ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。
骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。
それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。
Q4
コーヒーやコーラはカルシウムの吸収を妨げてしまうのですか
A
コーヒーの中に含まれるカフェインには、尿を出す利尿作用があるので、あまりたくさんコーヒーを飲み過ぎると、尿と一緒にカルシウムも排出されてしまいます。1日にカップ5杯以上飲むと骨に影響が出るとも言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。たまにはミルクを入れてカフェオレにしたり、カルシウムの多い食品を食べるなど、カルシウムを補給しながら飲めば、骨への影響を最小限に抑えることができます。
なお、同じカフェインを含む飲み物でも、紅茶や緑茶は骨粗鬆症を予防する効果があるようです。
コーラにはリン酸が多く含まれており、カルシウムの吸収を妨げるので、 あまり大量には飲まない方が良いでしょう。
【杉並国際クリニックからのコメント】
日本コカ・コーラ株式会社が提供する飲料アカデミー
<カフェインと骨の健康の関連性>の記事が興味深い見解を公表しています。
まずは、上記の記事の抜粋をお読みください。皆さんはどのように理解されるでしょうか?
骨の健康と、リン酸およびカフェインを含む飲料との関係
疫学調査で、コーラ飲料を摂取した思春期の少女の骨の健康が悪化した、という結取により、骨吸収を促したり、あるいはカルシウム吸収が阻害され、骨形成が低下するのではないかと考えられるようになりました。
しかし、科学者および患者支援組織が過去15年間にわたり実施してきた研究では、カルシウム摂取が十分であれば、リン酸やカフェインを含む炭酸飲料を摂取することで、健康な人の骨が弱くなったり、骨粗鬆症を発症したりすることはないと結論づけられています。
2010年のカルシウムおよびビタミンDの推奨摂取量の改定に際して、米国医学研究所(U.S. National Academy of Sciences’ Institute of Medicine:IOM)は、体のカルシウムバランスに影響を与える可能性がある食事に関するレビューを発表しています。
その結果によると、カフェインはカルシウム排泄を適度に促進し、骨への吸収を阻害しますが、1日にコーヒー2~3杯程度のカフェイン摂取では、牛乳をあまり飲まないなどカルシウムの総摂取量が極端に少ない場合でなければ、骨量の減少は見られませんでした。
また、食品中のリン酸もカルシウム吸収に悪影響を及ぼさないことも明らかになりました。
なお、IOMはリン酸を多く含む炭酸飲料の消費量が骨量減少および骨折増加と関連することを示す複数の研究があるものの、「これはリンそのものが問題ではなく、牛乳の代わりに炭酸飲料を飲んだことによるカルシウム摂取不足が原因なのではないか」としています。
2006年に国際骨粗鬆症財団(International Osteoporosis Foundation:IOF)は、炭酸飲料、特にコーラ飲料の摂取による骨への影響を調査し、栄養と骨の健康に関するレビューを発表しました。
このレビューでは、「いくつかの観察的研究で、10代の青少年における多量の炭酸飲料の摂取が、骨密度(bone mineral density:BMD)の減少や骨折率の増加に関連しているとされている。しかし、これらの飲料の摂取が骨の健康に悪影響を及ぼすという根拠はない」と述べています。
要点:
カフェインやリン酸を含む炭酸飲料を飲んだとしても、骨が弱くなったり、骨粗鬆症の原因となったりすることはありません。骨の専門家は、強い骨を作り、維持するためには、バランスの良い食事で十分なカルシウムとビタミンDを摂取し、適度な運動を行うことを推奨しています。また、その他の栄養素、例えばビタミンK、ビタミンA、マグネシウム、亜鉛、タンパク質なども、健康な骨を作るのに重要な役割を果たしています。
如何でしたか。以上の記事を読んで、新たにコカ・コーラ(リン酸およびカフェインを含む飲料)を飲みはじめようという気持ちが湧いてきたでしょうか。皆さんが、この記事を読んでコカ・コーラのファンになるとすれば、日本コカ・コーラ株式会社の狙い以上の成果となるでしょう。
なぜならば、この記事を読んで安心するのは、これまでコカ・コーラのファンだった方で、健康問題に不安がある方が主体だろうと推測できるからです。日本コカ・コーラ株式会社は日本たばこ産業株式会社と同様に、守りの態勢に入っているように思われます。
なぜならば、まず第一に、コーラ飲料によるデメリットの可能性は完全に払拭されてはいないにもかかわらず、メリットには一切言及できていないからです。第二に、明らかに論点をすり替えています。米国医学研究所(IOM)は、むしろリン酸を多く含む炭酸飲料の消費量が骨量減少および骨折増加と関連することを示す複数の研究があることを強調し、むしろデメリットの証拠を列挙しています。
しかも「これはリンそのものが問題ではなく、牛乳の代わりに炭酸飲料を飲んだことによるカルシウム摂取不足が原因なのではないか」というIOMの考察は、炭酸飲料の愛飲者は、骨にとってメリットの大きい牛乳の摂取量が減少する可能性までをも示唆していることになります。
これは、ある意味、当然の帰結です。一日の水分摂取量は概ね一定しているとすれば、ある種の飲料の摂取が増えれば、他の種類の飲料の摂取は、その分、減少することになるからです。コーラの摂取量が増えれば、当然、牛乳の摂取量が減って骨が弱くなる可能性については否定できないはずです。
第3に肯定的な結論を導く論理的整合性がなく、ぼかしてあります。以下の情報を要点に掲載していますが、これは何を意味するのでしょうか。
骨の専門家は、強い骨を作り、維持するためには、バランスの良い食事で十分なカルシウムとビタミンDを摂取し、適度な運動を行うことを推奨しています。また、その他の栄養素、例えばビタミンK、ビタミンA、マグネシウム、亜鉛、タンパク質なども、健康な骨を作るのに重要な役割を果たしています。
いわんとすることは、つまり、コーラを飲み続けながら強い骨を作り、維持するためには、コーラを飲まない人よりも一層厳重な健康管理が必要である、という結論になるはずです。これは知性の劣る消費者層へ向けての印象操作です。賢者にとっては苦しい言い訳にすらなりません。
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