最新の臨床医学 9月27日(木)関節リウマチについてQ&A

ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。

 

関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。

 

関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。

 

現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。

 

監修医:東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生

 

 

解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。

 

ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

関節リウマチ患者の遺伝、妊娠・出産について②

 

Q

現在、関節リウマチの治療を受けています。症状は強くありません。

 

子供が欲しいのですが、妊娠や出産で病状が悪くなることはありますか?

 

関節リウマチの患者さんが妊娠・出産をすることに大きな問題はありませんが、いくつかの注意点があります。主治医にかならず相談しましょう。

 

一般に関節リウマチの患者さんは、妊娠中に症状が良くなり、出産後に症状が悪くなります。

 

しかし、そのために関節リウマチの病気そのものが、妊娠・出産することに大きく問題になるわけではありません。

 

ただし、治療薬の中には、妊娠中や授乳中に飲んではいけない薬も少なくありません。

 

妊娠を希望する場合は、まずは必ず主治医に相談してください。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

これと同様な質問は、これまでも多数受けてきました。

 

系統的に説明することが必要な相談内容だと思います。

 

そこで川合先生の解説を捕捉してみます。

 

妊娠すると関節リウマチ患者のおおよそ4人のうち3人が改善し、とくに妊娠初期ほど改善を認めます。

 

しかし、残念ながら、多くの症例では出産後数か月以内に再び活動性が上昇し、治療の再開もしくは強化が必要になってきます。

 

そこで関節リウマチに限ったことではありませんが、薬剤が妊娠に与える影響を理解することが大切です。

 

薬物投与による胎児への影響は、妊娠週数で考えていくと良いでしょう。

 

 

○妊娠3週まで:

妊娠反応は通常、受精後約2週間で陽性となるため、生理予定日の頃に妊娠反応を行い、陽性であれば薬の服用を中止をする、という方法で、その薬剤への暴露は最小限に抑えることができます。

 

ですから、計画妊娠のためには、自分で妊娠反応をチェックする習慣が有用です。

 

 

○妊娠4~15週:

この期間は胎児の期間形成期に相当し、重要臓器は絶対過敏期といって、奇形に関しては最も敏感になる時期です。これが催奇形性の問題です。

 

妊娠8週以降は、薬剤に対する過敏性は低下しますが、外性器の分化や口蓋の閉鎖が起こる時期なので、催奇形性のため薬剤投与にはまだ注意が必要です。

 

 

○妊娠16週~分娩まで:

この時期になると、薬剤による奇形の心配はなくなります。

 

しかし、胎盤を介して胎児に移行した薬剤が胎児に有害な影響をあたえることがあります。これが胎児毒性の問題です。

 

ただし、催奇形性とは異なり、形の異常として捉えることができないので発見が難しいという問題があります。

 

 

以上をもとに、簡単なアドバイスを加えます。

 

1)関節リウマチの活動性が落ち着いている状態で妊娠を考えましょう。

 

2)代表的な抗リウマチ薬ではありますが、メトトレキサートを中止してから妊娠計画をはじめてください。

 

3)非ステロイド系鎮痛薬(NSAIDs)の使用は、不妊症例では極力は避けましょう。また、妊娠後期においてこれを使用することは禁忌です。

 

4)疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)の中には授乳が可能な製剤もあります。