最新の臨床医学 9月22日(土)漢方治療についてのQ&A

漢方治療一般に関しては

 

一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へのHPを検索してみてください。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

 

これに対して、慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&Aは比較的上手にまとめられていると思います。

 

ただし、その記載は概ね一般的ではありますが、慶應義塾大学医学部漢方医学センター受診者を想定して書かれているようです。

 

そこで、高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてご紹介を試みることにしました。

 

 

 Q

煎じ薬を続けるのは大変ですか?

 

A

本来の漢方薬は煎じて飲むものが多く、確かに手間はかかります。

 

しかし、現在普及している多くの漢方薬はエキス剤と呼ばれる粉薬の形態です。

 

中には錠剤、カプセル剤もあります。

 

これらの剤型であれば皆様が飲み慣れている普通の薬とほぼ同じような手間で服用ができます。

 

エキス剤はいわばインスタントコーヒーやスープのような物で大体の病気には対応できますが、細かい調節を必要とする場合には煎じ薬の方が好ましい場合もあります。

 

煎じ薬は、確かに手間はかかりますので、お忙しい方では挫折してしまうこともあります。

 

しかし、毎日煎じることも健康意識を高め、治療の一つと考えております。あなたに合った飲み方で是非続けてみてください。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ> 

治療に要する手間というのは、必ずしも悪いことばかりではありません。

 

慶應の先生方も<毎日煎じることも健康意識を高め、治療の一つと考えております。>とのことですが、ご尤もだと思います。

 

自分の健康管理の重要性を深く認識し、それなりに必用な時間や経費や手間をかけ、感謝の心で毎日煎じることができたら、それはまるで茶道の御点前のように思えます。

 

多忙で極端にまで便利になれてしまった大多数の現代人にとって、一日に二度、三度、お点前を実行し継続する環境を整えることは並大抵ではないかもしれません。

 

それが、もし可能だとすれば、その方は自らがマインドフルネスな養生法を実践していることになるのではないでしょうか。

 

生薬を煎じる過程で、五官が総動員されます。生薬には独特の香味成分がありますから、いわば生薬アロマセラピーでもあります。

 

多くの揮発成分は煎じ薬でないと摂取することはできません。

 

ですから漢方治療をつきつめていくと、自分で煎じることが最高ということになるでしょう。

 

 

ところが<現在普及している多くの漢方薬はエキス剤と呼ばれる粉薬の形態です。>そして<細かい調節を必要とする場合には煎じ薬の方が好ましい場合もあります。>その通りです。

 

それにもかかわらず高円寺南診療所も漢方はエキス剤のみを処方しています。

 

その積極的理由は、煎じ薬の場合は、朝、昼、夕のすべてを概ね同じ薬で済まさなければならないからです。

 

時間薬理学的処方を実践する高円寺南診療所では、煎じ薬は極めて不便で不都合です。

 

次に、消極的理由としては<細かい調節を必要とする場合>であっても、複数のエキス剤を組み合わせるなどの工夫を凝らすことによって、煎じ薬には及ばないもののかなり細かい調整が可能だからです。

 

何よりも大切なのは、服薬アドヒアランスといって、患者さんが無理なく処方指示通りにきちんと服用することができるかどうか、ということです。

 

高円寺南診療所の時間薬理学的漢方処方による患者さんの服薬アドヒアランスは満足できる成績を維持しています。