Q1-2 高血糖をどのように判定するか?
【要点】
- 空腹時血糖値、75gOGTT2時間値の組み合わせにより、正常、境界型、糖尿病型のいずれかを判定する。
- 空腹時血糖100~109mg/dLの場合、正常域の中で正常高値とする。
- 糖尿病疑い、境界型、空腹時血糖が正常高値、HbA1c5.6%以上の患者や、
肥満や脂質異常症の患者、家族歴が濃厚な患者に対しては、積極的にOGTTの施行を検討する。
- POCT(point of care testing)機器によるHbA1cの測定値は、現時点で診断に用いないものとする。
【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】
このガイドラインは、理論的には参考すべきですが、実際的ではありません。
空腹時血糖値の測定だけならまだしも、75gOGTT2時間値の測定などは、なかなか日常的に行えるものではないからです。
そもそも75gOGTTとは、75gのブドウ糖を摂取して血糖値等を検査する負荷試験です。実施のためには患者さんがルールを順守してくださることが前提ですが、それがなかなか難しいのです。その理由は以下の手順を読んでいただければわかると思います。下線部は脱落しやすいルールです。
実施の手順として
①糖質を150g以上含む食事を3日以上摂取、
②10~14時間の絶食、
③採血して血糖値(空腹時血糖値)を測定する
④早朝空腹時に75gブドウ糖を含む250~350mLの溶液を5分以内で服用、
⑤服用後30~60分おきに採血して血糖値を測定する。検査中は禁煙とする。
あなたは、これらをすべてクリアできる自信がありますか。
これができるような方は、糖尿病タイプの方には少ないと思います。
なおガイドラインは
<空腹時と2時間値の測定は必須で、臨床の場では途中時点の血糖値や尿糖も調べるのが望ましい。>
<可能であれば空腹時と30分後のインスリン値を測定して、初期インスリン反応を調べる。>
としていますが、患者さんに以上のような負担を掛けておいて、それを調べないのは理不尽な話です。
しかし、実際にそこまで検査すると保険請求で却下され、医療機関にとっても大きな痛手となります。
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