心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。
それは日本心療内科学会のHPです。
心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。
そこで、
Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。
と書かれています。
高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。
「質問21」親の介護によるストレスのせいか、24時間急き立てられている感じでイライラし、よく眠れず、疲れが取れずまいってしまっています。心療内科で相談できますか?
「答え」
日本人成人の約21%が不眠の訴えを持っていて、不眠で悩んでいる人が医療機関を受診するのはその中の45%に過ぎないといわれております。
不眠に悩んだときに医療機関を受診するとしてもどこの科にいけばよいかわからないものです。
睡眠外来を開いている医療機関もありますが多くはありません。
ところで、睡眠不足は生活習慣病の発症リスクを高めるといわれております。
睡眠障害のない人と比較すると、糖尿病は3倍、高血圧は3.9倍、心筋梗塞は1.3倍の発症リスクがあります。
心療内科は心身症を診ますが、生活習慣病の多くは心身症としての対応が必要であります。
また、心身症の代表的な疾患の機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群、慢性疼痛、自律神経失調症などでも不眠を伴う場合があります。
介護ストレスがあってイライラするとのことですが、上記のように心療内科では不眠で悩んでいて身体疾患や身体症状のある方の相談に広く応じておりますので受診なさってみてください。
不眠のみで身体疾患や身体症状のないいわゆる不眠症の方は、不眠症を専門にする精神科を受診なさってください。
医療機関を受診する際に医師に伝えておいたほうがよい点が幾つかあります。
不眠はタイプによって対応が異なります。寝つきが悪い(入眠困難)、途中で何度も目が覚める(中途覚醒)、早朝に目が覚める(早朝覚醒)、あるいは休息感が伴わない(熟眠障害)なのかを確かめておきましょう。
また、不眠があると、眠れた時間は数時間しかなかったなどと訴えますが、眠れないでいた時間を補おうと、早寝遅起きとなり、8時間以上も寝床に入っている人もいます。
何時に床についているか、何時に床から離れているかも大事です。
不眠の治療ですが、最近は鎮静作用によらない薬剤や、必要に応じて心理療法の認知行動療法も行われています。
睡眠薬の依存が気になる方は心理療法についても医療機関でお尋ねになってみることをお勧めします。
(佐々木大輔)
<高円寺南診療所の見解>
介護ストレスで悩む方は、まっすぐ心療内科を受診していただいてよいと思います。その根拠は、要介護者を支える方は、自覚症状が現れる前から周到な健康管理が望まれるからです。
とくにこのケースのように「疲れが取れずまいってしまっている」という訴えには、相当な心理社会的ストレッサーに長期間晒されている可能性が高いからです。疲労も一過性のものなら良いのですが、これが反復したり、蓄積したり、といた状態が続くと様々な病気に罹りやすくなります。
介護者は、まず定期検診を受けて自らの健康状態を把握しておきましょう。次に、慢性的な疲労やストレスは、免疫力の低下をもたらすことが常ですから、インフルエンザのワクチン接種は励行しましょう。そして、老老介護という言葉に示されるとおり、介護者自身が一定の年齢以上であれば、肺炎ワクチン(2種類とも)を接種しておくことが最低条件だと思います。
生活習慣の振り返りも重要です。喫煙はもっての外です。喫煙者は、ご自分のためにも要介護者のためにも禁煙に踏み切ってください。
さて、この方は「よく眠れない」ことも訴えておられます。「良く眠れない」ことに関して、「24時間急き立てられている感じでイライラ」している状態が背景にあるようです。
介護者としての責任感と不安感が強い几帳面な方に多いタイプです。このような症状を訴える方に対して、高円寺南診療所では甲状腺ホルモンのチェックを行うことがあります。
バセドー病など甲状腺機能亢進症がストレスで発症することは良く知られています。また、「24時間急き立てられている感じでイライラ」している状態を家族から指摘されて受診される方も少なくありません。
佐々木先生もコメントされていますが、高円寺南診療所では、生活習慣病や心身症の方に行動記録を始めていただいています。
生活のリズムの乱れを発見して、是正するきっかけになるシンプルな行動療法です。それから、体調と気分のコントロールを図るための様々な支援をしています。
体調の安定のためにはご自分の基礎体力を知って、それに応じた対策をすることです。また、気分の安定のためにはご自分の基本的なパーソナリティをよく把握したうえで、自分にあった心理サポートを得ることです。
まず気力と集中力とを養わなければなりません。それを可能とするきっかけは希望をもつことと自信を深めることと、信頼できる人的資源を見出すことです。こうした心理的サポートは多くの場合、社会的サポートに繋がっていきます。
つまり、社会的資源、福祉制度の有効活用も大切です。高円寺南診療所の事務次長の野口将成は、社会保険福祉士資格取得に向けて昨年から通信講座を受講しています。ときどき、実習に出かけて生きた勉強を続けているようです。
介護を苦役としてのみとらえず、「貴重な人生の予習をさせていただけている、と感じられてくる」ようになったら、高円寺南診療所からの卒業は目前です。
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