漢方治療に関しては以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

 

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」を紹介しています。

 

最後に<杉並国際クリニックからのメッセージ>を加えてきました。

 

 

 Q

授乳中ですが漢方薬なら飲んでも乳児に影響はないですか?

 

A

薬の種類にもよりますが、お母さん・赤ちゃんの状態を総合的に判断する必要があります。乳汁に移行するとされる場合でもお母さんに吸収された成分のわずか1%以下と言われており、これが赤ちゃんにどの位の影響を与えるかを考える必要があります。

 

構成生薬として下剤に用いられる大黄が配合されている処方の場合、大黄の主成分であるアントラキノン誘導体は母乳中に移行して乳児に下痢を起こす可能性があることが知られています。大黄の入った漢方薬は授乳中は服用を避けるか、授乳を一時中止してください。

 

詳しくは医師または薬局・薬店にご相談ください。

 

 

<杉並国際クリニックからのメッセージ>

 

授乳中の薬剤使用にあたっては、薬剤の添付文書をもとに判断することが原則となります。実際には、国内外を問わず添付文書では動物実験における母乳移行データをもとに「授乳を避けること」と記載されています。

 

海外では母乳の利点を生かすため、母乳移行薬物による乳児の影響をヒトのデータに基づき正確に評価する考え方が浸透しています。

 

たとえば、乳汁中/血漿中濃度比(M/P比)、相対的乳児投与量(RID)などのヒト母乳への薬物移行性あるいは乳児が母乳を介して摂取する薬物量に基づき評価数ことを推奨しています。

 

国立研究開発法人国立成育医療研究法人センターのホームページには、以下のコラムがあります。

 

授乳中にお薬を使うにあたって知っておいていただきたいこと

授乳中に安全に使用できると考えられる薬(一覧表)

授乳中の使用には適さないと考えられる薬

妊娠中・授乳中のお薬Q&A

授乳と薬の電話相談について

 

 

漢方薬は、<授乳中に安全に使用できると考えられる薬(一覧表)>にも<授乳中の使用には適さないと考えられる薬>にも掲載されていません。漢方薬を薬剤として無視しているか、そもそも漢方薬を薬と認めていない立場なのか、あるいは、漢方薬に関してはデータが不十分なのか判然としません。

 

 

ツムラのホームページのQ&Aが若干の言及しています。

 

Q

授乳中ですが漢方薬は飲めますか?

 

A 

薬の種類、服用期間、お母さん及び赤ちゃんの状態などを総合的に考慮する必要があります。例えば、便秘に効果のある漢方薬をお母さんが飲んでいると、その授乳を受けた赤ちゃんが下痢するということがあります。その他の漢方薬については、いまのところ問題となる報告はされておりませんが、念のため、受診する時、あるいは薬局薬店でお薬を買う時に、授乳中であることをお申し出ください。

 

⇒「便秘に効果のある漢方薬」とは、一般的には大黄を含む漢方薬を指すものと考えてよいでしょう。しかし、実際には、大黄だけではないようです。

 

 

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のホームページには、より具体的なQ&Aがあります。

 

Q

授乳中です。赤ちゃんに影響の少ない市販の便秘薬はありますか?

 

A

赤ちゃんへの影響はないと考えられているくすりもあります。薬局で便秘薬を買う時には、薬剤師に授乳中であることを伝えて相談してください。

 

解説

便秘薬は、大まかに、(1)腸の粘膜を刺激して腸の動きを活発にするものと、(2)便に水を含ませ便を軟らかくするものに分類されます。

 

(1)に分類される便秘薬のうちピコスルファートナトリウムやビサコジルは母乳中へはほとんど移行しないので乳児への影響はないとされています。しかし、例えば、センノシド、センナ、ダイオウ、カサンスラノールなどは母乳中に移行して乳児に下痢を起こすことがあるとされています。これらを服用する場合は、授乳しないでください。

 

(2)に分類される酸化マグネシウム、グリセリンなどは、水分を腸管内に移行させて便のかさをふやし、軟らかさを保ちます。通常は体内にほとんど吸収されないので乳児への影響はほとんどないと考えられます。

 

まず問題ないとされるくすりでも、赤ちゃんに軟便や下痢など普段と違った様子がないかよく観察しながら服用(使用)してください。

 

便秘薬の使用に加えて適度な運動と十分な水分摂取や、サツマイモ、セロリ等の繊維の多い野菜を摂るなどの食生活の工夫も併せて行うと効果的です。くすりを服用しても便秘が長期にわたる場合は医療機関を受診してください。その際は、授乳中であることを医師に必ず伝えましょう。

アレルギー

 

 

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会のホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に杉並国際クリニックからのメッセージを加えています。

 

 

薬物アレルギー②

 

 

Q3

薬物アレルギーを起こしやすい薬はありますか?

 

 

A

抗菌薬や消炎鎮痛薬、感冒薬、抗痙攣薬、痛風治療薬は、薬物アレルギーを起こしやすく、また重症型になる恐れもあるため注意が必要です。

 

抗菌薬では、ペニシリンやセフェム系などの抗菌薬が即時型、遅延型のアレルギー反応ともに多く起こしやすいのですが、テトラサイクリン系の抗菌薬やサルファ剤、抗結核薬などもアレルギーを引き起こします。

 

それらに次いで、高血圧や糖尿病の治療薬や、画像検査に用いられる造影剤、局所麻酔薬、抗腫瘍薬、関節リウマチ治療薬によるものも少なくありません。

 

また、薬剤には食物成分が含まれることがあり、卵や牛乳アレルギーがある人は注意が必要です。消炎鎮痛薬には卵由来の塩化リゾチームが、下痢止めには牛乳由来のタンニン酸アルブミンが含まれている場合があります。

 

 

杉並国際クリニックからのメッセ―ジ

 

薬剤アレルギーは他の疾患と比べて扱いづらいところがあり,医原性であり、かつ正確な診断と有症率調査が難しいという特徴を持っています。

 

薬剤アレルギーは,今まで国内にも国際的にも確立されたガイドラインがありません。臨床現場で当該薬剤を投与される患者数を,短期投与から長期投与までを正確に全数把握するのも困難であり,投与患者総数に対して薬剤アレルギーを発症した患者の比率の算出が極めて難しいです。眼前で起きてほしくない不運,あるいは予知・予測とはほど遠い偶発的事象と捉えられがちです。

 

とりわけ、薬剤アレルギーの診断基準が確立していないことがで問題が生じ、医学的論争の原因になっています。

 

症状,機序が多様であるだけでなく,アレルギー機序で生じたのではない反応(例:X線造影剤によるアナフィラキシー)や,機序不明の反応も薬剤アレルギーに含めることも多く,検査についても万能なものがありません。さらには,医師により薬剤アレルギーの解釈が異なっており,IgE依存性のI型反応だけを薬剤アレルギーと称する医師・研究者も少なくありません。 

 

2015年にJ Allergy Clin Immunol誌に掲載された米国の報告(平成25年3月19日に開催された,薬剤アレルギーに関するワークショップの概要) 1)によると,drug allergy(薬剤アレルギー)という用語自体が検討対象となっており,代案としてdrug hypersensitivity(薬剤過敏症)も検討されました。そして、後者については機序が免疫機序に限らない(例えば, 代謝酵素欠損による副作用も含むことになる)という懸念が示されています。

 

 

薬剤アレルギーのうちでも,内科医にとって重症度や緊急度の観点から特に注意を要するのは,即時型反応(アナフィラキシーや蕁麻疹)と重症薬疹です。そこでアナフィラキシーについて説明します。

 

アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入に寄り、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危険を与え得る過敏反応」をいいます。とくに、「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」を、アナフィラキシーショックといいます。

 

アナフィラキシーの多くは 

①免疫グロブリンIgEが関与する免疫学的機序により発生し、食物,刺咬昆虫(蜂、蛾)の毒、薬剤が誘因となります。とりわけ、薬剤は②IgEが関与しない免疫学的機序、および③マスト細胞を直接活性化する非免疫学的機序によっても、アナフィラキシーの誘因となりえます。また、造影剤は、IgEが関与する機序と関与しない機序の両者により、アナフィラキシーの誘因となりえます。

 

① 免疫グロブリンIgEが関与する免疫学的機序:βラクタム系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬、非ステロイド系消炎鎮痛薬、造影剤、生物学的製剤など

 

②IgEが関与しない免疫学的機序:非ステロイド系消炎鎮痛薬、造影剤、デキストラン、生物学的製剤など

 

③ マスト細胞を直接活性化する非免疫学的機序:オピオイドなど

 

以上を俯瞰してみると、アナフィラキシーを起こしやすい薬剤を用いなくてはならないのは、整形外科医、リウマチ専門医、ペインクリニック専門医、感染症専門医などであることが浮き彫りになってきます。薬剤アレルギーで大きなリスクを念頭に、常に警戒していなければならない専門領域ということになります。

りうまち

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

 

Q4

コーヒーやコーラはカルシウムの吸収を妨げてしまうのですか

 

A

コーヒーの中に含まれるカフェインには、尿を出す利尿作用があるので、あまりたくさんコーヒーを飲み過ぎると、尿と一緒にカルシウムも排出されてしまいます。1日にカップ5杯以上飲むと骨に影響が出るとも言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。たまにはミルクを入れてカフェオレにしたり、カルシウムの多い食品を食べるなど、カルシウムを補給しながら飲めば、骨への影響を最小限に抑えることができます。

 

なお、同じカフェインを含む飲み物でも、紅茶や緑茶は骨粗鬆症を予防する効果があるようです。

 

コーラにはリン酸が多く含まれており、カルシウムの吸収を妨げるので、 あまり大量には飲まない方が良いでしょう。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

日本コカ・コーラ株式会社が提供する飲料アカデミー

<カフェインと骨の健康の関連性>の記事が興味深い見解を公表しています。

 

まずは、上記の記事の抜粋をお読みください。皆さんはどのように理解されるでしょうか?

 

 

骨の健康と、リン酸およびカフェインを含む飲料との関係

 

疫学調査で、コーラ飲料を摂取した思春期の少女の骨の健康が悪化した、という結取により、骨吸収を促したり、あるいはカルシウム吸収が阻害され、骨形成が低下するのではないかと考えられるようになりました。

 

しかし、科学者および患者支援組織が過去15年間にわたり実施してきた研究では、カルシウム摂取が十分であれば、リン酸やカフェインを含む炭酸飲料を摂取することで、健康な人の骨が弱くなったり、骨粗鬆症を発症したりすることはないと結論づけられています。

 

2010年のカルシウムおよびビタミンDの推奨摂取量の改定に際して、米国医学研究所(U.S. National Academy of Sciences’ Institute of Medicine:IOM)は、体のカルシウムバランスに影響を与える可能性がある食事に関するレビューを発表しています。

 

その結果によると、カフェインはカルシウム排泄を適度に促進し、骨への吸収を阻害しますが、1日にコーヒー2~3杯程度のカフェイン摂取では、牛乳をあまり飲まないなどカルシウムの総摂取量が極端に少ない場合でなければ、骨量の減少は見られませんでした。

 

また、食品中のリン酸もカルシウム吸収に悪影響を及ぼさないことも明らかになりました。

 

なお、IOMはリン酸を多く含む炭酸飲料の消費量が骨量減少および骨折増加と関連することを示す複数の研究があるものの、「これはリンそのものが問題ではなく、牛乳の代わりに炭酸飲料を飲んだことによるカルシウム摂取不足が原因なのではないか」としています。

 

2006年に国際骨粗鬆症財団(International Osteoporosis Foundation:IOF)は、炭酸飲料、特にコーラ飲料の摂取による骨への影響を調査し、栄養と骨の健康に関するレビューを発表しました。

 

このレビューでは、「いくつかの観察的研究で、10代の青少年における多量の炭酸飲料の摂取が、骨密度(bone mineral density:BMD)の減少や骨折率の増加に関連しているとされている。しかし、これらの飲料の摂取が骨の健康に悪影響を及ぼすという根拠はない」と述べています。

 

要点:

カフェインやリン酸を含む炭酸飲料を飲んだとしても、骨が弱くなったり、骨粗鬆症の原因となったりすることはありません。骨の専門家は、強い骨を作り、維持するためには、バランスの良い食事で十分なカルシウムとビタミンDを摂取し、適度な運動を行うことを推奨しています。また、その他の栄養素、例えばビタミンK、ビタミンA、マグネシウム、亜鉛、タンパク質なども、健康な骨を作るのに重要な役割を果たしています。

 

 

如何でしたか。以上の記事を読んで、新たにコカ・コーラ(リン酸およびカフェインを含む飲料)を飲みはじめようという気持ちが湧いてきたでしょうか。皆さんが、この記事を読んでコカ・コーラのファンになるとすれば、日本コカ・コーラ株式会社の狙い以上の成果となるでしょう。

 

なぜならば、この記事を読んで安心するのは、これまでコカ・コーラのファンだった方で、健康問題に不安がある方が主体だろうと推測できるからです。日本コカ・コーラ株式会社は日本たばこ産業株式会社と同様に、守りの態勢に入っているように思われます。

 

なぜならば、まず第一に、コーラ飲料によるデメリットの可能性は完全に払拭されてはいないにもかかわらず、メリットには一切言及できていないからです。第二に、明らかに論点をすり替えています。米国医学研究所(IOM)は、むしろリン酸を多く含む炭酸飲料の消費量が骨量減少および骨折増加と関連することを示す複数の研究があることを強調し、むしろデメリットの証拠を列挙しています。

 

しかも「これはリンそのものが問題ではなく、牛乳の代わりに炭酸飲料を飲んだことによるカルシウム摂取不足が原因なのではないか」というIOMの考察は、炭酸飲料の愛飲者は、骨にとってメリットの大きい牛乳の摂取量が減少する可能性までをも示唆していることになります。

 

これは、ある意味、当然の帰結です。一日の水分摂取量は概ね一定しているとすれば、ある種の飲料の摂取が増えれば、他の種類の飲料の摂取は、その分、減少することになるからです。コーラの摂取量が増えれば、当然、牛乳の摂取量が減って骨が弱くなる可能性については否定できないはずです。

 

第3に肯定的な結論を導く論理的整合性がなく、ぼかしてあります。以下の情報を要点に掲載していますが、これは何を意味するのでしょうか。

 

 

骨の専門家は、強い骨を作り、維持するためには、バランスの良い食事で十分なカルシウムとビタミンDを摂取し、適度な運動を行うことを推奨しています。また、その他の栄養素、例えばビタミンK、ビタミンA、マグネシウム、亜鉛、タンパク質なども、健康な骨を作るのに重要な役割を果たしています。

 

いわんとすることは、つまり、コーラを飲み続けながら強い骨を作り、維持するためには、コーラを飲まない人よりも一層厳重な健康管理が必要である、という結論になるはずです。これは知性の劣る消費者層へ向けての印象操作です。賢者にとっては苦しい言い訳にすらなりません。

 

Q1-4 

糖尿病は1種類ではなく、複数の病型があると聞きました。病型の分類はどのように行うのですか?

 

【要点】

  • 糖尿病の成因分類は、糖尿病の他に糖代謝異常を含めた分類です。
  • 糖尿病と糖代謝異常の成因は、大きく分けて、(Ⅰ)1型、(Ⅱ)2型、(Ⅲ)その他の特定の機序・疾患によるもの、(Ⅳ)妊娠糖尿病の4つに分類します。なお、現時点でどれにも分類できないものを分類不能とします。
  • 糖尿病の分類は、原因による分類(成因分類)が主体です。ただし、インスリン作用不足の程度に基づく病態(病期)を併記します。
  • 成因分類にあたっては、家族歴、発症年齢と経過、身体的特徴、膵島関連自己抗体、ヒト白血球抗体(human leukocyte antigen : HLA),インスリン分泌能/インスリン抵抗性の程度、遺伝子検査など、種々の臨床的情報を総合して判断します。
  • 一人の患者が複数の成因を持つことがあります。

 

 

Q1-4-1 

糖尿病は、すべてが生活習慣病ではない、というのは本当ですか?

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

糖尿病患者の大多数を占めるのが2型糖尿病です。その成因には多因子遺伝が想定されています。

 

これらはインスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝因子です。

 

こうした遺伝要因に加えて、過食(特に高脂肪食)・運動不足などの生活習慣、およびその結果としての肥満が環境因子として加わると2型糖尿病を発症し易くなります。糖負荷後の早期のインスリン分泌低下が特徴です。

 

しかし、インスリンが枯渇し、病期がインスリン依存状態まで進む割合は限られています。

内科2

 

 

日本循環器病学会のHPには、有益情報が満載されていますので、

それを紹介します。

 

最後に、杉並国際クリニックからのコメントを加えました。

 

 

心疾患など、慢性疾患を有する人たちは以前には病状の悪化を恐れるあまり、医師でさえも運動を禁止する傾向にありました。

 

それが、最近では運動によって患者の生活の質・人生の質(QOL)が改善することが明らかにされてきました。

 

現在では、むしろ許容範囲内であれば運動・スポーツへ参加することを勧めています。

 

心疾患患者の学校、職域、スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン(2008年改訂版)では、学校、職域、スポーツにおける心疾患の重症度に応じた運動許容条件を示しています。

 

ただし、心疾患患者の運動許容条件については、無作為化比較試験のような高いエビデンスがありません。

 

そこで、水氣道®では、心疾患患者の重症度の判定やそのための検査についてのエビデンスを利用して、参加者のフィットネス検査(体組成・体力検査)を実施し、運動療法としての有効性を検証するとともに、その前提として安全性の高いプログラムを構築してきました。

 

心疾患患者の水氣道®稽古における運動許容条件を『疾患患者の学校、職域、スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン(2008年改訂版)』から学ぶことはとても意義があるといえるでしょう。

 

 

ガイドラインから学ぶ心疾患患者の水氣道®稽古における運動許容条件

 

Q1.

心疾患における運動許容条件は、なぜ必要なのですか?

 

A.

スポーツにおける突然死を可能な限り予防するためです。

 

心疾患による事故、特に心臓性突然死の実態を把握すれば、その予防対策としての運動許容条件が浮き彫りになってくることでしょう。運動許容条件は、運動量だけでなく、競技におけるストレス、脱水の有無、運動に対する動機、意欲、態度などスポーツをする側の条件や天候、気候、湿度、高度などの環境条件にも影響を受けます。そこで、最終的には、それらを加味した総合的な判断が必要となります。

 

スポーツは、競争を含む身体運動であることから、顕性のみならず潜在性疾患により事故を発症する危険が常に付きまといます。また、他者にも危害を与える可能性のある特殊なスポーツ種目もあります。

 

ただし、スポーツの危険性は、スポーツ種目や運動強度とは必ずしも関係しません。そのため、スポーツ活動を行うものすべてがメディカルチェックの対象であり、スポーツ参加の許容を判定することになります。

 

 

①スポーツにおける突然死の実態

スポーツに関連する突然死は、スポーツの種目・強度に関係なく発生しています。

 

②スポーツ中の突然死の原因疾患

スポーツにおける突然死の基礎疾患としては、半数以上が心血管系の疾患です。それには、急性心不全や急性心機能不全や他にも心血管系疾患が含まれています。日本も米国も肥大型心筋症の頻度が高く、次いで冠動脈疾患が多いです。ただし、40歳以上の対象では、虚血性心疾患の頻度が高いです。

 

③運動許容条件を設定すべき心疾患

水氣道においては、中高年の事故原因として多い冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)の方には運動許容条件を設定しています。

 

 

杉並国際クリニックからのコメント

水氣道®は、一般的な競技スポーツではありません。なぜならば、水氣道は、競技能力を高めることを目的としていないからです。最終的には、参加者の皆様の生活の質・人生の質(QOL)の改善することを目標にしています。

 

水氣道の稽古の運動許容条件も、他のスポーツと同様に、運動量だけでなく、競技におけるストレス、脱水の有無、運動に対する動機、意欲、態度などスポーツをする側の条件や天候、気候、湿度、高度などの環境条件をも加味して総合的に考慮します。

 

水氣道の稽古に臨んでは、必ず水分を摂取し、脱水状態で行わないことは、繰り返し注意している通りです。また、水氣道の稽古では、他のスポーツ以上に、動機、意欲、態度などスポーツをする側の条件を重視しています。

 

しかし、水氣道は現状では知名度が低く、活動会員数も70名余程度のマイナー・スポーツであるため、少しでも無理なく慣れ親しみ楽しみながら継続していただきたいと考えています。

 

入門初期には体験生・特別体験生という立場で、徐々に稽古に対する動機、意欲、態度などが育まれるよう、対番制度など固有の稽古システムを構築してきたのもそのためです。

 

また、水氣道は屋内のエクササイズであるため、年間を通して気温や湿度、高度、空気の清浄度などの環境条件が好適に維持されていることも安全性に関してはメリットがあります。

 

ただし、稽古場との往来の間には、天候、気候などの影響を受けることは言うまでもありませんが、季節変動や天候、気候などの影響によって心身のコンディションが崩れることがない健康水準を達成することも水氣道の目標の一つになります。

 

スポーツの危険性は、スポーツ種目や運動強度とは必ずしも関係しないため、水氣道も例外ではありません。そのため、水氣道を行うものすべてがメディカルチェックの対象であり、水氣道参加の許容を判定することになります。

 

水氣道参加者の中にも、心血管系の病気の治療中の方は少なくありません。高血圧はもちろんのこと、狭心症や心筋梗塞を経験した方、不整脈に悩まされている方、肥大型心筋症まで症例のバラエティは豊富です。

 

しかし、有効性と共に、季節ごとの定期的なフィットネス検査(体組成・体力検査)を実施するなど安全性に配慮したプログラム構築してきたため、幸いなことに、稽古中の救急搬送を一例も経験することなく、創設以来20周年目を迎えようとしています。

日本消化器病学会ホームページを検索してみました。

すると、「患者さんとご家族のためのガイド」

 

が公開されていますので、ご参考になさってください。

 

規定により直ちに転載できませんので、「消化性潰瘍」の概要を紹介し、コメントを加えることにしました。

 

Q2

消化性潰瘍の患者さんはどれくらいいるのでしょうか?

放っておくとどうなるのでしょうか?

 

Q2-1

消化性潰瘍の患者数は?

 

 

A2-1 

消化性潰瘍には胃潰瘍と十二指腸潰瘍があります。

 

厚生労働省の平成26年度調査によると、胃潰瘍はおよそ29.2万人、十二指腸潰瘍はおよそ4.4万人と推定されます。

 

 

 

Q2-2 

今後、消化性潰瘍は増えるのでしょうか?

 

A2-2 

いずれも最盛期を超えて年々減少しているので、杉並国際クリニックの見解としては、当面の間はこの傾向が続くが、長期的には底を打つのではないか、と推定しています。

 

胃潰瘍の最盛期は平成5年ごろで110万人強、現在はその約4分の1

 

十二指腸潰瘍の最盛期は昭和59年頃で50万人弱、現在は約10分の1

 

その理由は、

1)消化性潰瘍の主因であるピロリ菌感染者が減少してきた

2)消化性潰瘍の治療に有効な薬剤が処方されるようになった

3)ピロリ菌の除菌治療が普及した

 

ただし、わが国では現在も高齢化が進行しています。

 

それに伴い運動器系の疼痛を訴える患者さんは増え、実際に非ステロイド性抗炎症薬の服用者は増えています。

 

つまり、現時点ですでに薬剤性潰瘍の割合が高まっていると考えられています。

 

 

杉並国際クリニックは、リウマチ科として非ステロイド性抗炎症薬を処方を要することが多い、変形性関節症、骨粗鬆症、関節リウマチの患者さんを多数診療しています。これらのうちで最も頻度が少ない関節リウマチの患者さんは、わが国では約70万人と、消化性潰瘍の患者さんのおよそ2倍の数です。

 

水氣道の継続会員は変形性関節症、骨粗鬆症、関節リウマチの患者さんが多数を占めていますが、非ステロイド性抗炎症薬の処方量は顕著に減少しています。痛み止めである非ステロイド性抗炎症薬を全く内服しないで済むようになった方が増えています。

 

水氣道の継続会員は、まだ70名を超える程度にすぎませんが、水氣道が普及することによって、変形性関節症、骨粗鬆症、関節リウマチの患者さんの治療に役立てるのみならず、非ステロイド性抗炎症薬の減量、ひいては薬剤性潰瘍の減少に貢献できると考えています。

 

 

<インフルエンザ検査>

 

年明けから「インフルエンザかどうか検査をしてほしい」という問い合わせがとても多くなっています。

 

「院長の意向で検査キットは使用していません」と伝えると、「わかりました」と言って電話を切る方がほとんどでした。

 

そこで、インフルエンザ検査キットってどんな物?と調べてみました。

 

インフルエンザの検査法には、ウイルス検出検査と血清抗体検査がありますが、現在、病院やクリニックで使われているのがウイルス検出検査のひとつである「迅速抗原検出キット」です。インフルエンザの治療薬が効果的である48時間以内に使い始めなければならないことから、どこの医療機関でも簡単に扱えて、迅速に結果のわかる検査が行われるようになりました。
主な特徴は、

  • 高度な技術が要らないので、一般の診療機関で手軽に検査ができる
  • 検査時間が30分以内
  • 保存も室温でOK(冷蔵・冷凍など特別な設備が不要)
  • 健康保険が適用できる
  • 目視で(目で見て)判定できる
  • A型ウイルスかB型ウイルスかが特定できる

 

とういうことです。

ただし以下の注釈がついています。

 

感染しても症状が出る前のウイルス量が少ない時期や、また検査する粘液などの採取が不十分な場合など、検体として採取できるウイルス抗原の量が少ない場合は感染しても陽性にならないことがあります。

日本臨床検査薬協会より

 

また、検査キットでの反応が陰性でも医師の判断が優先されます。

 

 

検査キットではインフルエンザ初期には陰性と出てしまうことがあります。

症状で医師が最終的に判断することが原則ですが、現状では検査で陰性と出ると治療薬を処方してもらえないことが多いようです。

 

以下のような大変な経験をされた方もいます。

インフルエンザ罹患体験記

 

 

「インフルエンザの治療薬が効果的である48時間以内に使い始めなければならないことから、どこの医療機関でも簡単に扱えて、迅速に結果のわかる検査が行われるようになりました。」

 

ということですが、検査結果に縛られ、投薬が遅れてしまうのは皮肉なものです。

 

 

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです。

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の

後に、<杉並国際クリニックの見解>でコメントを加えることにしました。

 

「質問23」

授業中やアルバイトのデスクワーク中に寝てしまうことが多く、治したいです。

 

好きな映画や舞台を見に行った時にも寝てしまうこともあり、一緒に行った彼に呆れられてしまいました。心療内科で診てもらえるでしょうか。

 

「答え」

文面からお若い女性の方と思われます。

 

いろいろな場面で眠ってしまい、日常生活でさぞお困りのことと思います。

 

日中の本来は活動している時間帯に強い眠気を催してしまうこと、これは「過眠症」と言えるでしょう。

 

過眠症の原因は多岐に渡っておりますが、診断のためにもっとも重要なのはご本人からの問診です。

 

主なものを挙げると、いつ頃からそのような眠気が出てきたのか、普段の睡眠時間は何時間くらいで平日と週末とで異なっているか、眠くなるようになった時期にきっかけとなることはあったか、現在何らかの薬をのんでいないか、治療中の病気はあるか、夜に途中で目を覚ますことがあるか、などです。

 

過眠の最も多い原因は睡眠時間不足と言われています。

 

残業が多くて帰宅時間が遅くなったり、娯楽のために夜の時間を使ったり、スマートフォンの普及などにより、昔よりも布団に入る時刻が確実に遅くなっています。

 

また、交代勤務などの生活リズムがずれてしまうことも過眠症の一因となります。

 

これらの中に当てはまる生活スタイルがありますでしょうか。

 

また身体の病気や精神的な病気によっても眠気をきたす場合がありますし、夜間に尿意を催して目を覚ましてしまう過活動膀胱や男性では前立腺肥大症なども睡眠が妨げられて日中の眠気の原因となります。

 

眠気を催す薬剤としては、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬などのほか風邪薬、解熱鎮痛剤、咳止め薬、抗アレルギー薬などもあります。

 

これらに当てはまらない場合には、睡眠中に呼吸が止まることを繰り返す睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー、特発性過眠症などが考えられます。

 

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中にいびきをかく、呼吸が止まっているなどとパートナーから言われたことがきっかけでわかることがあります。

 

ナルコレプシーでは注意や集中を要する場面でも居眠りを繰り返し、短時間の仮眠でもリフレッシュ感があることが特徴です。

 

笑った時や感動した時に脱力を感じることもあり、また金縛りや寝る時の幻覚が起こりやすいとも言われます。

 

これに対して特発性過眠症では昼間の眠りは長くて4時間にもなり居眠り後の爽快感が乏しいという特徴があります。

 

前述したような問診からある程度は原因を見つけることが可能であり、その原因を取り除いて効果をみることができます。

 

しかし、これのみで改善せず、また複数の原因が絡んでいるような場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査などの専門的検査が必要となります。

 

さて、お尋ねの心療内科でみてもらえるかということへの回答ですが、過眠症の診断を系統的に行い、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査が可能な医療機関は限られています。

 

心療内科というよりも、日本睡眠学会が認定しているような医療機関が宜しいのではないかと思います。

 

インターネットで調べてみれば掲載しています。

 

但し、原因に生活習慣が大いに関連しているような場合には、その治療は心療内科が適しているかもしれません。

 

(千葉太郎)

 

 

<杉並国際クリニックの見解>

日本心療内科学会が、なぜ情報量の欠如した中途半端な複数のケースを掲載し、回答者に漠然とした解説をさせるのか理解に苦しみます。心療内科の一般性や専門性を具体的に活かせるようなケースであるとは言い難く、回答者の千葉先生の御苦労が察せられます。

 

さて心療内科か否かを問わず、診療の入り口は、患者さんの年齢、性別と主訴です。このケースの主訴は<活動時間帯に眠ってしまうこと>ですが、患者さんが主に訴える症状の発症時期や連続性や頻度などの情報が含まれてはじめて「医学的な主訴」になります。こうした問診がなされないうちから、アドバイスを始めることは心療内科医以前に一般医としても失格ということになります。

 

主訴を明確にしない問診は問診にあらず、です。問診なしの検査は医療費の無駄遣いであり、得られた結果のみではとうてい患者さんの全体像を把握することは叶わないことでしょう。

 

このケースは具体的で明確な診断を下すことは不可能ではありますが、睡眠覚醒障害の範疇に入るものと思われます。睡眠覚醒障害は、おおよそ不眠症、過眠症、睡眠覚醒リズム障害、睡眠時随伴症(パラソムニア)に分けられます。

 

そして、このケースでもっとも疑われている過眠症には、原発性過眠症、ナルコレプシー、周期性睡眠過剰症候群、月経関連症候群などがあります。

 

過眠症とは、日中に過剰な眠気または実際に眠り込むことが毎日の様に繰り返して見られる状態で、少なくとも1ケ月間は持続し、そのため社会生活または職業的機能が妨げられ、あるいは自らが苦痛であると感じるものです。 ただし一回の持続期間が1ヵ月より短くても繰り返して過眠期がみられるものも含みます。

 

質問者が若い女性であることを想定するならば、真っ先に言及していただきたかったのは月経関連症候群です。月経前に強い眠気に悩まされることを「月経関連過眠症(月経前過眠症)」といいます。月経の前に心身が不調になる「月経前症候群(以下、PMS)」がある人は、女性の30~80%もいます。ある調査では、41%の女性が月経に関連して睡眠に変化があり、そのうち、1%は月経前不眠症、43%は月経前過眠症、5%は月経時不眠症であったと報告されています。

 

月経周期で黄体期には、「プロゲステロン」という女性ホルモンの血中濃度が高くなります。このプロゲステロン自体に催眠効果があります。また体温を上げる働きがあり、卵胞期に比べて黄体期の最低体温と最高体温の差は小さくなります。私たちは体温が下がると眠くなり、体温が上がるときに目が覚めます。黄体期には1日の内での体温の変化が小さくなるので、睡眠と覚醒のメリハリも小さくなって、日中に眠気が強くなると考えられています。

 

典型的な月経関連過眠症では、月経の約1週間前から日中の眠気が強くなり、月経の開始とともに眠気が軽くなるパターンをとります。下腹部痛や頭痛、イライラ、憂うつな気分など、PMSのほかの症状が強い人ほど、日中の眠気も強くなる傾向があります。

 

基本的には生活指導とカウンセリングが行われます。過眠がひどく日常生活に支障があるときには薬での治療が行われます。生活指導としては、睡眠の質を高めるための生活習慣が勧められます。たとえば、日中に日光をしっかり浴びたり、昼夜の生活にメリハリをつけたりします。水氣道でこれを治した患者さんは多数にのぼっています。また、気分転換を行うことも大切です。症状がひどいときには生理休暇を取るなどして、体調の変化に生活のパターンを合わせることも必要です。

 

また臨床心理士によるカウンセリングも、効果があります。基礎体温を記録したり睡眠日誌をつけたりして、月経周期と過眠症状の関連を理解することは有意義です。

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へ

のHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

 

三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

 

最後に<杉並国際クリニックからのメッセージ>を加えてきました。

 

今回は関連するQ6とQ7を掲載します。

 

Q6

妊娠の可能性があるので漢方薬なら安心と思いますが?

 

A

漢方薬が胎児に影響を及ぼしたという報告は現在のところありません。

 

但し、妊娠が判明した時点で、その後の服用については必ず医師または薬局・薬店にご相談ください。

 

 

Q7

妊娠中でも漢方薬を服用出来ますか?

 

妊娠中の体はとてもデリケートです。また、妊娠後12週に入るまで は赤ちゃんへの影響が最も大きい時期なので、どんな薬を服用する場合 も必ず専門家へご相談ください。

 

漢方薬には妊娠前~妊娠中~出産後を通してずっと服用できる『安胎薬(あんたいやく)』と呼ばれる薬や、妊娠中のつわり、風邪、便秘、貧血、尿路感染などに服用可能な処方があります。

 

詳しくは医師または薬局・薬店にご相談ください。

 

 

<杉並国際クリニックからのメッセージ>

妊娠可能性がある女性に対する漢方処方の目安は、妊婦への処方が可能な漢方薬であれば安心です。ただし、妊婦への漢方投与は治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合のみに行うのが原則とされます。

 

しかし、これは、ナンセンスな原則です。なぜならば、漢方薬に限らず、すべての薬剤についての原則だからです。ただし、短期間の漢方処方で問題が生じることは少ないことは知られています。

 

 

急性の病気で、たとえば妊婦の感冒などの治療では、桂枝湯、香蘇散などを処方する機会は多いです。

 

また、つわり(妊娠嘔吐・悪阻)の漢方として、16半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、21小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、32人参湯(にんじんとう)、116茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)などを処方することは昔から広く行われていて安全です。

 

 

習慣性流産に対しては、古くから安胎薬(あんたいやく:胎児の発育を保護し、助ける薬)として、23当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は殊に有名です。

 

この薬は、不妊外来へ永年通院したあげく、挙児を諦めたという女性が、水氣道を始めると同時に処方したところ、3か月を待たずにご懐妊という経験を立て続けに3度しています。

 

この経験は科学的にみれば、単なる偶然として評価されてしかるべきでしょう。ただし、挙児へのこだわりから解放された、一種の悟りの境地に至ることができたこと、水氣道をはじめて、プールの温水を羊水に、自分自身が胎児になったような疑似体験を楽しめたこと、などの条件が整った上で、当帰芍薬散を服用したことが相乗的に作用した可能性は完全には否定できないのではないか、とも思っています。

<東洋医学の話をしよう2ー氣・血・津液・精・神(2)>

 

 

<はじめに>

 

 

前回は、「氣」の作られ方を解説しました。

 

 

今回は「氣」の身体内の働きによって4つに分類されますので、そのことについて解説していきます。

 

 

「氣」の様々な働きに驚かれるのではないかと思います。

 

 

<4つの氣>

 

 

氣には働きによって「元氣(げんき)」、「営氣(えいき)」、「衛氣(えき)」、「宗氣(そうき)」に分類されます。

 

 

元氣」は生命活動の原動力で、先週お伝えした「先天の精」、「後天の精」を材料としています。

 

 

臍下丹田(せいかたんでん)、つまり下腹部に集まります。下腹部に張りがある人は元氣がたくさんある証拠です。

 

 

「営氣(えいき)」「衛氣(えき)」「宗氣(そうき)」は「後天の精」から作られます。

 

 

営氣」は脈中(血管)を通って全身に栄養を送ります

 

 

衛氣」は脈外を流れ、身体にバリアを張ります。それにより身体を病原体などから防衛します。

 

 

昼間は体表、夜間は体内に入ります。

 

 

ですから、夜間は無防備になってしまうため風邪をひきやすくなります。

 

 

宗氣」は呼吸でえられる大気(清氣(せいき))と「後天の精」により作られ五臓の一つである「心」「肺」の機能を支える役割があります。

 

 

<まとめ>

・氣には働き方によって「元氣(げんき)」、「営氣(えいき)」、「衛氣(えき)」、「宗氣(そうき)」に分類されます。

・「元氣」は生命活動の原動力である。

・「営氣」は全身に栄養を送る。

・「衛氣」は身体を病原体などから防衛する。

・「宗氣」は心肺機能を支えて氣や*血(けつ)(血液)や*津液(しんえき)(水)を循環させる

*血、津液については後ほど解説していきます。ここでは血は血液、津液はリンパ液とご理解下さい

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭