最新の臨床医学 1月11日(金)アレルギーの病気についてQ&A

アレルギー

 

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会のホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

最後に杉並国際クリニックからのメッセージを加えています。

 

 

薬物アレルギー①

Q 

薬物アレルギーの症状にはどのようなものがありますか?

 

A 

薬物アレルギーでは様々な症状が現れますが、最もよくみられるのが皮膚症状です。

 

皮膚症状は8割以上の患者さんに現れ、「薬疹」とよばれます。薬疹は、蕁麻疹や湿疹、ニキビのような赤い斑点ができる軽症のものから、薬を飲むたびに同じ場所が赤くなり、治るとシミになることを繰り返す固定薬疹、水疱やびらん(ただれ)が体中に広がる重症薬疹まで多彩です。

 

他にも呼吸器障害(喘息発作や間質性肺炎、好酸球性肺炎)が現れたり、検査によって肝障害、腎障害、血液障害(貧血、好酸球増多、白血球数異常、血小板減少)が見つかることもあります。

 

薬物アレルギーのなかでも生命を脅かす重篤なのが、アナフィラキシーと重症薬疹です。

 

アナフィラキシーは、全身に起こる即時型アレルギー反応で、薬剤が投与されてすぐに、体のかゆみや赤み、蕁麻疹、鼻水、喘息発作、腹痛、下痢、嘔吐などが分単位で現れ、血圧が下がり、呼吸困難に陥り意識を失うこともあります。重症薬疹については他項をご参照ください。

 

 

〈杉並国際クリニックからのメッセ―ジ〉

 

薬物アレルギー(薬剤アレルギー)は、薬物を適切に使用していても起こり得る異常反応のうちで、薬物あるいはその代謝産物が抗原として免疫反応を引き起こして発症するものです。ただし、薬理作用とは無関係です。

 

薬物アレルギーの病変は、圧倒的に皮膚にみられることが多く、それは薬疹(アレルギー性薬疹)とよびます。薬物アレルギーのうち圧倒的に多いのが薬疹である最大の理由は、皮膚病変がもっとも気づきやすいからです。

 

薬物アレルギーの病変は皮膚だけでなく、肝、肺、腎などにもみられます。これらの臓器では気づかれないまま原因不明の炎症性疾患として扱われている場合がほとんどであると推測されています。

 

薬疹は、皮膚科医でなくとも遭遇しますが、見落とされがちな内臓病変については、一般の内科医でも難しいと思われます。

 

それにもかかわらず薬物アレルギーについてのガイドラインは世界的にも完備されていません。アレルギー症状の発症後に診察した医師により個別の診療が行われているため、正確な情報の収集・解析システムが確立されていません。

 

そのため、診断において特に重要なのは、特殊な精密検査よりも薬剤使用状況と症状を正確に把握するための問診と患者-医師間の対話です。多忙な医療機関ほど問診や対話がおざなりになりがちなので、薬物アレルギーの見落としも、それだけ多く発生している可能性があると思われます。