけません。インフルエンザにはA型とB型があり、最悪の場合には同じ時期に「2回」もかかってしまうことがあるからです。

 

インフルエンザの流行期には、ニュース、コマーシャル、インターネットなどで、いろいろな予防法も紹介されます。しかし残念ながら、このような情報の中には、効果の低い対策も含まれています。

 

しかし、なぜ、このようにインフルエンザが流行するのかについての確かな情報は得られていません。多くは仮説の域を脱していないようです。そもそもインフルエンザは、どのようにして人から人へと感染していくのでしょうか。ここでは、その原因をしっかりと理解することで、より正しい予防法を考えてみることにしましょう。

 

 

おなじみの「よくある質問Q&A方式」で、今回から4回シリーズでまとめてみることにしました。

 

 

Q1

.同じ電車にいるだけで感染するのか?

 

A

同じ電車の車両にいるだけで、インフルに感染すると考えておいた方が無難でしょう。

 

同じ電車の車両にいるだけで、インフルに感染するというわけではない、と説明する専門家がいます。その理由は、日常的な感染症で「空気感染」するのは、結核、麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)の3つだけで、インフルエンザは「空気感染」の感染症ではないというのがその根拠のようです。

 

しかし、私は、同じ電車の車両にいるだけで、インフルに感染すると考えます。その理由はインフルエンザが「飛沫(ひまつ)感染」でうつるからです。

 

「飛沫感染」では、くしゃみや咳で飛んでいくのは、「空気感染」と比べて大きくて、水分を含んだ重い粒なので、口から飛び出しても、通常は1~2m以内で地上に落ちます。このようなタイプの感染では、くしゃみや咳をする人から2m以上の距離を置くことができなければ、感染する可能性があります。

 

満員電車の中で座っている人は、吊革につかまって咳をしている人の直撃を受けます。距離をおくことも難しいので要注意です。

 

 

Q2.

インフル感染に対する第一の予防対策は?

 

A

「手洗い」はインフル予防のための最も重要な対策です。手洗いの有効性はすでに明らかですが、日常生活の中で、とくに外出時などでは、それほど頻回に繰り返すことはできません。

 

したがって、優先すべき手洗いのタイミングも考えることも大切です。人の多く集まる場所、環境に頻回に触れる場合、マスクを取る時などが、手洗いの効果が高いタイミングです。インフル予防のためのマスクが、かえってあだになる可能性があるので、マスク着用者こそが油断せずに手洗いを励行してください。

 

また、医療現場や食品衛生で行われているように、冷たい水で30秒以上かけて手の隅々まで洗うことを、日常生活で繰り返すことも大変です。最低でも、口や手に触れる指先、手のひらを中心に洗ってください。また、水道がないところでは、市販されているアルコール製の手指衛生剤も有効です。

 

インフルエンザを発症している人が、自分の口や鼻に触れると、その手にウイルスがつきます。そして、ウイルスのついた手で、ドアノブ・手すりなどの様々な場所に触れると、環境が汚染されてしまいます。さらに、その場所に触れた別の人が、手で口や鼻に触れるということによって、感染は人から人へ広がっていきます。

 

「感染した人の口や鼻→手→環境→他の人の手→口や鼻」・・・このような手を介しての感染は、予想以上に多く起こっています。

 

 

今回のまとめ:

「第一のバカの壁」は、正しい情報を提供できていない国家の無策が作る壁、ということでした。近年、信頼を失墜させてしまっている厚生労働省だけでなく、国土交通省など、十分な情報提供を心掛けず、国民全体に不利益を与えてしまう無責任バカです。