診察室から:高円寺南診療所がジェネリック医薬品に消極的なわけ

高円寺南診療所で発行する処方箋は原則として先発品の薬剤名を記載することにしています。

 

しかし患者の皆様のジェネリック希望を拒否することはありません。

 

ただし、その際の代替のジェネリック医薬品の薬剤選択は、処方箋を受けた調剤薬局に一任する方針にしています。

 

 

そもそもジェネリック医薬品は、国民医療費の節約になり、品質、有効性、安全性が先発品と同等だ、という建前で厚生労働省が積極的に推進し、日本医師会も協力しています。

 

国の方針に逆らっていては保険医療制度下での診療業務は事実上遂行できないのでやむを得ない状況ですが、国民に正しく十分な情報が提供されているかどうかについては、はなはだ怪しい側面があります。

 

 

厚生労働省が安全であるとするジェネリック医薬品、その主張に対する根拠は未だ十分には示されていません。

 

医療費を節約する狙いが、国民の寿命までも節約?する結果をもたらしてしまう可能性があります。

 

それがそもそもの国家の狙いだとまでは考えたくはありませんが、万が一、ジェネリック医薬品によって発癌がもたらされたとすれば、高額な癌治療のために、将来の医療費はかえって増大してしまう可能性すらあることを考慮すべきではないでしょうか。

 

 

<ジェネリック医薬品に発がん物質混入していた事件を例として>

 

降圧薬バルサルタンのジェネリック医薬品(GE)の一部に発がん性物質が混入していた事件。

 

 

日本医師会常任理事の長島公之氏は8月22日の定例記者会見(日本医師会会館)で、以下の必要性を求めました。

 

①早期の原因究明、

 

②問題発生時に原薬まで(医薬品の製造・流通をさかのぼって)追跡できるシステムの構築

 

だと述べました。

 

問題が指摘されたバルサルタンのジェネリック医薬品は、あすか製薬が製造販売していた「バルサルタン錠AA(20mg、40mg、80mg、160mg)」です。

 

製品には、中国企業の工場で製造された原薬を使用していました。

 

今年7月、この原薬に、発がん性があるとされる物質(N-ニトロソジメチルアミン)が混入しているとの情報があすか製薬に入りました。

 

製品は昨年9月に商業上の理由で販売中止となっていますが、 長島氏は「当該原薬を製造した工場は今も存在しており、原薬の不適切な製造工程が続いているとすれば、日本だけでなく世界中の患者が危機にさらされていることになる。原因究明を後回しにしてはいけない」と強調しました。

 

一方で、「品質、有効性、安全性が先発品と同等だというから、ジェネリックの使用促進策に協力している。医薬品の品質が担保されない状況では、安心して医療を行えない」として、原薬製造から製剤製造、流通までの企業の責任について厳しく問う姿勢を示しました。

 

また、「回収状況は企業から厚生労働省に報告されているようだが、当該製品がどれだけの数の患者に調剤されたのかが判明していない」と指摘。

 

医薬品に問題が発生した時、原薬がどこで作られ、どの企業のどの製品に使用されているか、どの医療機関からどの患者の手にわたっているか、それらを速やかに遡及して追跡できる体制の確立が重要だ、としました。