ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。
関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。
関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。
関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。
現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。
監修医:東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生
解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。
ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。
関節リウマチと他の病気との関係について①
Q
関節リウマチの方は糖尿病になりやすいと聞きましたが、本当ですか?
A
治療に使う薬の影響で、糖尿病になりやすくなることがあります。
関節リウマチそのものが、糖尿病を引き起こすことはありません。
ただし関節リウマチの治療に使われるステロイドや一部の抗リウマチ薬の影響で、糖尿病を引き起こしやすくなることはあります。
血糖値が気になる方や、糖尿病の心配がある方は、一度、主治医に相談してみましょう。
【高円寺南診療所からのコメント】
治療薬以外にもっと基本的な問題がありそうです。
それは、関節リウマチの患者さんのライフスタイルです。
軽症で痛みのコントロールが達成できていれば、健康人と同様の運動量を維持することも可能ですが、関節炎の持続や関節破壊の破壊が進行している場合は、運動量が低下しがちなのではないでしょうか。
関節リウマチ患者さんで虚血性心疾患が多くなることが参考になります。
この現象の理由は、関節痛のために運動不足となってしまい、肥満、脂質異常(高コレステロール血症)をきたし、動脈硬化がおきやすくなるからではないかとか、非ステロイド消炎鎮痛剤との関連などが指摘されています。
さらに、炎症が動脈硬化を進めるのではないかということも最近分かってきて、関節リウマチの患者さんは炎症のために動脈硬化が進みやすく、虚血性心疾患が多いのではないかといった推測がなされています。
適切な運動習慣というのは適正な体重維持と筋肉量や骨量の維持のみならず、糖質や脂質の代謝を改善することは医学的常識です。
それに加えて、適度な運動習慣は、精神的なストレス発散にも役立つことを見逃してはならないと思います。
関節リウマチも糖尿病も精神的ストレスや緊張の持続によって増悪します。
また、精神的ストレスが引き金となって過食に陥る現代人は決して少なくありません。
高円寺南診療所では、水氣道®への参加を呼び掛けています。
関節リウマチの患者さんにとって、水氣道がどのくらい効果的であるのかの例証は枚挙に尽きません。
関節リウマチのみならず関連する生活習慣病全般を改善しているデータを持っています。
関節リウマチと他の病気との関係について②
Q
薬で関節リウマチの症状が良くなれば、骨粗しょう症などの合併症になる危険性もなくなるのでしょうか?
A
関節リウマチの症状にかかわらず、骨粗しょう症への注意を続けましょう。
関節リウマチを治療することは、関節の骨粗しょう症の予防にもつながります。
ただし、女性の閉経後など、高齢になると起こる骨粗しょう症は、関節リウマチとは直接関係しないので、常に注意を続ける必要があります。
また、関節リウマチの治療薬のひとつであるステロイドを飲み続けていると骨粗しょう症が進むことがあります。ステロイドを使っている方は、定期的に骨粗しょう症の検査を受けることが勧められます。
【高円寺南診療所からのコメント】
関節リウマチにおける骨粗鬆症
上記の解説は誤解を生じるので改めて説明します。
関節リウマチは骨粗鬆症を合併しやすい疾患です。
(1)傍(ぼう)関節性と全身性
関節リウマチにおける骨粗鬆症は
1)傍関節性と、2)全身性、に大きく分類できます。
傍関節性とは、炎症があり腫れて痛い関節の近くの骨におきる局所的な骨粗鬆症です。
関節リウマチの初期に特徴的な所見の一つでもあります。
全身性はその名のとおり全身に生じる骨粗鬆症です。
(2)関節リウマチにおける様々な骨粗鬆症の誘因
関節リウマチに合併する骨粗鬆症の誘因は様々です。
1)女性の場合での閉経、2)加齢、3)炎症、4)動かさないこと、あるいは関節の動きが制限されていること、5)治療によるステロイド、など様々な複数の要因が重なっている場合があります。
関節リウマチは骨粗鬆症を合併しやすい疾患であるため、関節リウマチを診たら、骨粗鬆症のチェックをして予防を始めるべき、というのが高円寺南診療所での方針です。
実際に、某大学病院で関節リウマチに対する生物学的製剤による治療を勧められていた患者さんで、骨粗鬆症が進行していたケースを複数例経験しました。
骨粗鬆症の治療を併行したところ、骨量も増加し、関節リウマチの症状も軽快しました。高価な生物学的製剤を開始する代わりに、元気に水氣道®を続けています。
関節リウマチと他の病気との関係について③
Q
関節リウマチの方はがんになりにくいと聞いたのですが、ほんとうでしょうか?
A
関節リウマチとがんの関係はよく分かっていません。
以前は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を飲んでいる方は大腸がんなどになりにくいという説があり、そのため関節リウマチの患者さんはがんになりにくいと言われていました。
しかし、今は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が補助的な薬になったので、以前と同様かどうかは分かりません。
最近の研究では、逆に一部の治療薬はがんの発生率を高める可能性があるという報告もあります。
例えば、メトトレキサートや生物学的製剤を使用している患者さんでは、悪性リンパ腫が若干増えるとされていますが、そもそも活動性の高い関節リウマチは、その合併率が高いため、薬の影響がどの程度あるのかについては結論が出ていません。
【高円寺南診療所からのコメント】
日本人の関節リウマチ患者の死因として重要なのは肺病変と悪性腫瘍(がん)です。
この両者に関しては、治療により頻度が低下する可能性よりも増加する可能性が懸念されています。
メトトレキサートや生物学的製剤の使用は関節リウマチの標準治療になってきています。
日本人のリウマチ患者の生命予後の改善を伴ったQOLの改善をいかに導くべきかまでの結論はでていません。
高円寺南診療所では、生物学的製剤の使用が不可避な症例に関しては、入院設備のある専門医療機関へご紹介する方針ですが、現在までのところ一桁台の少数例に留まっています。
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