ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。
以下のHPで確認することができます。
関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。
監修医:東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生
解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。
関節リウマチ患者の将来について
Q
関節リウマチは、寿命に影響しますか?
A
関節リウマチは寿命に影響すると言われてきましたが、治療法の進歩により、寿命は延びてきています。
以前は、関節リウマチの患者さんの平均余命は、関節リウマチではない方よりも5年から10年ほど短いと言われていました。しかし、最近では治療法が良くなってきて、寿命は確実に長くなってきています。こうした新しい治療薬の使用は、時に重大な副作用のために命をなくす患者さんもいらっしゃるのは事実ですが、それにもかかわらず、全体としては寿命が延びていることが分かっています。
【高円寺南診療所からのコメント】
製薬会社主催の医学Q&A記事は、いささか事実を脚色しているきらいがあるようです。これは、日本医学会の各分科会のホームページに掲載されているQ&A記事も同様の傾向がみられます。
この患者さんからの質問は大きな意味をもっています。それは関節リウマチという病気の最終結果である寿命(生命予後)はどうなのか、という問いかけだからです。
こうした質問に対して、医学部の教授の立場にある専門医は、あいまいな回答をすることはご一考願いたいと思います。事実をありのまま伝えることは、たしかに患者さんにはつらい部分もあると思います。しかし、ご自分の病気を正しく知ることでより適切な心構えや対処法が判ってきます。
もっとも大切なことは関節リウマチの活動性をしっかりと抑えきることです。多少良くなった程度で満足することなく、完全に抑えることを目標に主治医とともに、病気に立ち向かうことで後悔のない健康管理を継続していきましょう。
結論から述べます。
①残念ながら、リウマチ患者さんの寿命は一般より短いです。
関節リウマチは関節の障害だけでなく、寿命も縮める重大な疾患であり、その死亡には、リウマチ自体が活動性であることの影響が最も大きいのです。
関節リウマチでは10 ~ 15 年寿命が短縮しているとするのは欧米の研究です。
日本では大規模な検討は少なく実態ははっきりしていないと説明すべきでしょう。
リウマチでの死亡について、病院で死亡し死因の詳細な調査をうけた全国の1000 人以上の症例検討の結果、2000 ~ 2004 年の関節リウマチ患者さんの死亡時年齢は男性70.1 歳、女性69.1 歳と海外の報告と同じように短縮していました。
海外データでは全体としてはリウマチの予後を大きく改善しています。
②病気の活動性が高いほど、寿命が短いです。
病気の活動性指標であるDAS28 で分析すると、活動性が高いほど生命予後が悪いことがはっきりと示されます。
③死亡原因は一般とは大きく異なり一位感染症、二位呼吸器疾患、三位アミロイドーシスが問題です。この3 つで死因の3 分の2 を占め、一般の日本人の三大死因とは全く原因が違います。一般の死因と違うリウマチ患者の死亡原因をよく知ることで、その対策、日頃の注意すべき点が異なってきますので、以下に解説します。
感染症が死因の1 位ということですが、実際はリウマチによる運動機能の低下からの寝たきり、あるいは慢性炎症による体力消耗が感染症の大きな原因です。多くの患者さんではしっかりリウマチを抑ええることで関節機能障害による寝たきりの危険が減り、日常生活を普通に送れるようになっています。
2 番目の呼吸器疾患にもリウマチ自体によるものとメソトレキセートなど治療薬の副作用の場合があります。この中で問題になるのが間質性肺炎(肺線維症)です。間質性肺炎になり易い要因をIORRA 調査で検討すると、高齢、男性、リウマトイド因子陽性、運動機能低下、喫煙といった項目が危険因子であると判りました。ただし、メソトレキサート自体は危険因子として抽出されず、やはりリウマチが抑えられず持続した場合に発症し易いという結果になります。
3 番目のアミロイドーシスはさらにリウマチの活動性と関連した病気で、CRP と同じ炎症反応物質が原因となります。強い炎症が長期間続いた患者さんに起きてくる合併症です。
④最近の抗リウマチ薬は副作用もあるが、全体としてはリウマチの予後を大きく改善している。海外の調査では、リウマチ薬で寿命を改善することが科学的に証明された薬はメソトレキセートと生物学的製剤しかありません。
高円寺南診療所からの提言
関節リウマチで寿命を縮めないために
#1.まずリウマチの活動性を確実に抑えることが基本です。
#2.次にカゼ・肺炎など感染症の予防をしっかりと行いましょう。
1 )禁煙(喫煙は肺炎のリスクを4 倍増加させます)しましょう。
2)カゼの予防(マスク、手洗い、冬場は人混みに注意する)につとめましょう。
ただし、受け身の養生だけでなく、積極的な心身の鍛錬も重要です。
3 )カゼ(感染症)をひいた場合はメソトレキセートや生物学的製剤を一時中止あるいは延期しましょう。
4 )高熱や濃厚な痰が続く場合はすぐに受診しましょう。
5 )ワクチンの接種(インフルエンザワクチン、ニューモバックス(肺炎球菌ワクチン))などの方法で、感染症の可能性を少しでも減らしましょう。
#3.さらに、運動機能の維持向上をはかりましょう。
関節リウマチの患者さんにとって、水氣道は理想的で画期的な運動療法です。
繰り返しになりますが、関節リウマチの死因1 位の感染症の原因は、リウマチによる運動機能の低下に由来するものです。寝たきり、あるいは慢性炎症による体力消耗が感染症の大きな原因だからです。薬物療法でしっかりリウマチを抑ええることと、生涯エクササイズである水氣道による関節機能障害予防によって、寝たきりの危険が減り、高齢になっても日常生活を普通に送れるように維持することは可能です。
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