最新の臨床医学 10月11日(木)関節リウマチについてQ&A

ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。

 

関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。

 

関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。

 

現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。

 

監修医:東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生

 

 

解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。

 

ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

Q

関節リウマチ患者の仕事について①

 

関節リウマチと診断されました。関節をよく使う仕事をしているのですが、このまま今の仕事を続けていても問題ないでしょうか?

 

A

 

一般には、薬でコントロールしながらであれば仕事を続けることはできますが、ひとつの関節を使い続けたり、大きな負荷がかかるような仕事は、可能でしたら避けることをお勧めします。サポーターの使用なども考えましょう。

 

ある関節を使い続けたり、また大きな負荷がかかるような状況が続くと、そ の後の関節リウマチの進行に影響することがあります。

 

出来る限りそのような仕事は避け、また負担がかかるときはサポーターなどを使用するようにしましょう。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

仕事を続けてよいかどうかは、まず関節リウマチの疾患活動性を確認することが必要です。

 

疾患活動性が高い状態(炎症活動期)では、特定に関節に負荷がかかる仕事は避けなくてはなりません。

 

関節リウマチのリハビリテーションは、痛みや変形の原因となる炎症の程度、すなわちリウマチの活動性を目安にして、保護的に行うか、積極的に行うかを決定します。

 

活動性が高い場合には、痛みが増したり変形が進行したりしないように、関節を守り、安静を保ちながら日常生活を送れるようにすることを目標にします。

 

しかし、炎症非活動期になれば、リハビリテーションなどの工夫次第で仕事を続けることも可能になります。

 

関節の痛みなどを原因として、家事を含めた日常生活に様々な影響が及ぶようになるため、変形が進行しないように関節を保護しながら生活する方法を身につけることが大切になります。

 

そのためにはまず関節保護とそのための環境設定をはかります。

 

関節の痛みや変形は、毎日の日常生活での動作の反復によって進行します。

 

リウマチの患者さんが引き起こしやすい変形を予防するために必要な関節保護手技を患者さん自身が習得し、日常生活で実践することが大切です。

 

例えば、指を小指側に捻る動作をなくすために、蛇口やドアノブに長柄のレバーを取り付けたり、重たいものを運ぶ時には前腕で支えたりするなどの動作を習慣づける必要があります。

 

また、関節リウマチでは、頭を支える頸椎が亜脱臼を起こしていることがあり、その場合には枕の高さを低くすること、起き上がりの際などに首に負担をかけないようにゆっくりと行うことなどの注意が必要です。

 

関節リウマチは一生付き合う病気ですので、専門の医師や療法士の指導を受けて機能の低下をできるだけ抑えるようにしていくことが大切です。

 

以下のサイトが役に立つと思われますので紹介いたします。

 

KOMPAS 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト

 

以下に抜粋文を掲載します。

 

リハビリテーションを具体的に計画するためには、個々の患者さんが日常生活において、痛みや腫れがある関節をどのように使用しているかを評価しなくてはなりません。

 

仕事や家事動作で一方向に力が加わる手作業を行っていたり、長時間、立ち仕事をしたりしなくてはならない場合には、関節の変形や腱の断裂を予防するための生活指導や補装具の検討が必要になります。

 

すでに変形を来している場合には、変形が進まないように関節を保護しながら、目的とする動作や作業を行えるように自助具や装具の処方を行います。

 

自助具とは、日常生活における動作を助けるために用いる道具の総称です。

 

リウマチの患者さんでは、手指の変形や肩・肘関節の動きの制限によって、つまんだり、腕を伸ばしたりすることが難しくなることが多いので、それぞれの動作を助けるための道具を作製します。

 

例えば、手指の変形によってうまくつまめない場合には、スプーンの柄を太くして食べ物をすくいやすくしたり、ボタンエイドという道具を利用して着替えを行えるようにしたりします。

 

腕を伸ばす範囲が制限されて手が届かない場合には、フックを備えたリーチャーと呼ばれる棒や、靴下を履きやすくするためのソックスエイドが用いられます。

 

リハビリテーション(炎症非活動期)

 

リウマチの活動性が落ち着いている時期には、関節の動きや筋力を回復させるためのリハビリテーションを行います。関節の変形を誘導してしまわないように、正しい運動の方法と生活における関節の使い方を身に付けます。

 

関節可動域訓練:

関節可動域に制限があれば、関節面に負荷がかからないように少し引っ張りながら、ゆっくりと曲げ伸ばしします。動かす時に痛みを感じるようであれば、温めたり、逆に冷やしたりすることで痛みを和げてから行うと効果的です。

 

運動療法:

関節手術の後には、手術した関節の機能を高めて、生活機能の改善に結びつけられるように運動療法を行います。プール内での運動は、足に加わる力を減らし、リラックスした全身運動を実現できます。

 

リウマチ体操は、関節可動域と筋力を改善するために棒やゴムチューブなどを用いて行う体操です。

 

筋力をつけるための運動は、活動期と同様に等尺性収縮を用いて安全に行うことができるように工夫されます。

 

それぞれの患者さんで改善するべき関節運動に的を絞り、体操としてメニューを組むことができるので、自主的に毎日行うことが可能です。

 

最近では、リウマチの患者さんでもスポーツのような運動を行うことで、体力を高めるだけでなく、関節破壊を予防できる可能性があることが報告されています。