漢方治療一般に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみてください。
ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。
ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。
これに対して、慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&Aは比較的上手にまとめられていると思います。
ただし、その記載は概ね一般的ではありますが、慶應義塾大学医学部漢方医学センター受診者を想定して書かれているようです。
そこで、高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてご紹介を試みることにしました。
Q
漢方薬には副作用がないのですか?
A
残念ながらそうとはいえません。
漢方薬にも副作用がありうることを是非、知っていていただきたいと思います。
漢方薬は基本的に薬用植物を主体とした生薬を材料として作られていますが、自然の物だから安全とは言えません。
例えば胃がもたれたり、食欲がなくなったり、下痢をしたり、血圧が上がったりすることもあります。
これらは漢方薬の含まれている成分から予測できる副作用です。
薬を調節することで比較的早期に問題は解決します。
例えば甘草という生薬に含まれるグリチルリチンという成分のために、血清中のカリウムの値が下がり、血圧が上昇する、などの副作用が現れることがたまにあります。
甘草は多くの漢方薬に配合されているだけでなく、調味料や甘味料などにも使われているため、医師も患者も知らぬ間に大量の甘草を服用する結果になっていることがありうるのです。
血液などの検査を定期的に受けるようにお勧めします。
しかし、中には含まれている成分だけでは説明がつかないような副作用もあります。
たとえば、そばアレルギーの人がいるように、一種のアレルギー反応で副作用が起こる場合です。
この場合には、皮膚に湿疹がでます。その他、間質性肺炎や肝障害も予期できない副作用です。
薬である限り、西洋薬であろうが漢方薬であろうが、副作用はあるのです。
大切なことは、このことを医師の側も患者さんの側も知り、そのうえで漢方薬が持っている独自の性質や特徴を理解して、正しくつき合うことです。
<高円寺南診療所からのメッセージ>
たしかに、漢方薬は安全性が高いというのは事実ですが、副作用が無いわけではありません。
副作用の最初の報告は1989年の小柴胡湯による間質性肺炎です。
間質性肺炎の他に肝障害などの重篤な副作用がある処方には、予め服薬指導が必要です。
間質性肺炎は頻度が低いものの死亡例も報告されています。
そのため、発熱、咳嗽、呼吸困難を来した場合は服薬を中止することが重要です。
肝障害は、自覚症状を伴わない軽度のうちに発見するために肝機能を定期的にチェックする必要があります。
頻度の多いのは甘草による副作用です。
特に高齢者では、もともと腎遠位尿細管の11βHSDの機能低下が起こり易いため、カリウム摂取の不足を伴うと、より低カリウム血症を来しやすい状態にあるといえます。
甘草は漢方薬の7割に入っています。
1日分として処方される漢方薬に含有される甘草が2.5g以上になった場合は、電解質の変化を定期的にモニターする必要があります。
甘草湯8.0g、甘麦大棗湯5.0g、芍薬甘草附子湯5.0g、
小青竜湯3.0g、人参湯3.0g、桂枝人参湯3.0g、
五淋散3.0g、排膿散及湯3.0g、附子理中湯3.0g、
炙甘草湯(炙甘草として3.0g)、半夏瀉心湯2.5g
高円寺南診療所では、これらの漢方薬を処方する場合は1日1回を原則にしているので、少なくとも単独の漢方薬で、甘草湯を除いて、甘草が2.5g以上になることはありません。
たとえば、小青竜湯は主に朝食前服用として処方していますが、1日1回の処方ですから、甘草の摂取量は3.0g÷3=1.0gということになります。
注意の必要な生薬(その主成分と副作用)一覧
甘草(配糖体グリチルリチン):
(偽アルドステロン症:浮腫、高血圧、低カリウム血症)/(重症例)横紋筋融解症
麻黄(低分子エフェドリン):
不眠、興奮、動悸、血圧上昇、発汗過多、胃腸障害、尿閉)
大黄(配糖体センノシド):
下痢、腹痛、骨盤内うっ血
附子(アコニチン):
嘔気、呼吸促迫、舌のしびれ、唾液分泌亢進/(重症例)四肢失調、呼吸障害、不整脈、痙攣⇒死
異常な副交感神経亢進症状を起こすことがあります。
麻黄と同様の副作用(食欲不振、嘔気、嘔吐、胃痛、腹痛、下痢)を生じる可能性のある生薬:
当帰、川芎、石膏など
皮膚症状を来すことがある生薬:
桂枝、麻黄、人参(配糖体ジンセノイド)、当帰、地黄
山梔子:
長期服用で腸間膜静脈硬化症
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