<インフルエンザ予防接種>

 

10月に入り、インフルエンザ予防接種がスタートしました。

 

今年は例年よりも早い時期にインフルエンザが流行の兆しを見せているようです。

 

9月初めに茨城県の小学校で、今シーズン初のインフルエンザによる学級閉鎖。

 

次いで東京都江戸川区立船堀の小学校、福岡県の中学校でも学級閉鎖。

 

また、同時期に山形県の幼稚園、高知県の幼稚園でもインフルエンザの集団発生が報じられています。

 

 

このような状況で、ワクチンの数は不足ぎみだった昨年と同じ数が入りました。

 

 

ワクチンの効果を厚生労働省のページから引用します。

 

ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が出現します。この状態を「発病」といいます。

 

インフルエンザワクチンには、この「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することはできません。

 

発病後、多くの方は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方もいます。これをインフルエンザの「重症化」といいます。

 

特に基礎疾患のある方や高齢の方では重症化する可能性が高いと考えられています。インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することです。

 

国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。

 

 

 「インフルエンザワクチンの有効性」は、ヒトを対象とした研究において、「ワクチンを接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクが、『相対的に』どれだけ減少したか」という指標で示されます。

 

6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。「インフルエンザ発病防止に対するワクチン有効率が60%」とは、下記の状況が相当します。

 

 

・ワクチンを接種しなかった方100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)


・ワクチンを接種した方200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%)


→ ワクチン有効率={(30-12)/30}×100=(1-0.4)×100=60%

 

 

 ワクチンを接種しなかった人の発病率(リスク)を基準とした場合、接種した人の発病率(リスク)が、「相対的に」60%減少しています。すなわち、ワクチンを接種せず発病した方のうち60%(上記の例では30人のうち18人)は、ワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた、ということになります。

 


現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。

 

 

インフルエンザ予防接種では、予防だけでなく、かかってしまっても軽く済む効果もあるようです。

 

ワクチンの数も不足が予想されるので、早めの接種をお勧めします。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

日本心療内科学会のHPです

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。

※「質問」をクリックすると表示されます。

と書かれています。

 

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、

<高円寺南診療所の見解>

でコメントを加えることにしました。

 

 

 

「質問8」

中学3年生の娘です。

学校の身体測定で標準より太っていると指摘されてから、どうも食事の後にトイレで吐いているようです。

 

本人に聞いてもそのようなことはしていないと言いますが、頬がこけてきて、体重も減ってきているように思います。

 

一度専門家に診て欲しいのですが、心療内科で診ていただけますか。

 

 

「答え」

この症例は恐らく体重がかなり減少しているので摂食障害(以下、ED)のうちでも神経性食欲不振症(以下、AN)と考えられます。

 

EDの根本はAN、神経性過食症(以下BN)を問わず「やせ願望」「肥満嫌悪」を持つことと考えられます。

 

したがって、「体重増加」につながることはすべて拒否的です。

 

おう吐、下剤の乱用、過度な運動などがみられますが、すべて、やせたいためと考えられます。

 

私の調査では5~6割のEDはおう吐をしていることから、この症例もその可能性が大きいと考えられます。

 

しかし、家族はそれをとがめることが多いので、本人はしばしば否定をします。

 

これ以外のことでもやせることを邪魔されそうになるとうそをついてでも否定します。

 

しかし、体重が30㎏前後になると生命の危険に直面し、周囲はあわててしまいます。

 

この時厄介なのは大抵の場合、いくら食べることをすすめても、生命の危機を説いても、入院をすすめても全く応じないということです。

 

もし幸い入院した場合は専門医が「行動制限療法」などで対応可能です。

 

実際は入院を絶対にいやがるのが特徴で、私の統計ではANの71%は入院が絶対といやと言っています。

 

私は多くの重症ANを治療した経験から、この「入院拒否感」を重視し、「入院体重」を設定し、○○㎏以下なら入院という具合に「黒川体重設定療法(以下、KTWT)」を考案し実施しています。

 

この症例のように若年性の重症ANはとくに「入院拒否感」が強くKTWT以外の治療法では不可能と考えます。

 

このKTWTを実施するには患者との微妙なかけひきや親の協力を引き出す努力も不可欠です。

 

またこの様な症例は心理的のみならず身体的にも肝機能障害、カリュウムやリンの低下、甲状腺や下垂体ホルモンの異常もみられます。

 

したがって、専門医は心身両面から診られる心療内科医であり、しかもこの様な重症ANの経験がある医師でないと難しいでしょう。

 

さらにその経験も少なくとも3~5例のこの様な重症ANと入院であれ外来であれ患者と死にもの狂いで生命を守る戦いをした経験があることが求められています。

 

しかし、この様な専門医は全国でも極めて少ないのが現状です。

 

(黒川順夫)

 

<参考文献>

 1.黒川順夫、松島恭子、鎌田 穣ほか:「黒川体重設定療法(KTWT)」について―とくに神経性食欲不振症へのアプローチの仕方およびその治療成績を中心に―日本心療内科学会誌、8(1):15~21、2004

 

2.黒川順夫、松島恭子、鎌田 穣ほか:「黒川体重設定療法(KTWT)」により改善した重症神経性食欲不振症の1例について―総合病院内科入院の1/5の費用で軽快―、日本心療内科学会誌、6(3):171-175、2002

 

 

<高円寺南診療所の見解>

「質問8」のご相談内容だけですと、確実に神経性食欲不振症(以下、AN)であると診断できる情報は不足しています。

 

そこで、黒川先生は、「この症例は恐らく体重がかなり減少しているので摂食障害(以下、ED)のうちでもANと考えられます。」との断りを加えて解説をはじめておられています。

 

体重に関しては、年齢と身長に対する正常体重の最低限、またはそれ以上を維持することを本人が拒否しているかどうかを確認することも、診断基準に含まれています。

 

ですから、年齢や身長を勘案せずに体重のみを基準にすることは誤りということになります。

 

その場合、体格係数(BMI:Body Mass Index)を参考にするのは、とても有用だと思います。

 

黒川先生は、例として体重30㎏前後を生命危険域の基準としておられます。

 

①仮に、この女性の体重を30㎏で身長を160㎝(=1.6m)とすると、

 

この女性の現在の体格係数は、BMI=30÷1.6÷1.6=11.7

 

正常体重の最低限の場合、そのBMIは18.5ですから、

 

その場合の体重は、BW=BMI×1.6×1.6=47.4(kg)

 

つまり、47.4-30=17.4㎏の体重増加が必要です。

 

 

②これに対して、身長が145㎝(=1.45m)の場合は、

 

BMI=30÷1.45÷1.45=14.3

 

正常体重の最低限は、BW=18.5×1.45×1.45=38.9(kg)

 

この場合は、8.9㎏の体重増加が必要です。

 

 

このように、身長によって、30㎏の持つ意味が大きく異なるので、BMIの計測は臨床上とても大切です。

 

特に、長身の方の体重評価には注意を要します。

 

黒川先生は、独自に「黒川体重設定療法(以下、KTWT)」を考案し実施しておられるので十分な配慮がなされているのだと思います。

 

次に、初潮後の女性の場合には、無月経、つまり、月経周期が連続して少なくとも3回欠如することがANの診断基準にふくまれています。

 

いずれにしても、重症のANの診療は困難をきわめます。黒川先生がいみじくも、診療可能な医師の条件を説明されています。

 

「①専門医は心身両面から診られる心療内科医であり、しかもこの様な重症ANの経験がある医師でないと難しいでしょう。

②さらにその経験も少なくとも3~5例のこの様な重症ANと入院であれ外来であれ患者と死にもの狂いで生命を守る戦いをした経験があることが求められています。」

 

しかし、この様な専門医は全国でも極めて少ないのが現状です。

 

高円寺南診療所では、上記①の条件はクリアしていますが、その結果、②の条件をクリアするためには、外来診療では限界があると考えています。

 

高円寺南診療所でも摂食障害(ED)を多数診療していますが、その場合は、上記ANではなく、過食症としても知られる神経性大食症(BN:Bulimia Nervosa)です。

 

それも、多くの場合は他の精神神経疾患や身体疾患を合併する例がほとんどですが、こちらは、基本的には外来診療でも対応可能です。

「氣ってなんですか?」

 

 

患者様から質問を受けることが時々あります。

 

 

氣は確かにあるけれど説明は難しいです。

 

 

一緒にWikipediaを見てみましょう。

 

 

「気(き、KIQi)とは、中国思想や道教や中医学(漢方医学)などの用語の一つ。

 

 

一般的に気は不可視であり、流動的で運動し、作用をおこすとされている。

 

 

しかし、気は凝固して可視的な物質となり、万物を構成する要素と定義する解釈もある。

 

 

宇宙生成論や存在論でも論じられた。」

 

 

何を言っているのかサッパリ分かりません。。。

 

 

しかし、これだけは確かです。

 

 

それは「氣」って考えるものではなく、感じるもの。「Don’t think. Feel.」ということです。

 

 

というわけで次週、「氣」の感じ方を学んでいきましょう。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

漢方治療一般に関しては

 

一般社団法人 日本東洋医学会一般の方へのHPを検索してみてください。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

これに対して、慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&Aは比較的上手にまとめられていると思います。

 

ただし、その記載は概ね一般的ではありますが、慶應義塾大学医学部漢方医学センター受診者を想定して書かれているようです。

 

そこで、高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてご紹介を試みることにしました。

 

 Q

 友人が漢方薬を飲んで調子が良くなったとのとです。同じ漢方薬を飲みたいのですが?

 

A

よく「友達から漢方薬を勧められた」「親戚の病気が良くなったので漢方薬を飲みたい」という方がおられます。

 

漢方治療は、個人個人の体質を重んじる医学であり、他の人に良かった漢方薬と同じものが本人にもいい、という保証はありません。

 

実際に、親戚に勧められた漢方薬を服用して具合が悪くなったという方もいらっしゃいます。

 

その薬が本人に合っているかどうかは、専門家の判断が必要です。

 

素人判断で他の人の漢方薬をお飲みになるのは、大変に危険です。

 

他人の薬をもらって服用したり、自分の薬を他人に勧めたり、ということは控えてください。

 

そのようなことを避けるためには漢方に詳しい医師・薬剤師と相談の上漢方薬を服用することをお勧め致します。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ> 

このようなご希望をされる患者さんは、かつてほどではありませんが、今でも時々いらっしゃいます。

 

それがなんと慶應義塾大学医学部漢方医学センターを受診される患者さんの中にもいらっしゃるのだとすれば興味深いです。

 

たしかに「友達から漢方薬を勧められた」から、同じ薬を処方して欲しいというのは論外だと思います。

 

高円寺南診療所でも、慶應の先生方と概ね同じような説明をすることでしょう。

 

ただし「親戚の病気が良くなったので漢方薬を飲みたい」という場合は、ケース・バイ・ケースだと思います。

 

親戚といっても、姻族ではなく、血族の方の病気が漢方で良くなったのだとしたら、それは大いに参考になります。

 

臨床医学においては、西洋医学か東洋医学かを問わず、いまでも家族歴を大切にすべきだと思います。

 

体質や気質は、同性・異性に関わらずよく似るものだからです。

 

患者さんの血族がどのような病気で何歳頃亡くなったか、からはじまり、どのような治療をして、どのような転帰になったか、などを可能な限りで把握しておくことは、病気の診断だけでなく、治療法の選択にも大いに参考になるからです。

 

ただし「その薬が本人に合っているかどうか」は、最終的には、医師の診察による診断に基づいたものでなければ、期待したほどの効果は得られないばかりか、かえって悪化することもあり得ます。

 

漢方薬の多くは、適切に使用すれば患者さんの体調ばかりでなく気分をも同時に改善してくれます。

 

体調や気分のベースとなるのが、その人の体質や気質です。漢方の処方は、西洋医学的な病名に対応するものではなく、個々の患者さんの元来の体質や気質に基づいて、そのときどきの体調や気分を観察しながら「証(しょう)」という総合判断を下します。

 

漢方の処方は、この「証」にしたがって処方されます。

 

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会のホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

 

アトピー性皮膚炎②

 

Q

ステロイド外用剤の副作用について教えてください。

 

A

症状に合った強さのステロイド外用薬を正しい量をぬっていれば、広い範囲の副作用はほとんどみられません。

 

注射や飲み薬は全身にはたらくため、全身性の副作用が現れますが、ぬり薬は皮膚の患部に直接はたらくため、皮膚から吸収されても血中に入る量はきわめて少ないのです。

 

通常の使用量であれば、全身性の副作用は現れません。

 

ぬり薬による副作用の多くは、薬をぬった部分の限られた場所に対するものです。

 

こうした部分への副作用は、ステロイドの副作用の中でも軽い副作用に分類され、「薬をぬった部分に毛が増える」、「皮膚が赤くなる」、「毛細血管が拡張する」、「皮膚がやや薄くなる」などがあげられます。

 

その他、「にきびの悪化」、「かぶれ」、「とびひ、みずむし、ヘルペス、ミズイボ(※註1)がまれに悪化する」といった症状もみられますが、医師の指導のもとに適切な対処をしていけばほとんど元に戻る心配のないものです。

 

また、「ステロイド軟膏をぬると肌が黒くなる」と言う人がいます。

 

じつは、ステロイドは皮膚の色素の生成を抑えるため、肌の色はむしろ白くなります。

 

アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症ですので、ちょうど日焼けの炎症が治ると肌が一時黒くなるように、アトピー性皮膚炎も炎症がおさまった後は色素沈着が起こります。

 

これがステロイドの副作用だと誤解されているようですが、実はもうしばらく根気強くステロイド剤を使っていくことで、健常な皮膚に戻っていきます。

 

薬の副作用については、医師や薬剤師にぜひおたずねください。副作用への不安や誤解を解消し、薬と上手につきあっていきましょう。

 

※註1

「ミズイボウィルス」:正式名称「ポックスウィルス」。

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

高円寺南診療所に通院中の患者の皆様のために書き換えて、補足説明を加えてみました。

 

 

○ステロイド外用剤には副作用があります。

 

それは、「薬をぬった部分に毛が増える」、「皮膚が赤くなる」、「毛細血管が拡張する」、「皮膚がやや薄くなる」などです。

 

ただし、これらはぬり薬をぬった部分に限られた副作用であり、ステロイドの副作用の中でも軽い副作用に分類されます。

 

⇒ 医学的評価としては軽い副作用なのですが、肌は人目に触れやすいので、容姿が気になる患者さんにとっては、心理的に大きなストレッサーになっていることが多いです。

 

このあたりの患者-医師間の意識のずれが、悪徳なアトピービジネスを生んできた原因の一つであるということを、皮膚科専門医や総合アレルギー医などアトピー性皮膚炎を診療している医師は反省すべきであると思います。

 

幸いに、皮膚疾患に心身医学的アプローチをする皮膚科心身医学(あるいは心療皮膚科)という領域が認知されるようになってきたのは喜ばしいことだと思います。

 

その他、「にきびの悪化」、「かぶれ」、「とびひ、みずむし、ヘルペス、ミズイボ(※註1)がまれに悪化する」といった症状もみられます。

 

⇒一般用語なのでいったん医学用語に翻訳してみます。

 

にきび(尋常性ざ瘡:じんじょうせいざそう)、

かぶれ(薬剤性接触皮膚炎:やくざいせいせっしょくひふえん)、

とびひ(伝染性膿痂疹:でんせんせいのうかしん)、

みずむし(白癬:はくせん)、

ヘルペス(単純疱疹:たんじゅんほうしん)、

水いぼ(伝染性軟属腫:でんせんせいなんぞくしゅ)

 

これらは医師の指導のもとに適切な対処をしていけばほとんど元に戻るので心配のないものです。

 

 

⇒言い換えますと、かなり適切な対処をしないかぎり、すぐには元に戻せません。

 

残念ながら適切な対処がなされていないことが少なくありません。

 

適切な対処とはぬり薬の適切な選択と使用法に留まりません。

 

生活指導や運動療法さらにはメンタルケアなど内科的あるいは心身医学的なアプローチが必要なケースも少なくありません。

 

 

よくある誤解の例:「ステロイド軟膏をぬると肌が黒くなる」?

 

ステロイドは皮膚の色素の生成を抑えるため、肌の色はむしろ白くなります。

 

⇒アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症なので、炎症がおさまった後は色素沈着が起こります。これを炎症後色素沈着といいます。

 

ステロイドの副作用だと誤解されているようですが、実はもうしばらく根気強くステロイド剤を使っていくことで、健常な皮膚に戻っていきます。

 

⇒これだけの説明では、永年アトピー性皮膚炎で悩んできた患者さんの多くにはピンと来ないのではないでしょうか。

 

高円寺南診療所では、ビタミンC(炎症後色素沈着に有効)をはじめとする適切なビタミン剤や、その人にあった漢方薬を適宜処方することによって、ステロイド剤の強度のランクを徐々に落としたり、減量をしたりして、最終的にはステロイドフリー(ステロイド剤なし)の状態を目指してきました。

 

ただし、保湿をはじめとするスキンケアはその後も根気強く継続していただいております。

 

○症状に合った強さのステロイド外用薬を正しい量をぬっていれば、広い範囲の副作用はほとんどみられません。

 

その理由は、ステロイド外用薬は、皮膚の患部に直接はたらくため、皮膚から吸収されても血中に入る量はきわめて少ないからです。

 

⇒実際には、皮膚科医によって不必要にストロンゲスト(最強)のステロイド外用薬を長期に処方されているケースが散見されます。

 

それは、一部は患者さん側の要因もあります。あらゆる慢性疾患は一定の必要な治療期間が必要であるにもかかわらず、すぐに効果があらわれないと簡単に転医してしまう方が、残念ながら少なくないからです。

 

症状に合った強さのステロイド外用薬を正しい量をぬるためには、定期的な通院が必要です。

 

特に安定期に至るまでの間は、皮膚の状態は、様々な条件や環境によって容易に変化するので、症状の把握は簡単ではありません。

 

したがって、症状に応じてステロイドの強さも適宜調整する必要があるということです。

 

高円寺南診療所では、定期的に通院していただくことによって、凡その変化のパターンがわかるようになるはずです。

 

それに応じて、少しずつ自分で調整できるように学習していただいております。

(平成30年10月3日、高円寺南診療所HPの「お問い合わせ」から)

 

Q:抜毛症の診療は行なっていますか?

 

 

A:お問い合わせありがとうございます。

 

高円寺南診療所は抜毛症の対応が可能ですので、ご安心ください。

 

ご相談はご本人(成人)ご自身でしょうか、それともお子様(未成年)についてでしょうか。

 

もし、お子様(未成年)のご相談でしたら、家族療法が必要になります。

 

つまり、養育者も治療構造の中に参加していただく必要がございます。

 

 

疾患概要:

抜毛症は、円形脱毛症等の身体疾患とは異なり、自分の毛髪を強迫的に抜去してしまう病気です。頭髪の他、眉毛、睫毛、脇毛、恥毛などを抜去する方もいます。

 

女性に多く、とくに学童期後半~思春期前半頃からみられます。

 

毛かみ、爪かみ、夜尿、チックを合併することがあります。

 

身体玩弄癖(からだをもてあそぶ習癖)・自傷の延長にあるとされます。

 

 

治療法:

認知行動療法と薬物療法が有効です。ただし、ストレスや不安が原因である場合は、事前にストレス管理法・対処法のトレーニングを行います。

 

一般的には抜毛症が精神皮膚疾患の一つとされ、そのため精神科医と皮膚科医の連携が必要とされる病気なので、診療構造が複雑になりがちです。

 

そして精神皮膚疾患の治療に用いられてきた治療法としては、局所のステロイドや水酸化塩酸塩、抗ヒスタミン特性をもつ抗不安薬、抗うつ薬、セロトニン物質、そして抗精神薬があります。うつ病があってもなくても、抗うつ薬によって皮膚症状の改善を認めるとされています。

 

 

高円寺南診療所の特色:

当院では医師が心療内科専門医であるため、精神科医が担当する領域と身体医(皮膚科医)が担当する領域を同時に担当することができます。

 

心療内科専門医は、抜毛症を精神皮膚疾患など、皮膚病とは考えず、行動の異常を病気の本態ととらえ心身症の病気として治療に取り組んでいます。

 

アレルギー専門医としても、喘息の他に、アトピー性皮膚炎など皮膚科領域の診療実績もあります。

 

また、漢方専門医でもあるため、漢方薬や鍼灸により心身の調整を図ることも得意にしています。

 

アドバイス:

抜毛症を治す最初の一歩として、まずは意識することが大切です。

 

無意識、または"ほぼ"無意識で行っていた抜毛を「してはいけないこと」と意識するようになっただけで、抜毛症が改善する場合があります。

 

ただし、よく患児の悩みを聞くとともに、毛を抜くことを怒ったりせず家族や周囲の人々が温かく接することが不可欠です。

 

高円寺南診療所ではカウンセリングを通して抜毛症になった原因を探り、必要ならば本格的な治療を開始することが可能です。

 

個人差が大きい病態であるため、絶対的に治る、速効的に良くなるというほどの単独の治療方法は存在しません。

 

しかし、患者さんの特性に応じて有効性が期待できる方法を上手に組み合わせる(統合的療法)ことによって、より確かな成果を挙げることができます。

 

早い段階で何かしらの手を打つことが、その後の経過にとっても大きな意味があると思います。

 

お役にたてることができれば幸いです。

ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。

 

関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。

 

関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。

 

現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。

 

監修医:東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生

 

 

解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。

 

ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

関節リウマチ患者の遺伝、妊娠・出産について③

 

Q

現在授乳中なのですが、リウマトイド因子が陽性であることが分かりました。授乳は続けても問題ないのでしょうか?

 

 A

母乳中のリウマトイド因子は、赤ちゃんに影響は出ないと言われています。

 

リウマトイド因子は、母乳中にも分泌されることが分かっています。

 

しかし、その母乳を赤ちゃんが飲んでも特に影響はないと言われているので、このことをあまり心配する必要はありません。

 

一方、治療薬の中には、赤ちゃんに影響する可能性が報告されているものもありますので、授乳中であることは、必ず主治医に伝えましょう。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

検診でリウマチ因子(RF)が陽性で相談に来られる方は少なくありません。

 

まずRFは、変性した免疫グロブリンIgGのFc領域に対する自己抗体で、これはIgMです。

 

IgMは胎盤を通過できないので胎児・新生児には影響を及ぼしません。

 

関節リウマチでは、経過とともにRFの陽性率が上昇します。

 

関節リウマチ以外の病気でもRFが陽性になることがあります。

 

しかし、RFは健常者でも1~5%で陽性になり、65歳以上では約10%で陽性になります。

 

つまり、RFが陽性だからといって必ずしも関節リウマチであるとは限らないということです。

 

 

なお関節リウマチの診断は,種々の関節症状をもとにアメリカリウマチ協会による診断基準によってなされます。

 

2010年アメリカリウマチ学会/ヨーロッパリウマチ学会の関節リウマチ新分類では、RFは抗CCP抗体とともに重要な血清学的因子です。抗CCP抗体も検査しておくと良いでしょう。

 

さらに関節リウマチの診断は血液検査だけではできません。

 

また関節の腫れや痛みがないのに治療をすることはありません。

 

癌などとは異なり、全く症状がないうちから治療する必要はありません。安心して定期的に診ていただければと思います。

 

 

関節リウマチの発症は約4倍女性に多く,年齢は20~60歳で発症することが多いです。

 

有症率も高い疾患であるため妊娠に合併する率も高いです。

 

関節リウマチ合併妊娠・分娩・産褥における管理上の注意点は別の機会で説明しましょう。

 

ただ関節リウマチはTh1免疫が病因となるのですが、幸いなことに妊娠中にTh2免疫が優位となり,Th1免疫が抑制されるため,70~80% が軽快します。

 

そのため妊娠中のステロイドやNSAID(非ステロイド系消炎鎮痛剤)を減量することが多いです。

 

ただし出産後はこれらの薬剤を妊娠前の投与量まで増量する必要が生じます。

 

水氣道5級の木村英一さんよりイキイキ体操のレ・ノビノビ体操のポートを頂きました。

 

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水戸三高吹奏楽部合宿にて。

 

前回の合宿では、イキイキ体操だけでしたが、今回は練習の最後にノビノビ体操も行ってみました。

 

一部の生徒からですが感想を頂きましたので紹介いたします。

 

<サックス>

(イキイキ体操)体が柔らくなり、楽器を吹く前に余計な力がほぐれる。関節が柔軟になると指も心も落ち着いて吹ける気がした。

(のびのび体操)1日中楽器を吹いて、たまった疲労をゆっくり体操することで、体に実感しながら、ほぐれることが肌で感じられた。(2年)

 

 

<ユーフォニウム>

いつもよりいい音になった気がします。(3年)

 

体が伸びて気持ちよかったです。

いつもよりリラックスしてして吹けた気がします。(2年)

 

今回も体操後になんらかの変化を感じた生徒がほとんどでした。

「みんなと体操してとても楽しかった。」

「血行が良くなり…」

「指も心もおちついて…」

など前回にはない感想があったのはとても興味深かったです。

 

イキイキ体操、のびのび体操ともに、なんらかの効果があるということを再認識できた合宿でした。

 

 

 

高円寺南診療所の推薦図書

 

「病という神秘」

本1

 

 

臼田夜半(うすだ よはん)著

 

教友社

 

 

著者の臼田氏とは、9月17日に初めて面識を得ました。

 

氏は後縦靭帯骨化症という診断に辿り着くまでに、難病の(筋委縮性)側索硬化症を疑われるなど紆余曲折がありました。

 

症状からすると、二次性の線維筋痛症を伴っていたのではないかと私は推定しています。

 

氏の文章は、類まれなる表現力と哲学的洞察力をもっているだけでなく、音読しても滑らかな流麗なリズムをもっています。

 

診療室で、何人かの患者の皆様にご紹介するにあたり、私自身が何回か音読してみましたが、文章に音楽性を感じました。

 

皆様に是非、ご紹介したい貴重な名著です。

 

 

はじめに、より

 

<病には、病の時にしか見えない神秘がある>

 

コメント:

たしかに、人は病を得ないと、精神の奥底にある霊的(スピリチャル)な世界に気づけないのではないか、と思います。

 

 

本文より

は・・・(中略)・・・、首あるいは喉という頭と胴体の接する場所-いわば精神と肉体の接する場所から発しており、それ自体として肉体的であると同時に精神的なものであるという強い属性を持っている・・・p30 >

 

コメント:

聖楽院のコンセプトと関連性があります。後日改めて、聖楽院のページでご紹介いたします。

 

 

歩くことは、足腰を鍛えただけではなかった。徐々に、尻や腕、胸や背など、全身に筋肉がつき始めた。筋肉がつくと体の保温能力が増す。体は、常に感じていた冷えから、少しずつ解放され始めた。体が温まると痛みも和らぐ。歩くことで気が紛れ、ある瞬間だけでも痛みを忘れているということがある。p62 >

 

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水氣道のコンセプトに親和性があります。後日改めて、水氣道のページでご紹介いたします。

 

 

あとがきにかえて、より

<病の底で、花開くように開示する原初的な命の息吹に出会うという神秘がある。私たちは、生命の力のもっとも衰えたその底で、命の本来の姿、すなわち自分自身の本来の姿と出会うのである。>

 

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<唯一確かな真実を、私は幾度も、死の淵の経験を経て、この骨身に叩き込まれたp64>という著者の確信は、説得力があります。

永らく健康に恵まれない家族を支えることは容易ではありません。

 

たとえ病気や障害を持つ本人と身近に接していても、

また、その家族を深く理解したくても、

自分で直接体験できるわけではないからです。

 

そのため支える側の家族としての苦悩が長引くと、相手を理解するのは難しいのに、理解したつもりになると、かえって相手を傷つけてしまいがちです。

 

家族の痛み、苦痛を共感できず、つい病弱な家族につらく当たってしまう方、

また場合によっては自分自身をも責め心身共に疲弊している方、

あるいは、理想のサポート役に徹するあまり、自分自身の健康に気が回らない方、

私は、そんな皆様を多数見守ってきました。

 

このように支える側が無理をしていくことは、自分自身だけではなく家族の健康に影響を与えかねません。

 

支える側の家族が、自分自身の心身の健康状態に関心をもち、良好な状態を維持することは、自分自身だけではなく家族全体に良い影響をもたらすことができます

 

 

さて東洋医学には未病(みびょう)という概念があります。

 

それは西洋医学では異常がないとされ、保険医療の対象とされない不調な状態です。

 

つまり、健康とは言えないけれど病気とも言えない状態を言います。

 

体が怠(だる)い、頭が重い、肩こりが辛(つら)い、何となく食欲がない等はその代表です。

 

 

未病でなく既病(きびょう)という通常の病気の状態になれば西洋医学でも異常を発見し易くなります。

 

しかし、その場合、現代医学の粋をもってしても治癒に持ち込みにくい状態になりがちです。

 

お薬だけでは治せない病気が増えています。

 

「未病」のうちに身心を整えておけば、短期間で体調や気分を良好にし、体力や気力を維持、向上させることができます。

 

ぜひ私にご相談ください。

 

 

杉並国際クリニック

統合医療部

 

漢方鍼灸医学科 鍼灸師

 

坂本光昭