心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。
こちらで、心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。
Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。
※「質問」をクリックすると表示されます。と書かれています。
高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。
そこで、「質問」「答え」の後に、<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。
「質問2」
仕事でミスをして、上司と取引先に急ぎ出向き謝っているうちに急に息ができなくなり、このまま死んでしまうのではないかという恐怖が襲ってきました。
その場は上司が対応してくれて事なきを得ましたが、あの苦しさのことを考えると仕事に集中できません。
検査などを受けた方がいいでしょうか?
「答え」
急に息ができない感じになり、「死んでしまうのではないか」という恐怖が襲ってきたのですね。
その場は何とかしのぐことができ、その後も強い症状はないようです。
調べても大きな病気はない可能性が高いでしょうが、その点を確かめる意味で、念のため医療機関を受診してもいいでしょう。
異常がなければ、「過換気症候群」という機能的な病気といわれるかもしれません。
この病気では、ほかに大きな病気がないのに、息が苦しくなる発作がみられ、そのときには頻回で深い呼吸が認められます。
それで過換気=「換気のし過ぎ」になり、二酸化炭素が抜けて血液がアルカリ性になるのです。
元に戻るのですが、一過性の血管収縮や神経系の障害が起こり、めまい感、指先や口周囲のしびれ感、動悸や腹部不調などの症状が出現します。
この病気は若年者や女性に多く、男女比は1対2といわれています。
発作は、不安・緊張や興奮、肉体的疲労や呼吸が荒くなる運動などが引き金になります。
アルコールやカフェインの過剰摂取でも起こることがあり、女性では月経と関連があることがあります。
今回の「仕事でミスをして、上司と取引先に急ぎ出向き、謝っているとき」というのは、不安・緊張場面に相当するでしょう。
この発作は「死んでしまうのではないか」という恐怖を伴うので、頻回に発作を繰り返したり、一回でも強い発作を起こしたりすれば、「また発作が起きるのではないか」という予期不安を持つようになります。
今回「あの苦しさのことを考えると仕事に集中できない」というのも、そのためかもしれません。
これに対しては、病気の本体をよく知り、発作は苦しいが死につながるものではなく、また短時間でおさまることをよく納得する必要があります。
万一発作が起きた場合でも、呼吸をゆっくりするようにし、自分に「大丈夫」と言い聞かすと、自然におさまります。
発作を繰り返したり、不安が長引いたり、外出恐怖や乗り物恐怖が合併したりする場合には、医療機関(心療内科が適切でしょう)を受診するとよいでしょう。
(江花 昭一)
<高円寺南診療所の見解>
不安発作(過換気症候群)
かつての高円寺南診療所は、パニック障害の患者さんで溢れていました。
その患者さんの大多数は治って終結していますが、およそ2割程度の方は、アレルギーなど他の内科の病気で通院を続けています。
最近数年間では、パニック障害での受診者数は減少していますが、パニック障害を発症する前段階であると思われる不安発作で来院される方がいらっしゃいます。
「死ぬのではないか」とか「また再発したらどうしよう」など予期不安と呼ばれる恐怖におびえている方も少なくありません。
さて回答者の江花昭一先生の最近のプロフィールは、1995年~ 日本大学医学部兼任講師、2001年~ 横浜労災病院心療内科部長、2012年~ 神奈川大学 特別教授(現職)とのことです。
江花先生は
<発作を繰り返したり、不安が長引いたり、外出恐怖や乗り物恐怖が合併したりする場合には医療機関(心療内科が適切でしょう)を受診するとよいでしょう。>
と締めくくっていまが、受診のタイミングについては私の見解とは異なります。
受診のタイミングですが、強い不安発作を一度でも経験し、「死ぬのではないか」とか「また再発したらどうしよう」など予期不安を伴うのであれば、必ず受診していただきたい、というのが高円寺南診療所の推奨です。
その根拠は、早期に対応することによって、病気の進展を防ぎ「発作を繰り返したり、不安が長引いたり、外出恐怖や乗り物恐怖が合併」するのを防ぐことができるからです。
パニック障害に伴う外出恐怖や乗り物恐怖を広場恐怖といいます。
広場恐怖は独立した障害である場合もありますが、パニック障害と合併し易く、その場合は、広場恐怖を伴うパニック障害という診断名になります。
高円寺南診療所での治療成績が良好なのは、特別に高度な医療技術によるものではなく、
1)早期発見・早期介入、
2)トータル医療(体も心も同時に診る)、
3)水氣道®や聖楽院などオリジナルなケアの活用による再発防止、
などの工夫の集積によるものだと考えています。
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