最新の臨床医学 12月22日(土)漢方治療についてのQ&A

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

 

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

今回からは、三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

 

高円寺南診療所の立場から、

<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてきました。

 

 

Q

漢方薬はどれくらいで効果が現れるのですか?

長く飲まないと効きませんか?

 

A

例えば風邪のような急性疾患では「証(しょう)」(Q1を参照)が合えば服用後数十分で効果が出ます。

 

慢性疾患の場合は、一般に有害作用の有無は2週間以内にチェックし、効果判定は1ヶ月程度を目安にします。全く変化がなければこの時点で再度処方を検討します。

 

いずれにしても、継続か変更かの判断は薬局・薬店に相談することをお奨めします。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

漢方薬は証の合う病人に適切に用いれば症状を頓挫させることも可能です。たとえば、激しい咳に効く甘草湯、喉の痛みに効く桔梗湯、くしゃみ・鼻水の特効薬の小青竜湯、喘息発作に効く麻杏甘石湯、こむら返りに効く芍薬甘草湯などがあります。

 

また、1日単位で効果が現れる漢方薬も多数あります。なぜなら、そもそも漢方薬は急性期の病気に対して一日以内で効き始める処方を基礎にしているからです。

 

西洋医学でも、病気は臨床経過から、大別して急性疾患(急病)と慢性疾患(慢病)とに分類することがあります。その中間として亜急性というのがありますが、亜急性を冠しての病名は亜急性甲状腺炎くらいです。これはウイルス感染によるものです。因みに急性(化膿性)甲状腺炎は細菌感染、慢性甲状腺炎は自己免疫疾患であるなど、原因も治療法も全く異なります。

 

漢方では急病のうち発熱を伴う感染症(傷寒)、慢病の多くは雑病、などの呼称があります。3世紀の初めに、長沙(湖南省)の太守であった張仲景が記したとされる「傷寒雑病論」は、現在では2部に分かれ、傷寒(急性熱性病)については「傷寒論」、雑病(慢性病)については「金匱要略」として伝わっています。

 

「傷寒論」では、傷寒の病態を三陰三陽(六病位)と呼ばれる6つのステージに分け、それぞれの病期の病態と、適応処方を記しています。

 

「金匱要略」では、循環器障害、呼吸器障害、泌尿器障害、消化器障害、皮膚科疾患、婦人科疾患から精神疾患までの慢性病の治法を論じています。

 

急病と慢病が同時に存在する場合、漢方では、まず急病の治療を先行して、その後に慢病の治療をはじめるのが原則とされています。

 

高円寺南診療所では、急病については、通常3日以内に何らかの改善させることを目標に処方を決定しています。同じく急病でもこじれてしまった状態で来院された方の場合は長引くことがありますが、それでも1週間をめどにして処方します。長くても2週間程度で症状が緩和することを期待しますが、効果が乏しい場合には、処方内容を再検討します。

 

ですから、高円寺南診療所では、治療効果判定に1ヶ月程度をも要することは比較的少ないです。

 

なお、現在、中医学では「傷寒論」の六病論を経絡と結びつけ、六経説として捉えているようです。 これは急病に対する治療法を慢病に応用していることの表れだと考えます。