最新の臨床医学 12月14日(金)アレルギーの病気についてQ&A

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

 

花粉症

 

Q

どんな症状がみられますか。

 

A 

花粉症の患者さんが花粉の曝露を受けると、直ちに発作性にくしゃみ、鼻水、鼻づまりがみられます。

これを即時反応といいます。

 

眼のかゆみ、充血といった眼症状もほぼ必発です。さらに花粉に曝露されて7時間以降にその時点では花粉の曝露はないにも関わらず、鼻づまりが見られることがあります。

これを遅発反応といいます。

 

即時反応に続いていろいろな炎症が引き起こされその結果として引き起こされる反応と考えられています。

 

実際には花粉の侵入、即時反応、遅発反応が連続的に繰り返されていることになります。

 

花粉症では、鼻や眼症状以外にのどの症状(かゆみ、刺激感)、咳、胃腸症状(痛み、下痢)、顔などの露出部皮膚の発赤、かゆみ、さらに頭重感、頭痛などの全身症状を訴える患者さんも半数以上にみられ、軽いうつ症状も数%の患者さんでみられるといった報告もあります。

 

特に花粉飛散のピーク時には鼻や眼症状以外にもいろいろな合併症がみられています。

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

この質問の回答者は、花粉症で見逃されやすい、あるいは無視されやすい症状について言及しているところが素晴らしいので、再掲します。

 

花粉症では、鼻や眼症状以外にのどの症状(かゆみ、刺激感)、咳、胃腸症状(痛み、下痢)、顔などの露出部皮膚の発赤、かゆみ、さらに頭重感、頭痛などの全身症状を訴える患者さんも半数以上にみられ、軽いうつ症状も数%の患者さんでみられるといった報告もあります。

 

ただし、もっと詳しく説明して欲しかったのは、鼻づまり(鼻閉)に伴う睡眠障害や、口呼吸に伴う易感染性、気管支喘息の発症などです。

 

それから、うつ症状にも言及されていますが、そのメカニズムが重要だと思います。

 

たとえば、アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を主訴とする疾患です。

 

その原因抗原は、ハウスダストやスギ、ブタクサなどの花粉です。最近、小児にも急激に増加しています。

 

その原因の一つは、ストレスによる交感神経系の刺激が粘膜の感受性を更新させているためです。つまり、自律神経を介して症状の発現が促進されることになります。

 

起床困難や不登校の原因にもなっていることも少なくありません。

 

とくに慢性的な鼻づまりによる口呼吸は、本人の自覚が乏しいため、適切な治療を始めることは容易でないことがあります。

 

鼻閉の弊害が軽視されがちなのはとても残念です。動脈血酸素分圧飽和度が低い状態になっているケースも散見されます。

 

口呼吸の患者さんに多い、鎖骨呼吸や胸式呼吸による浅くて、効率の悪い呼吸パターンが定着し、習慣化している例が少なくありません。

 

頭重感、頭痛、うつ状態などが、慢性的な鼻づまりによるものとの見立てに基づいた治療によって、症状から解放される症例が、高円寺南診療所では後を絶ちません。

 

 

 

Q

花粉症の治療にはどんなものがありますか。

 

A

花粉症は、原因となる花粉が鼻に侵入してこなければ症状は起きませんから、治療の第1歩は原因花粉と接触しないことです。

 

そのためには、花粉飛散情報を利用して外出や窓の開閉の工夫をして花粉曝露を避ける、マスクや眼鏡を利用して侵入する花粉の量を減少させる、職場、学校、自宅の中に花粉を持ち込まない、などの対策が重要です。

しかし、完全に花粉曝露をシャットアウトするのは困難です。たとえマスクをしても呼吸や会話に伴ってマスクの隅から花粉は侵入してきます。

 

その他、もっとも広く行なわれているのは薬物療法です。いろいろな特徴をもった薬剤がありますので症状に合わせて使うことで高い効果がみられますが、ただあくまで症状を抑えるもので、根本治療にはなりません。

 

現在唯一根本治療の可能性を持つのは特異的免疫治療(減感作療法)と呼ばれるものです。

 

さらに、薬物などの治療に改善がみられない方には手術治療も検討されます。

 

治療に当たっては当然ですが、ご自分の症状や困っていることを正確に伝え的確な治療、アドバイスを受けるためにも医師とのコミュニケーションを十分に取ることが大切です。