最新の臨床医学 9月6日(木)関節リウマチについてQ&A

ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。

 

関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。

こちらのHPで確認することができます。

 

関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。

 

関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。

 

現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。

 

監修医:東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生

 

 

解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。

 

ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

関節リウマチ患者の運動、生活での注意点③

 

Q

飲酒、喫煙は、関節リウマチの症状を悪くしますか?

 

過度な飲酒は避けましょう。喫煙は関節リウマチを悪化させたり、肺の合併症を悪くすることがあるので、禁煙しましょう。

 

過度な飲酒は、血管を拡げて関節リウマチの炎症を悪くすることがあります。

 

それ以上に、体に良いことがありません。適量を楽しむのであれば、とくに問題はありません。

 

喫煙に関しては、そもそも関節リウマチの発病に関連するといわれています。

 

また、関節リウマチの患者さんが喫煙を続けていると、肺の合併症を引き起こしたり、悪くすしたりする危険性があります。

 

関節リウマチの患者さんは、禁煙しましょう。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

喫煙に関しては川合教授のご指摘の通り、関節リウマチの発病に関連するばかりでなく、関節リウマチの合併症や関節リウマチ治療薬による副作用である間質性肺炎をはじめ、慢性閉塞性肺疾患などさまざまな肺合併症を引き起こしたり、増悪させたりします。

 

関節リウマチの患者さんの中には

≪遺伝性の病気だからタバコは関係ない、タバコぐらい吸えなければ生きている意味がない≫

とまで断言する方がときどきいらっしゃいます。

 

たしかに関節リウマチに遺伝的要因が関与するのは確実です。

 

実際に、これまですでに100を超える疾患関連遺伝子が見いだされています。

 

しかし、最も重要なものでも遺伝要因の10~30%を説明すると推定されている遺伝子HLA-DRです。

 

特にSEと称されるアミノ酸の共通配列が抗原提示において関節リウマチの発症や病態に重要な関与をしていると考えられています。

 

このSEを有するひとが喫煙をすると、関節リウマチの発症リスクが約10倍増加するという報告があります。

 

これは喫煙により肺の慢性炎症を生じるためであり、その炎症を介してシトルリン化蛋白が増加することによるものと考えることができます。

 

関節リウマチの発症や進展様式で重要なのは、遺伝因子よりむしろ環境因子です。

 

環境要因としては喫煙や病原体(感染症)が挙げられます。

 

これらは臓器障害をもたらし、臓器障害の進行は治療リスクを増大させ、さらなる臓器障害への悪環境をまねき、生命予後を短縮させます。

 

また、わが国のリウマチ専門医・指導医が認識しておきながら放置しているのは、関節リウマチ患者の抑うつなどの精神状態への配慮です。

 

精神状態と関節リウマチの疾患活動性は密接に関連しています。

 

関節リウマチを直接悪化させる炎症性サイトカインの中枢神経への影響や、身体機能障害を伴う慢性疾患であることの心理的ストレスが想定されていますが、画期的な総合的治療体系の確立の方向に進んでいるようにはみられないのが残念なところです。

 

 

先ほどの患者さんですが、後にこう述べていました。

 

≪そういえば、リウマチの母もタバコを吸って紛らわせていました。

 

その母は、タバコを吸っていても決して幸福そうではありませんでした。

 

私にリウマチ体質をくれたそんな母を怨んでいましたが、体質が似たのではなくて、ストレスに弱くてついタバコに頼ってしまう性格が遺伝したのかもしれません。

 

水氣道をはじめてタバコを吸わなくても楽しい時間が過ごせることを知りました。

 

今は家事も仕事もこなせるし、痛みもなくなり、リウマトレックス®(メトトレキサート)の量も減らせました。

 

母を怨んでいた私は、母に申し訳ない思いでいっぱいです。≫