前回の続きです。

 

 

数遅(さくち)の脈について見ていきましょう。

 

 

数遅も脈は、身体の中の寒熱の状態を表します。

 

 

数(さく)とは一呼吸のあいだに6回以上の脈をいいます。

 

 

発熱、動悸、熱による痛みが出ることがあります。

 

 

遅(ち)とは一呼吸あいだに3回以下の脈をいいます。

 

 

寒気、疲労感、脱力、無気力、冷えによる痛みが出ることがあります。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

今回からは、三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

 

高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてきました。

 

 

Q

漢方薬でよく聞く「証」とは何ですか?

 

A

「証(しょう)」とは漢方独自の用語ですが、病人が示す様々な状態(=特徴)のことを言います。また、その人に備わっているもともとの体質や体力などを指す場合、あるいは抵抗力を指す場合もあります。

 

いずれにしても漢方では薬(処方)を選択する場合の重要な目標となるもので、4つの大きな診断法(望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せっしん))があり、更に「陰陽(いんよう)」「虚実(きょじつ)」「表裏(ひょうり)」「寒熱(かんねつ)」「気血水(きけつすい)」などの独特の概念で証(しょう)を決定するので、西洋医学のような病名がなくても処方が選べます。

 

また、同じ病名でも違う処方になることもあります。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

実は、30年間におよぶ診療でこのような質問を受けることはありませんでした。そのかわり、<この漢方薬は何の薬ですか>とか<この漢方薬はどんな病気に効くのですか>という質問はたくさん受けてきました。

 

そんな質問に対しての答えは、それはあなたの「証」に合っている漢方薬だと思われるからです、とこたえて納得していただけたらどんなに便利でしょうか。

 

西洋医学になれている多くの皆様にとって、薬は症状に対応するものであるとか、病名に対応するものである、という発想を持たれることは当然のことでしょう。しかし、漢方は別の発想をします。

 

解説では、「西洋医学のような病名がなくても処方が選べます。」とありますが、いきなりそのような発言をしても、多くの患者さんは当惑してしまうことでしょう。

 

そのために「証」を説明する必要があり、Q&A形式にまとめたのではないかと推測します。

 

 

患者さんの「証」に基づく治療方法を、<髄証療治(ずいしょうりょうち)>といいます。

 

「証」を別の言葉で言い換えると、その人の医学的特性です。治療反応性であるともいえます。

 

解説では、精神的側面について言及していないのが物足りなく思われます。実際には、「証」とはその人本来の体質ばかりではなく気質、さらには体調ばかりではなく気分にも関連しています。

 

ですから、その人の「証」に叶った処方薬の素晴らしさは、その人に備わっているもともとの体質を改善し、体力や抵抗力を高めるばかりでなく、人柄が良くなり、気分が安定してくることを経験できるからです。

 

「証」の見立てのための目安となる指標として、「陰陽」「虚実」「表裏」「寒熱」「気血水」が紹介されていますが、実はこれらは、漢方薬だけでなく鍼灸治療方針の決定にも用いられています。

 

なお水氣道の稽古プログラムにも積極的に取り入れています。たとえば、水氣道の動作は、膝関節や肘関節などの中間関節が伸展(実)させたり屈曲(虚)させたりを交互に行う動作があります。

 

冷えてきたら(寒)温まる(熱)動作に転換します。腹側(裏)の体操や運動と背側(表)の体操や運動も交互に行うことによって、全身のあるいは全心身の調整をはかることを目標としています。

 

また、「氣・血・水」の概念をもとに、理氣航法、調血航法、活水航法などの鍛錬技法を水氣道は生み出し、さらに発展を遂げていることは、水氣道の参加者の方は、すでに良くご存じのことでしょう。

回答に述べられているように、漢方は西洋医学とは異なる視点から処方されるため、西洋医学では異なる病名であっても、証が近ければ、同じ処方がなされることがあります。これを異病同治といいます。逆に、西洋医学では同じ病名であっても、異なる薬を処方されることがあります。これを同病異治といいます。

大切なことは、西洋医学の方法と漢方医学の方法とは異なる次元ではありますが、両方の医学の本質を弁えて、上手に併用することです。それによって、高齢社会でありストレス社会でもある現代の医療問題の大部分を効率的に解決する手立てとなり得るので、こうした統合医学の普及が急務だと思われます。

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

 

花粉症

 

Q

どんな症状がみられますか。

 

A 

花粉症の患者さんが花粉の曝露を受けると、直ちに発作性にくしゃみ、鼻水、鼻づまりがみられます。

これを即時反応といいます。

 

眼のかゆみ、充血といった眼症状もほぼ必発です。さらに花粉に曝露されて7時間以降にその時点では花粉の曝露はないにも関わらず、鼻づまりが見られることがあります。

これを遅発反応といいます。

 

即時反応に続いていろいろな炎症が引き起こされその結果として引き起こされる反応と考えられています。

 

実際には花粉の侵入、即時反応、遅発反応が連続的に繰り返されていることになります。

 

花粉症では、鼻や眼症状以外にのどの症状(かゆみ、刺激感)、咳、胃腸症状(痛み、下痢)、顔などの露出部皮膚の発赤、かゆみ、さらに頭重感、頭痛などの全身症状を訴える患者さんも半数以上にみられ、軽いうつ症状も数%の患者さんでみられるといった報告もあります。

 

特に花粉飛散のピーク時には鼻や眼症状以外にもいろいろな合併症がみられています。

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

この質問の回答者は、花粉症で見逃されやすい、あるいは無視されやすい症状について言及しているところが素晴らしいので、再掲します。

 

花粉症では、鼻や眼症状以外にのどの症状(かゆみ、刺激感)、咳、胃腸症状(痛み、下痢)、顔などの露出部皮膚の発赤、かゆみ、さらに頭重感、頭痛などの全身症状を訴える患者さんも半数以上にみられ、軽いうつ症状も数%の患者さんでみられるといった報告もあります。

 

ただし、もっと詳しく説明して欲しかったのは、鼻づまり(鼻閉)に伴う睡眠障害や、口呼吸に伴う易感染性、気管支喘息の発症などです。

 

それから、うつ症状にも言及されていますが、そのメカニズムが重要だと思います。

 

たとえば、アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を主訴とする疾患です。

 

その原因抗原は、ハウスダストやスギ、ブタクサなどの花粉です。最近、小児にも急激に増加しています。

 

その原因の一つは、ストレスによる交感神経系の刺激が粘膜の感受性を更新させているためです。つまり、自律神経を介して症状の発現が促進されることになります。

 

起床困難や不登校の原因にもなっていることも少なくありません。

 

とくに慢性的な鼻づまりによる口呼吸は、本人の自覚が乏しいため、適切な治療を始めることは容易でないことがあります。

 

鼻閉の弊害が軽視されがちなのはとても残念です。動脈血酸素分圧飽和度が低い状態になっているケースも散見されます。

 

口呼吸の患者さんに多い、鎖骨呼吸や胸式呼吸による浅くて、効率の悪い呼吸パターンが定着し、習慣化している例が少なくありません。

 

頭重感、頭痛、うつ状態などが、慢性的な鼻づまりによるものとの見立てに基づいた治療によって、症状から解放される症例が、高円寺南診療所では後を絶ちません。

 

 

 

Q

花粉症の治療にはどんなものがありますか。

 

A

花粉症は、原因となる花粉が鼻に侵入してこなければ症状は起きませんから、治療の第1歩は原因花粉と接触しないことです。

 

そのためには、花粉飛散情報を利用して外出や窓の開閉の工夫をして花粉曝露を避ける、マスクや眼鏡を利用して侵入する花粉の量を減少させる、職場、学校、自宅の中に花粉を持ち込まない、などの対策が重要です。

しかし、完全に花粉曝露をシャットアウトするのは困難です。たとえマスクをしても呼吸や会話に伴ってマスクの隅から花粉は侵入してきます。

 

その他、もっとも広く行なわれているのは薬物療法です。いろいろな特徴をもった薬剤がありますので症状に合わせて使うことで高い効果がみられますが、ただあくまで症状を抑えるもので、根本治療にはなりません。

 

現在唯一根本治療の可能性を持つのは特異的免疫治療(減感作療法)と呼ばれるものです。

 

さらに、薬物などの治療に改善がみられない方には手術治療も検討されます。

 

治療に当たっては当然ですが、ご自分の症状や困っていることを正確に伝え的確な治療、アドバイスを受けるためにも医師とのコミュニケーションを十分に取ることが大切です。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。

 

多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。

 

しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。

 

そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。

 

それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 Q

骨粗鬆症患者は転倒時に骨が折れやすいのでしょうか

 

先日、70歳の母が転倒して大腿骨(足の付け根)を骨折しました。

 

「骨粗しょう症だから骨折した」と担当医に言われたそうですが、骨折の原因は転倒で骨粗鬆症とは関係ない気がします。骨粗鬆症の患者は、転倒の際に骨折する確率が高いのでしょうか

 

A

大腿骨頚部骨折の最大の危険因子は骨粗鬆症です。骨粗鬆症になると、骨の強度を保つための骨梁(こつりょう)が減ってしまうため、ちょっとした衝撃で骨が折れやすくなってしまいます。

 

骨粗鬆症でない方でも、ひどい転び方をすれば骨折することもありますが、骨粗鬆症の患者さんの方が大腿骨頚部骨折の危険性が高いのは確かです。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

まず、この質問者は、患者本人ではなく息子か娘ということになります。相談対象である70歳の女性の子供であることから、質問者はおそらく50歳以下、40歳代かもしれません。このような素朴な疑問を抱いたまま、あいまいなままにしないでおくことは二重の意味で大切です。

 

というのは、まず質問者の母親である70歳の女性の健康管理のため、もう一つは質問者自身の身にも将来振りかかってくる可能性の高い問題だからです。

 

このケースの場合、問題となっている医学情報は伝聞に過ぎません。ですから母親の報告を鵜呑みにせず、専門医に質問することは、高齢者をサポートすべき立場にある家族にとっては賢明な行為だと思います。

 

このケースは、骨折を問題にしており、部位は「大腿骨(足の付け根)」とのことです。

 

この骨折部位は、とても重要な情報です。この質問の回答者は、ただちに<大腿骨頚部骨折>という医学用語に置き換えて説明をはじめています。

 

この大腿部近位部骨折は、骨粗鬆症が原因で発生する脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折のなかでも患者数が最も多く、わが国では2012年に19万例発生したと推計されています。

 

脆弱性骨折とは、軽微な外力によって発生した骨折です。軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒か、それ以下の程度の力です。

 

そして、骨粗鬆症のおもな臨床症状は脆弱性骨折とそれに続発する機能障害や慢性疼痛です。大多数は骨折を起こすまで無症状で経過します。

 

ですから、たいていの骨粗鬆症の患者さんは病識が無いため、骨折してはじめて病気を知ることになります。

 

まさに、晴天の霹靂ということになり、医師の見立てをにわかに信じることができないのもやむをえないことです。

 

 

しかし、その後の患者さん自身の人生や、サポートをするご家族の将来のためにも病気に対する正しい認識が必要になってくるのです。

 

なぜなら、大腿骨近位部骨折の場合は、より直接的に日常生活動作(ADL)の低下や寝たきりに結び付きやすく、長期的には生命予後を悪化させる(寿命を縮める)からなのです。

 

そして、骨粗鬆症の治療の目的は骨折予防です。ですから、治療目的は、まず骨折リスクを低下させることにあります。

 

 

予防は早いに越したことはありません。この質問をきっかけとして、母親の継続的なケアの必要性を改めて認識するとともに、質問者自身の骨粗鬆予防対策をはじめることも大いに意味のあることだと思います。

 

特に、この質問者が女性である場合、更年期(およそ45~55歳)に差し掛かっている可能性があり、自分自身の骨量をチェックしておくなどの備えを始めることも大切なのではないでしょうか。

<稽古の内容について>

 

 

1.従来の稽古分類

 

【水氣道の稽古類型】

 

定例本稽古:

<午前>水曜日、<午後>月曜日

 

週末稽古:

<午後>土曜日(混成稽古、本稽古もしくは準半稽古)

 

隔週本稽古:

<午前>金曜日

 

隔週半稽古:

<午後>火曜日

 

☆ 水氣道は水曜日<午前>の本稽古を祖型として発展してきました。

 

 

 

2.水氣道心身療術師資格認定制度の発足

 

【新しい試みとプログラム】水氣道床上(しょうじょう)稽古

 

土曜日3:05~3:50pm(45分)

 

第1週:水氣道調息術     

アシスタント・インストラクター 中川良子

               

第2週:水氣道調身術(甲種) 

アシスタント・インストラクター 金澤克彦

              

第3週:水氣道調身術(乙種) 

アシスタント・トレーナー 加藤博文

            

第4週:水氣道整体術     

アシスタント・トレーナー 野口将成

             

第5週:水氣道心身療術師認定公開試験 

2019年は、ファシリテーター資格認定試験のみを実施します。    

3月30日、8月31日、11月30日

 

☆床上稽古は、上記の週末稽古を出発点として、隔週半稽古(火曜日)でも実施可能となるように努めていきます。

 

例)2:00~3:00pm床上稽古、3:00~4:00pm水氣道半稽古

先週からの続きです。

 

temporalと時間との関係で、temporalを時間的と訳すとき、しばしば、これと一対を形成するのがspacial(空間的)です。しかし、spiritualが空間的かと言うと、どうもそうではならないのが言語の難しい所です。spiritualとはむしろ、空間的制約や時間的制約を受けない、すなわち「時空を超えた」世界での生き方ということにはならないでしょうか。

 

 

「時空を超える」何か尊いことを求めるとしたら、どうしたらよいのでしょうか?

 

私は、これを「時間や空間から解放される」という意味で受け止めています。

 

それでは、私自身が実際に「時間や空間から解放されている」のか、という検討課題が発生します。ホームページで公開している私のスケジュールを見てくださっている方は、むしろ、私が時間や空間の拘束を受けて、雁字搦め(がんじがらめ)になっているように感じられるかもしれません。

 

しかし、実際にはそうではないのです。私の24時間を知っている家族や身近な人々は、私が奴隷のように強いられているとは考えないはずです。

 

それどころか、いつも私が意味のある好き勝手な生き方を自由に謳歌していることを知っているからです。

 

 

 一見して、いつも時間に追われ、居場所を拘束されているかのようでいて、なぜ「時間や空間から解放されている」といえるのでしょうか。

 

その答えは実に簡単です。ヒントは無意識の世界にあります。半ば無意識で行っている好ましくない習性は悪癖といいますが、逆に、正しい認識をもって意識的に行動を反復的に繰り返せば好ましい習慣を形成することができるからです。

 

しかし、一旦完成させた習慣は簡単には壊れません。

 

なぜならば、習慣は半ば無意識で、つまり、さしたる努力を払うことなく反復し、継続させることができるからです。

 

ただし、油断は禁物です。毎日、少しずつでも油をさしておく必要があるからです。

 

これはほんのわずかな油(意識的努力)で済むのですが、怠け心が生じると、これを怠ります。これが、文字通りの油断です。油断大敵とはよく言ったものです。

 

 

高円寺南診療所は平成元年(1989)から約30年間、水氣道は平成12年(2000年)から約18年間、聖楽院は平成26年(2014年)から4年間、ライフワークとして継続しています。

 

長期にわたって継続できているということは、習慣になっていることを証明します。

 

 

私は、幸いなことに良い習慣によって支えられています。

 

良い習慣は良い出会いと、気づきの場を提供し続けてくれます。

 

いわば、人生を耕す生命の畑のようなものです。

 

スピリチュアルな生き方というのは、普段は特別に宗教性を意識しなくとも、与えていただける恩寵です。

 

ですから、健全な習慣を持つことはスピリチュアルな全人的健康への橋渡しになるものと思います。

 

 

プラセボでの症状改善は、人間にもともと備わった自然に病気を治す力(自然治癒力)の影響が大きいと考えられています。

 

プラセボで症状が改善するのはこれまで飲んだ人が「本物の薬を飲んでいる」と思いこむことが必要で、プラセボと分かって飲む場合は効果がないと考えられていました。

 

最近の研究では、プラセボと分かっていて飲んでも症状の改善がみられるという研究結果が報告されています。

 

前回のプラセボ(偽薬)からの続きです

 

 

何故”ニセモノ”と分かっていても効果が出るか?

 

「治療効果が出るのは条件反射が関係してると考えられる」

 

「錠剤やカプセルなどの薬の形をしたものを飲むことによって、患者の体で”薬=治る”という条件反射が起こり、治療効果が出たのではないかと推測されています。」

 唐木英明・東大名誉教授(薬理学)

 

条件反射とは、「梅干しを見ると唾液が出てくる」というように、これまでの経験によって体が反射的に反応することです。

 

 

また、プラセボ(偽薬)でも副作用が出ることがあり「ノセボ効果」と言います。

 

偽薬によって、望まない副作用(有害作用)が現われることを、反偽薬効果(はんぎやくこうか)、ノーシーボ効果(nocebo effect)、ノセボ効果という。副作用があると信じ込む事によって、その副作用がより強く出現するのではないかと言われている。

また一方、薬剤投与を継続していても被験者が「投与されていない」または「この薬は効かない」と思い込むことによって薬剤の効果がなくなるケースをノセボ効果と呼ぶこともある。

Wikipedia より

 

 

必要と思って納得して飲むと良く効く気がして。

納得できなかったりずにしぶしぶ飲むと、副作用やかえって悪くなっかも?と気になったりする方もいます。

 

薬は納得して飲みたいですね。

 

 

 

 

 

4月14日(日)

春に楽しむ声楽演奏会

水戸市市民会館

14:00 開演( 13:30 開場 )

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心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

それは日本心療内科学会のHPです

 

心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、

 

<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

Q

消化器心身症ということばを聞いたのですが、どのような病気でどのような治療をしたらよいでしょうか?

 

A

消化器心身症には、二つの考え方があります。第一は心理社会的ストレスで発症あるいは増悪する消化器疾患です。

 

もう一つは、消化器症状がありながら、その原因となりそうな病気が一般的な内視鏡検査や超音波検査、あるいは一般的な血液検査で見つからないものです。

 

後者は、機能性消化管疾患と呼ばれますが、消化器不定愁訴とも呼ばれます。

 

ストレスによる増悪あるいは症状によるストレスのために心理的な問題と言われたりすることがありますが、その違いは後述のように明らかになってきました。

 

消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)は、ストレスによって発症あるいは増悪が顕著で、以前は消化器心身症の代表のように言われていました。

 

しかし、1980年代のピロリ菌研究によって消化性潰瘍におけるストレスの果たす意義の解釈が変わってきました。

 

阪神淡路大震災でも、そして東日本大震災でも、ピロリ菌感染者では消化性潰瘍が悪くなり、潰瘍から出血を起こす患者さんも少なくありませんでした。

 

一方、同じ被災地にいてもピロリ菌非感染者あるいは除菌者では消化性潰瘍を発症する人は極めて少数でした。

 

すなわち、ピロリ菌感染(必ず炎症を伴います)とストレスの両方が揃った時に消化性潰瘍が発症することが判りました。

 

潰瘍性大腸炎やクローン病のような炎症性腸疾患もストレスによって炎症が増悪することが確認されています。

 

治療として、ピロリ菌陽性のストレス誘発潰瘍では除菌、炎症性腸疾患は原疾患の治療を優先し、あわせてストレス軽減の対策を考えます。

 

機能性消化管疾患の代表には、胃もたれや胃の痛みが慢性的に続く機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)と、便秘や下痢のような便通異常があって、腹痛や腹部不快症状を起こす過敏性腸症候群とがあります。

 

いずれもストレスによる症状増悪が特徴的です。いずれの病気でも内視鏡検査では異常がないのに、粘膜組織を採取して顕微鏡で調べると、極めて軽度の炎症があることが判ってきました。

 

治療に際して、これらの病態にみられる炎症への対応策はまだ判らず、ストレスを軽減する治療、そして前者では消化管運動賦活薬、後者では便通異常の調整、過敏性腸症候群の治療薬を用います。

 

軽度であっても胃や腸に炎症があるところにストレスがかかることで症状が出現したり増悪するものが消化器心身症です。うつ病などの精神神経疾患と大きく異なるのはこの点にあると言ってもいいでしょう。

 

(本郷道夫)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

本郷道夫先生は、世界的に独創的な絶食療法で有名な東北大学医学部心療内科1996年(平成8年)から2011年(平成23年)まで教授を勤めていらした方です。

 

本郷先生は、消化管機能の専門の立場から、消化管機能障害を中心に科を大いに発展させました。

 

現在、公立黒川病院(宮城県黒川郡)に所属されているようです。

 

以下、黒川病院のHPから引用します。

平成24年4月より病院管理者として着任しました。地域の皆さまの病院を創っていきたいと思います。

・これまで大学病院で、消化器内科、心療内科、総合診療部を担当してきました。

・むねやけ、胃もたれ、胃痛、腹痛、便秘、下痢、食欲不振、こころの悩み、自律神経障害、など、何でもご相談ください

 

 

さて、この問いは、心身症の専門領域についての質問です。心身症には消化器心身症の他に、呼吸器心身症、循環器心身症などが大きな三本柱になっていますが、その他の身体系統にもそれぞれの心身症があります。

 

ここでは消化器心身症について説明されています。

 

本郷先生は「軽度であっても胃や腸に炎症があるところにストレスがかかることで症状が出現したり増悪するものが消化器心身症」であるとの回答を与えています。そして具体的には、機能性消化器疾患(消化器不定愁訴、機能性胃腸症、過敏性腸症候群)、消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などを例示しておられます。

 

いずれにしても、本郷先生は、<ストレスによって炎症が増悪する>という消化器心身症の病態を説明しておられます。

 

この御指摘はとても大切です。なぜなら、<ストレスによって炎症が増悪する>のは消化器心身症に限らず、炎症を伴う心身症についてもあてはまる病態だからです。

 

高円寺南診療所では、「炎症」をたくさん見ています。感染症のみならず、リウマチのような自己免疫疾患も炎症がベースですし、アレルギーも特殊な炎症として理解されているからです。

 

つまり、リウマチもアレルギーも「炎症」性疾患であり、心理社会的ストレスにより悪化する病気だということです。

 

本郷先生が説明されているように、こうした疾患は心身症として理解することで、より効果的な治療が可能となります。身体的・心理的・社会的ストレスを軽減すること、克服することが、これらの病気の治療に極めて有効になります。

 

高円寺南診療所では鍼灸療法、心理療法の他にユニークなオリジナルな心身医学療法として水氣道®、聖楽院の聖楽療法は、いずれもこうした身体的・心理的・社会的ストレスを軽減すること、克服することを実践して、顕著な治療効果を発揮していることは、皆様が経験していらっしゃる通りです。

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみました。

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてきました。

 

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

 

 

今回からは、さらに一歩進めてオリジナルの「漢方よくあるQ&A」をご紹介いたします。

 

 Q 1

漢方薬の服用は食前とされていることが多いですが、つい飲み忘れてしまします。食後服用しても良いでしょうか?

 

 

 A 

はい。食後の服用でも結構です。服用のタイミングにこだわるあまり薬を飲み残してしまうことは賢明ではありません。

 

高円寺南診療所で処方する漢方薬の多くは食前服用を指示しています。しかし、従来から食間服用が一般的とされてきました。

 

「食間」というと、<食事中に、食物と一緒に>という意味に受け取られがちなので、食前としています。

 

「食間」というのは、食事と食事の間の空腹な時間>を意味します。ただし、文字通りの「食間」に服用していただくことも、実際にはなかなか難しいのが現実です。

 

 

それでは、なぜ、わざわざ空腹時に内服するように指示されているのかについてですが、これは伝統的な教えであって、はっきりとした科学的根拠は示されていません。

 

食事との関係で、内服のタイミングは治療上問題になるほどではないという意見すらありますが、胃酸のpHは、空腹時か食後かで違いがありますし、服用時間の差で吸収される薬剤の血中濃度が変わる可能性はあります。

 

食前と食後では、食後の方が吸収がより早いので、速効性を優先する場合には食後の内服に利がありますが、逆に安全性を考慮すれば食前の服用が理に適っています。

 

 

食間服用の指示が文献上頻繁になされているようになったのは宋代(960~1279年)以降だとされます。

 

高円寺南診療所の見解は、たとえ科学的な検証が十分なされていなくとも、永年にわたる人体実験の末に生き残っている先人医師たちの経験の集積は、それなりに尊重すべき未知の真理が含まれている可能性が高いと考えて尊重すべきではないか、ということです。

 

そして、その上で新たな工夫を凝らすことによって、より効果を挙げる方法を考案すべきだと考えます。

 

しかし、だからといって食前の内服を忘れたために、次の食事時間まで内服せずに先延ばしにしてしまう必要はまったくありません。そのような場合であっても、安心して食後内服をしてください。

 

 

どうしても食前服用が望ましいのは、薬理作用が強く副作用が出易い麻黄を含む漢方薬(附子剤)を処方する場合です。

 

これに対して胃がデリケートな人の場合や胃に負担が掛かる生薬を含む漢方薬を処方するべきにも食後投与です。

 

たとえば、地黄剤や麻黄剤などは、胃の具合を悪くする場合があるため、処方を避けるか、あるいは食後に服用することを指示します。

 

 

高円寺南診療所で処方する漢方薬は、伝統的な煎じ薬ではなく、他のほとんどの医療機関と同様に近代的なエキス製剤です。

 

煎じ薬の場合は原則的には伝統を踏襲して食前服用とし、「分2、分3」で処方することが一般的です。

 

たとえば分2の場合は朝夕とし、分3の場合は朝昼夜もしくは朝夕および就寝前服用を指示することでしょう。

 

つまり、同じ内容の漢方薬を一日に複数回服用していただくことになります。

 

これに対して、エキス製剤は、必ずしもこの原則にとらわれる必要はないと考えています。

 

そこで、高円寺南診療所ならではの処方方略としては、朝用、昼用、夜用あるいは就寝前用など、一日1回から3回までの漢方処方において、それぞれ異なる漢方製剤の処方をすることがむしろほとんどです。

 

その理由は、東洋医学は理論的に時間医学的な発想を持っているということと、近年、その時間医学の科学的

 

解明がすすみ、時間栄養学あるいは時間薬理学として発展してきていることを踏まえた処方を心掛けることのメリットがあるからです。

 

漢方処方は、診察時の見立てにより「証」を決定して、処方薬を処方します。

 

しかし、ヒトはどのような体質・気質であるにせよ、多かれ少なかれ時間帯によって体調や気分が周期的に変化します。

 

診察時に見立てた「証」の本質は持続的な性質を持つと考えているようですが、実際には時間的に大きく変化しています。このことは、それぞれの時間帯ごとに効果的な処方が異なっても良いことの根拠となります。

 

そこで、その時間帯ごとに、最も必要とされる漢方薬を処方することは理にかなった処方方略であると考えて実践して有効性を確かめつつ、さらに発展させているところです。

 

 

こうした処方方略を心掛けることによって、少しずつ経験的にわかってきたことがあります。

 

まず、内服忘れが減っていきます。次いで、時間帯ごとに異なる漢方処方をすることによって、患者さんの一日の周期が明確になり、生活リズムが是正され、昼と夜のメリハリが出てくることです。それに加えて、時間帯ごとの自分自身の体調・気分の変化を認識し易くなるようです。

 

そうなってくると、目的とする心身の不調が改善あるいは解消されていくばかりではなく、日中はより活動的・生産的に、夜間はリラックスして熟眠が可能となっていく様子が観察されます。