漢方治療一般に関しては
一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみてください。
ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。
ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。
これに対して、慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&Aは比較的上手にまとめられていると思います。
その記載は概ね一般的ではありますが、慶應義塾大学医学部漢方医学センター受診者を想定して書かれているようです。
そこで、高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてご紹介を試みることにしました。
Q
漢方薬と西洋薬を併用しても副作用は大丈夫ですか?
A
漢方薬と西洋医学の併用については歴史が浅く、よく分かっていない部分が多くあります。慢性肝炎の治療に用いるインターフェロン療法と小柴胡湯はどちらも慢性肝炎に対する治療効果が証明されている薬です。
しかし、併用すると間質性肺炎という重い副作用を起こしやすいとされ、併用してはいけないことになっています。また、イレウスの治療に使う大建中湯と糖尿病の薬であるグルコバイ、ベイスンといった薬の併用は大腸に異常なガスを発生させる危険性が警鐘されています。
また甘草の副作用が、利尿剤や強力ミノファーゲンによって増えることも指摘されています。
現在服用している薬、受けている治療についてきちんと知ったうえで、漢方を出してくれる先生と相談してみてください。
<高円寺南診療所からのメッセージ>
漢方薬と西洋薬の併用によって懸念される弊害は多く存在しています。漢方薬の相互作用が見逃されやすいです。
その理由として考えられるのは、過去の事例として、漢方薬と西洋薬の併用禁忌になっているのが小柴胡湯とインターフェロンの併用例のみだからです。
併用注意とされているのも麻黄含有製剤・甘草含有製剤のみです。
1)Answerの補足説明①
<慢性肝炎の治療に用いるインターフェロン療法と小柴胡湯はどちらも慢性肝炎に対する治療効果が証明されている薬です。しかし、併用すると間質性肺炎という重い副作用を起こしやすいため、併用してはいけないことになっています。>
これが、唯一の併用禁忌例です。
2)Answerの補足説明②
<イレウスの治療に使う大建中湯と糖尿病の薬であるグルコバイ、ベイスンといった薬の併用は大腸に異常なガスを発生させる危険性>
理由については、大建中湯などに含有されている膠飴(こうたい)が、ベイスンなどのα-グルコシダーゼ阻害薬との併用により、二糖類である膠飴が吸収されず未消化の糖質が腸内細菌より分解されるからです。そのため腹部膨満感などが悪化する可能性があります。
3)Answerの補足説明③
<甘草の副作用が、利尿剤や強力ミノファーゲンによって増えること>
の理由については、甘草を含む漢方薬を過量に摂取することにより、偽アルドステロン症といって低カリウム血症を引き起こすことがありますが、利尿剤(ループ利尿剤、サイアザイド系利尿剤)も低カリウム血症をもたらし易いために、低カリウム血症を起こす可能性をさらに高めてしまうからです。これは併用注意であり、禁忌とはされていません。
4)麻黄を含む漢方薬は、交感神経刺激作用があるため甲状腺製剤などの薬剤との併用で、同じ作用の重複による不眠・動悸・頻脈・興奮などの症状を起こす可能性を高めます。
併用注意ですが、併用禁忌とはされていません。
5)麻黄・附子などの生薬は、胃酸分泌抑制剤との併用により胃内のpHの上昇で麻黄・附子などの生薬の吸収が高くなり、副作用の発現頻度が上がるため注意が必要です。
これも、併用注意とされていますが、併用禁忌ではありません。
漢方薬と西洋医学の薬剤を別々の医療機関あるいは薬局から出していただいている方は多数に及びます。
同一の医療機関、もしくは一人の医師から両方の処方を同時に受けている方はむしろ少数派だと思います。
そのために、漢方薬との併用で様々な症状に繋がる可能性がたくさんあります。
初診時には当然ですが、再診時以降も、他の医療機関や薬局・薬店から出された薬は、市販などで購入して服用しているものを含めて、それぞれの医師もしくは薬剤師に確認することが必要となります。
高円寺南診療所での処方方略は、独自の階層的処方システムをとっています。
1)養生と鍛錬:生活指導(睡眠・覚醒リズムの是正)>食事>運動>心理
2)物理療法・鍼灸療法
3)ミネラル類>ビタミン類>漢方薬>西洋薬の順です。
そのため、西洋薬を処方している多くの患者さんには、すでに漢方薬が処方されていることが多く、また、漢方薬を処方している多くの患者さんには、すでにミネラル・ビタミン類を処方していることが多いです。
高円寺南診療所では、この独自の階層的処方システムを活用することにより、漢方薬と西洋薬の相互作用の発生予防のために、処方の度に、確認と検討を重ね、日常的に注意と警戒を維持できる環境が確立しています。
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